SMILES@LA

シェルターからやってきたミックス犬のニコとデカピンのニヤ。どちらの名前もSMILEの犬姉妹の思い出を綴ります。

ドッグフードの原材料を見てみよう エンパイア

2022-05-28 03:02:30 | ドッグフード原材料シリーズ
ドッグフード原材料シリーズ、今回はポーランドのペットフード、エンパイアです。

原材料シリーズ過去記事はこちらで¥

この製品の最大の特徴は使われている肉類の大半がジビエであるということ。

「ジビエってなに?ニコそんなの食べたことなかった」

ジビエというのは家畜のお肉ではなく、狩猟で得たお肉のこと。

では早速見て参りましょう。
製品によって、ちょっとタンパク質多めの中型犬以上向けや、やや低脂肪のものがありますが、基本的には同じです。
日本では多分小型犬向けが一番需要が高いでしょうから、これを取り上げますね。
 
新鮮な鹿肉、乾燥ラム肉、新鮮なイノシシレバー、スイートポテト
新鮮なイノシシ心臓、乾燥イノシシレバー、鹿脂肪、キクイモ
乾燥イノシシ心臓、グリーンピース、すりおろしリンゴ
パイナップル、カシス、甜菜繊維、アザミ、タンポポ
イラクサ、ビール酵母〘MOS源〙、サーモンオイル
亜麻仁油〘DHA&EPA源〙(ローズマリー抽出物にて酸化防止)
ユッカシジケラ、クコの実、チコリ、クロレラ
コンドロイチン、グルコサミン、タウリン、L-カルニチン
ミネラル類(鉄、銅、マンガン、亜鉛、セレン、ヨウ素)
ビタミン類(A、D3、 E、ナイアシンアミド、B1 、B2 、B6 、B12 、
C 、パントテン酸カルシウム、葉酸、ビオチン、塩化コリン)
ローズマリー抽出物(天然の酸化防止剤として)

まず最初に鹿肉、これがジビエ肉です。
牧場で育てた鹿ではなく野生の鹿を狩った肉を使っているということですね。
頭に「新鮮な」と付いているのは冷凍や乾燥ではない生の肉から作っているという意味です。
鹿肉は高タンパク低脂質で鉄分が多いことで知られています。
また獣肉としては珍しいオメガ3脂肪酸のEPAとDHAを豊富に含みます。
これは鹿が食べる野草にオメガ3脂肪酸を含むものが多いせいと考えられます。

乾燥ラム肉、2番目に書かれているのは重量ベースで2番目に使用量が多いということです。
この製品は原材料全体の79.5%が肉類で、そのうち41%が生の鹿肉、17.4%が乾燥ラム肉と記載されています。
生肉は約7割が水分です。この水分はドライフードに加工することでほぼ全て飛びます。
乾燥肉は水分がほぼ含まれませんから、使用量が正味量です。
原材料一覧では生肉の方が先に書かれていても、
製品に加工した後はラムの方が鹿肉よりもやや多いくらいの割合になります。
乾燥ラム肉は自社製造の自然乾燥製法なのでアミノ酸の損失なども少なく優良なタンパク質源です。

新鮮なイノシシレバーというのも、乾燥や冷凍ではないという意味の「新鮮」です。
このイノシシもジビエの代表的なものです。
レバーはタンパク質、ビタミンA、B群、鉄、亜鉛、銅などビタミンとミネラルを豊富に含みます。
犬にとっては理想的なビタミンの摂取源と言えます。
肝臓は薬物などを処理する器官ですが、野生のイノシシは抗生物質などを摂取していないという安心感もあります。
しかし、かなり気になるのはレバーが多すぎるのではないか?という点です。
レバーの摂取で注意しなくてはいけないのはビタミンAの過剰摂取です。
原材料一覧ではこの後に乾燥イノシシレバーも記載されています。

さらにこの製品にはビタミンミネラル類も添加されています。
ビタミンAの添加量を見ると製品1kgあたり18200IU(アイユー)と書かれています。
わかりやすく、1日の給餌量目安が100gである5kgの犬を基準にして考えてみましょう。
1kgあたり18200IUのビタミンAは、100gあたりでは1820IUです。
5kgの犬の1日のビタミンAの理想量は480IUです。
この製品に添加されているビタミンA1820IUは理想量をかなり上回っていますが、上限とされる19,000IUは下回っています。
しかしこれはサプリメントで添加されている分だけの量でレバーの分は含まれていません。
豚レバーで480IUのビタミンAを摂取する場合の必要量は1.1gです
この製品100g中の生レバーと乾燥レバーの量は正確には分かりませんが
新鮮なイノシシレバーと心臓 : 11.4%、乾燥イノシシレバーと心臓 : 6.3%とあるので
1.1gは間違いなく超えているでしょう。
ビタミンAは脂溶性のビタミンで、過剰摂取した場合は体に蓄積します。
毎日のフードで日常的に過剰摂取しているとビタミンA過剰症のおそれがあります。
レバーの項目がやたらと長くなりましたが、このフードの最も気になる点です。

スイートポテト、さつまいもによく似た外見で中身はオレンジ色の芋です。
炭水化物源ですが食物繊維、ビタミン類も豊富です。
ニンジンのようなオレンジ色でβカロチンが豊富です。
野菜のβカロチンは体内で必要に応じてビタミンAに変換されるので、βカロチンではビタミンA過剰摂取は起きません。

新鮮なイノシシ心臓、鹿肉やレバ同様に乾燥や冷凍ではないという意味です。
心臓はタンパク質や脂質の他にビタミンB群や亜鉛、銅、鉄などミネラルも豊富です。
そしてアミノ酸様物質であるタウリンも豊富です。

乾燥イノシシレバーと心臓は乾燥ラム肉同様に自社製造の自然乾燥なので
生のものと栄養面では変わらないと考えてOKです。

鹿脂肪、鹿肉の項目で書いたように鹿の脂はオメガ3脂肪酸であるEPAやDHAを含みます。
またオメガ6脂肪酸のリノール酸やアラキドン酸も豊富なので犬にとって理想的な脂肪と言えます。

キクイモ、菊科の植物トピナンブールの地下茎です。
英語ではエルサレム・アーティーチョークという名の通り、アーティーチョークの付け根と味が似ているらしい。
見た目は生姜とエビ芋を足して2で割ったような感じです。
水溶性食物繊維のイヌリンを豊富に含むので、腸内細菌の餌となるプレバイオティクスとして優秀です。

グリーンピース、お馴染みのエンドウ豆ですね。
炭水化物源ですが、食物繊維、ビタミン類、タンパク質が豊富です。
グリーンピースの緑色はβカロチンやリコピン同様に抗酸化力の高いファイトケミカルです。

すりおろしリンゴ、なんで「すりおろし」と付いているのかが分かりません。
英語版サイトだと単にフレッシュアップルと書かれています。

パイナップル、ドッグフードに使われているのは珍しいですね。
ビタミンやお肉を柔らかくする酵素を多く含みますが、どちらも熱に弱いので
フードでの役目は水溶性と不溶性の食物繊維、と風味付けかな。

カシス、日本語では黒スグリと呼ばれる果実です。
各種ビタミンやミネラルが豊富ですが、ドッグフードで期待できるのは抗酸化物質のアントシアニンです。
ブルーベリーの青い色でお馴染みのアントシアニンですが、カシスはブルーベリーよりも豊富です。
この製品の野菜と果物は全て乾燥加工していない生のものが使われています。
(ほとんどのドッグフードの野菜類は乾燥加工品です)

甜菜繊維、これは他のフードでもよく登場するビートパルプです。
甜菜糖を採るために甜菜大根を搾った後に残った繊維質です。
水溶性と不溶性の食物繊維を豊富に含みます。
私も初めて知ったのですが、甜菜糖はポーランドを代表する農作物のひとつだそうです。

アザミ、タンポポ、イラクサ、これらはハーブです。
アザミは正式にはマリアアザミ。ミルクシスルという肝臓をサポートするハーブです。
しかし日常使いするタイプのハーブではないので、フードには入っていない方が良いですね。
タンポポはマイルドで日常使いに最適です。利尿作用があり緩やかにデトックスをサポートします。
イラクサはネトルとも呼ばれます。天然のマルチビタミンと呼ばれるほど栄養豊富なハーブです。

ビール酵母(MOS源)、ビールを製造する際に麦芽を発酵させるための酵母なのでビール酵母と呼ばれます。
ビタミンB群、ミネラル類、各種アミノ酸を豊富に含みます。
MOSというのはマンナンオリゴ糖のこと。酵母の細胞壁に含まれます。
マンナンオリゴ糖は糖類ですが水溶性食物繊維のように働き、優秀なプレバイオティクスです。

サーモンオイル、お馴染みオメガ3脂肪酸の理想的な供給源です。
犬にとって活用しやすいEPAとDHAを豊富に含みます。
サーモンオイルは他のフィッシュオイルにないアスタキサンチン(抗酸化物質)を含みます。

亜麻仁油、亜麻(フラックスシード)の油で、植物性のオメガ3脂肪酸の代表です。
しかし犬は植物性のオメガ3を体内で活用できるよう変換する能力が低いので
オメガ3脂肪酸供給源としてはあまり期待できません。
しかし、この製品は鹿肉や鹿脂肪、サーモンオイルなどでオメガ3は十分な印象です。

ユッカシジゲラ、多肉植物のユッカの地下茎です。
食用の根菜ですが抗炎症作用のあるサポニンを豊富に含みます。
関節炎ケアによく使われますが、フードでは便のニオイを抑える働きがあります。

クコの実、漢方薬でもよく使われるクコの実を乾燥させたものです。
腎臓の働きをサポートし、アンチエイジング作用を持ちます。

クロレラ、健康食品としてよく知られているクロレラは藻の一種です。
抗酸化作用、抗炎症作用を持ちます。

グルコサミン、コンドロイチン どちらも関節ケアのサプリメントとして知られています。

タウリン アミノ酸様物質ですが、通常は必須アミノ酸のメチオニンとシステインから体内で合成されます。
この製品は必須アミノ酸を完全な形で含む肉類を多く使用していますし
アミノ酸の損失が少ない方法で製造されているのでタウリンの添加は必要ないのでは?と思います。

Lカルニチンも同様です。必須アミノ酸から体内で合成できますし、この製品では乾燥ラム肉にも含まれます。
わざわざ添加する必要はないんじゃないかと思います。


「全体的に見てどうなんですか?」

ジビエを使っている点は、抗生物質などの使用の心配がないのが良いですね。
製造メーカーも日本の代理店もしっかりした良い印象です。
ただレバーの項目のところで書いたようなことから、全体的に「過剰」という感があります。

他にもオメガ3脂肪酸の供給源が複数重なっていたり、食材からだけで十分だと思われるタウリンやLカルニチンの添加なども同様です。
レバーの件は健康にも関わるし、それ以外でも製品価格にも反映されることですから、これはマイナス点ですね。

日本での代理店はFORZA10ペットカインドも扱っている会社で公式サイトもしっかりしています。
原材料についても正しく詳しく説明されています。

それと、ちょっと嫌な話ですが原産国のポーランドはウクライナのすぐ隣ですよね。
現在の不安な状況下では、輸入がストップした時のことを考えておく必要があると思います。

流通が不安になった時の備えと、強めのハーブや漢方薬の素材も使われていることから
他のブランドとのローテーションの一部として使うのが良いと思います。

ビタミンAの件はローテーションしながら使用して、よく観察してあげてください。
またこのフードを使用している時はレバー系のトリーツは避けた方が良いと思います。
小分け包装で販売されているので、トレーニング用のトリーツとして使うにはとても良さそうです。
その場合、食事のフードの量を減らして調整しますが、栄養のバランスが崩れないのも良い点です。
コメント (6)
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もうひとつだけリンクさせて

2022-05-26 00:32:00 | ごあいさつ/お知らせ
他に書いたもののリンクばっかりでごめんなさい。

でもこれは犬と暮らしている多くの人に読んでもらいたいのでリンクを貼らせて。

飼い犬と野良犬の福祉について、過去の論文や文献80件以上から比較した研究結果について書いた記事です。

リンク先の末尾に全文が読める原文のリンクが貼ってあります。
これがもう最高に面白いので、興味のある方は読んでみてください。
そう言えばニコは小さい頃に道路でウロウロしてるところを保護されたんだったね。

「うーん、覚えてないなあ」

明日はちゃんと書こう(決意表明)


「がんばりなさーい!」

うん、がんばる。

今日のニコニヤは2011年3月です。

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書いたもののリンクです

2022-05-22 23:47:45 | ごあいさつ/お知らせ
ドッグフード原材料シリーズを書こうと思っているのになかなか手が回らずにいてごめんなさい。


「ニコちゃん、おかーさんて昔から同じこと言ってない?」
「だよね〜、今はニコのごはんも作らなくていいのにねえ」

おかーさんはニコとニヤのごはんを作って散歩に行く以外にもすることがあるんだよ。
それよりも大事なことはないけれどね。


でもこれだけじゃナニですから、他に書いたもののリンクを貼っておきます。

イギリスのウィンチェスター大学の動物福祉科学と、オーストラリアのグリフィス大学の環境科学の研究者による調査結果を紹介した記事です。

今年の4月に発表された論文なのですが、発表直後欧米のメディアで「ヴィーガンフードは犬にヘルシー!」という見出しが溢れました。
「いい加減な見出しつけないでよ、もう!」と「論文の結論もいい加減だな!」と腹立たしかったので、疑問点なども含めて書いたものです。

もうひとつ、これも今年の4月に発表された論文について書いたものです。
アメリカのMIT&ハーバード・ブロード研究所の遺伝子研究のチームによる調査結果です。
MIT(マサチューセッツ工科大学)とハーバード大学というアメリカを代表する大学が運営する遺伝子学の研究所ですから世界トップレベルの研究機関なのですが、
残念ながら犬の気質や行動については専門外なので、結論が変な方向に行ってないか?という感じ。

これも各種メディアに「犬の行動と犬種にはあんまり関連がないらしい!」という見出しが溢れました。
そしてまたしても私がプンスカしたわけですね(笑

「ねえねえニコちゃん、おかーさんのプンスカはあたしがいないとダメかしら?」
「えー、おかーさんのプンスカにはニコのチューだよ〜」

どっちもいないとダメみたいだよ😘 

今日のニコニヤは2009年9月です。
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ニヤの居ぬ間に

2022-05-18 01:42:13 | ひとりごと

ゴンゾウリスのブログを更新しました。
「何?ニューフェイスたちって!?おかーさんガード甘すぎじゃない?
 もう、これだからあたしがいないと😠」

だっておかーさん別にガードしてないもん。むしろ歓迎してるし。

でも確かにニヤがいないとリスたちの塀の上滞在時間が長いよね(笑
「鬼の居ぬ間に」とか思ってるのかな😆 


ほら、なんか落ち着いてる。


リスの丸いお尻も可愛いです。
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「撫でてもいい?」は犬に聞く

2022-05-12 01:05:15 | ごあいさつ/お知らせ
よその犬を撫でたい時「撫でてもいいですか?」と飼い主さんに聞くのが普通。
でもそれだけじゃダメなんですよ、撫でられる犬に聞かないと、というのが
今月の『犬のココカラ』のお話です。

「はあ〜?」と言わずに読んでみてね〜😄 
自分で書いといてアレですが、なかなか良い記事なんですよ。
書きながら過去の自分を振り返って反省しきりでしたけれど😰 

でもニヤもニコも私が撫でるのは好きでいてくれたと思う
「うん、そこをナデナデして」

「おかーさん、ニコも」


今日のニコニヤは2015年2月です。撫でたいなあ。
コメント (2)
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