腎臓疾患と手作りの食餌について書きますよと言ってから、ずいぶんと時間が経ってしまいました。
と言うのも、このテーマ思った以上に手ごわかったんですよ。
「何がそんなに手ごわかったの?」
書籍とネットを中心に色々読んでみたら、まあ次から次へと様々な違う意見が出るわ出るわ。
こりゃあ誰しも混乱して「やっぱり病気になったら療法食しかないよね」と思うのも無理はないと実感しました。
フードのことをお話した時にも触れましたが、腎臓疾患の食事療法と言えばタンパク質の制限がまず第一ですね。
これは調べている時に読んだカリフォルニア大学デイビス校の獣医学部のサイトから見つけた文章です。
↑これを読んだ時に「えーっ!そうなの?」とびっくりしたのが一項目目の「タンパク質の制限」というところ。
「人間とマウスにおいては、タンパク質の摂取を制限することで腎臓の損傷の進行が抑えられることはわかっている。
しかし猫と犬の腎臓疾患にタンパク質の摂取制限が及ぼす効果については未だ議論のなされているところであり
この問題に関しての決定的な研究も未だない。」
カリフォルニア大学デイビス校と言えば獣医学部ではアメリカでも屈指の名門ですから、いい加減な情報ではありません。
ただ決してタンパク質の摂取制限が間違っているとか無駄とか言うわけではないんですよ。
この後さらに続けて、こう有ります。
「動物に現れている臨床徴候(嘔吐・不活発・食欲不振・下痢・口内潰瘍・呼気のアンモニア臭など)は
タンパク質の摂取制限をすることで部分的または完全に軽減される。」
決定的な研究は発表されてないけれど、臨床現場では効果が認められているんですね。
この後、以下のように続きます。(要約)
タンパク質の消費量が正常な体の機能を維持するための充分量を上回っていた場合には、腎臓疾患の症状は悪化します。
しかし一方で、体の機能を維持するための必要量を下回ってしまうと別の厄介を引き起こすことになり、寿命を縮めることにもなり得ます。
つまり腎臓疾患の動物にはタンパク質の摂取量を厳密に制限しなくてはいけないが
体を維持する最低必要量は下回らないように注意しなくてはならない、ということですね。
「お肉減らすってこと?そりゃダメに決まってるよ。」
リンク先が廃止されたり変更しているので線を引いておきました
タンパク質の最低必要量と充分量についてはこちらをご参照ください。
タンパク源となる食材に関しても、実に色々な説が有るのですが、わかりやすい獣医さんのブログのリンクを貼っておきます。
↑写真がきれいで参考にしやすいと思います。
スクロールすると下の方に腎臓疾患用のレシピと注意点があります。
↑こちらの先生は腎不全など症状が重い場合は基本的には療法食を薦めていらっしゃいますが
療法食は食べてくれなかったりする場合には手作りも良いですねという柔軟スタンスです。
おじやを基本にしたレシピが紹介されています。
腎臓疾患の食事には下記リンク先をお勧めします。
もしもニコニヤが腎臓疾患と診断されたら、私だったら多分今まで通り手作りの食餌を選択すると思います。
体重から1日に必要なタンパク質の量をはじき出して、1日の食餌に使う材料のタンパク質をきっちり計算します。
この時、肉類だけでなく野菜や米、オートミールに含まれる分も調べて算出。
オヤツとして与える分も算出して、1日のトータルがタンパク質の充分量を上回らず、
最低必要量を下回らないように計算して、1日2回の食餌とオヤツに与える量を決めます。
タンパク源は牛肉と鶏もも肉を中心にして、肉と骨(または卵殻パウダー)は必ずセットで。
病状がとても重くて厳密な食事制限が必要なら療法食を使うこともあるかもしれませんが
できるだけ今まで通りのものを食べさせてやりたいなあというのが、今の時点での希望です。
うちの犬たちのことだから、療法食でもモリモリ食べそうなんだけど(笑)
「リョーホー食ってなに?新しいフードだったらモリモリ食べるよ。」
1日に必要な栄養成分を計算する時の強い味方は「栄養成分表」
↑こちらは本家本元。中は正に成分表の名の通り、ひたすら文字の並んだ表です。
純粋に栄養計算に使うのには、かえって好都合です。
↑こちらは写真が多くて、初めての方でもとっつきやすく読みやすいタイプ。
ただし栄養計算のみに使いたいという方にはちょっと使いづらいそうです。
この成分表にプラスして、↓栄養成分を計算してくれるサイトを利用すれば、かなり便利で楽チンです。
あ、そうそう。腎臓の病気ってシニア犬のものというイメージがありますよね。
実は腎臓の疾患には年齢は関係ないそうです
(これもアメリカの獣医学サイトで読んだんですが、
ブックマークしてなかったのでどこか分からなくなってしまった。すみません。)
ただ、腎臓のダメージというのはとてもゆっくりと進行して、
最初は検査にも引っかからず非常に分かりにくいので
病気のごくごく初期のダメージが始まったのは若いうちだとしても、
実際に目に見えるような症状が出るようになるのはシニアになってから、
というのが正確な表現だそうです。
シニアになったら腎臓病が始まるわけではないんですね。だから若いうちからの予防が大切。
「あ。そういうことだったの。」
もし今ここを読んでくださっている方の中に愛犬が腎臓疾患だったり、過去に腎臓の病気で愛犬を見送った方がいらしたら
「若い時から気にしていれば」と後悔されたり、ご自分を責めたりされるかもしれません。
でもね、病気って「時の運」である場合がとても多い。
(そりゃ若いうちから人間用に味付けしたものを無制限に食べさせたりしていたら、高い確率で病気になるでしょうが
そんなことをする方ってそうそう居ませんよね。)
どんなに体に気をつけていても大病をしてしまうこともあれば、
結構いい加減なのに怪我も病気もなしに息災な場合もある。
だから愛犬や愛猫が病気になってしまったら「運が悪かった」と考え、
大きな怪我や病気もせずにいてくれたら「私のおかげ」と考えればいいと思っています。
もちろん口に出して誰かに言わなくてもいいんですよ(笑)心の中で思うだけ。
そういう良い意味での開き直りとか楽天的な部分って、病気と付き合うのにとても大切だと思います。
後悔したり自分を責めたりして暗い気持ちになってたら、愛犬に心配させちゃいますからね。
あ〜、また長くなってしまったけれど、本当はまだまだいっぱいあるのになあ。
今後もボチボチと「食餌・健康」のカテゴリーでアップしていきます。