ドッグフード原材料シリーズ、今回はウィリアムを取り上げます。
「やっと書いたのね」
過去に取り上げたフードは50音順でこちらにまとめています。
ウィリアムのフード、アマゾンでは現在在庫切れで入荷予定未定だそうですが、↓これは参考画像として
公式サイトはこちらです。
キアオラ、ナチュラルハーベスト、ブラバンソンヌのように日本の会社が海外の工場に製造を委託している製品です。
ウィリアムのフードはオランダで製造されています。
ウィリアムのフードは今のところチキンの1種類のみです。
肉類(脱水鶏肉 24%、鶏生肉 20%、鶏脂 9%、鶏タンパク質 5%)
サツマイモ、グリンピース、チコリ、
ミネラル類(亜鉛、鉄、マンガン、銅、ヨウ素、セレン)、
サーモンオイル、亜麻仁、乾燥全卵、ビール酵母、
マンナンオリゴ糖&βグルカン、アミノ酸類(タウリン)、
ビタミン類(A、E、D3)、南極オキアミ、コンドロイチン硫酸、
グルコサミン(動物組織由来)、ビルベリー、カウベリー、
ペパーミント、リンゴ、ヒヨコ豆、ニンジン、トマト、シナモン、
ムラサキウマゴヤシ、ローズヒップ、カモミール、イラクサ、
アニス、フェヌグリーク、マリーゴールド、ユッカシジゲラ、
海藻、オレガノ、セージ、マジョラム、タイム、クランベリー、
スピルリナ、パセリ、ナシ、ブルーベリー、マルベリー、
タピオカ、オレンジ
肉類
使われているのは全て鶏肉です。
脱水鶏肉というのは低温乾燥して水分を取り除いた鶏肉。
生の肉の約70%は水分なので、水分を取り除いた肉はタンパク質がギュッと凝縮された形になります。
脱水鶏肉は一般的にフードによく使われるチキンミールと違って高温加熱されていないのでアミノ酸の損失が少ないのが良い点です。
この製品では24%が脱水鶏肉で生の鶏肉は20%とありますが、
乾燥して軽い脱水鶏肉が重量ベースで24%含まれるということは、実質はほとんどが脱水鶏肉ですね。
鶏生肉20%ももちろん良質なタンパク質源ですが、乾燥肉のつなぎの役割も果たしていると思います。
鶏脂はエネルギー源であると同時に、必須脂肪酸であるオメガ6脂肪酸のリノール酸と、オメガ9脂肪酸のオレイン酸を豊富に含みます。
これら脂肪酸はホルモンや細胞膜を作ったり免疫機構を正常に保つために不可欠です。
鶏タンパク質というのが何かよくわからないのですが、推測するに加水分解タンパク質かな?と思います。
タンパク質を含む食品(この場合は多分鶏肉の副産物)を酸または酵素でアミノ酸のレベルまで分解したもので、旨味を加えるため使われます。
サツマイモ
ヨーロッパで作られているフードなので正確にはサツマイモではなくスイートポテトという種類だと思います。
一見サツマイモに似ていますが切るとニンジンのようなオレンジ色。
炭水化物源でもありますが、βカロチン、食物繊維、各種ミネラルを豊富に含みます。
グリンピース
エンドウ豆ですね。炭水化物、タンパク質、食物繊維を豊富に含みます。
このフードは高GI食品を使っていないことをアピールしているので、炭水化物源は食物繊維を多く含むものが使われています。
GIとはグリセミック・インデックスの略で、それぞれの食品に含まれる炭水化物の燃焼時間のスピードを示した数値のことです。
GI値が高い食品は素早く、GI値が低いほどゆっくりとエネルギーになります。
高GI食品は血糖値の急激な上昇や低下を招き、体に負担がかかります。
チコリ
キク科の葉野菜でほんのりと苦味があります。
野菜としてサラダなどに使われますが、根はハーブとしてティーなどに使われます。
抗炎症作用やガスを排出する作用があり、ハーブとしてはドッグフードでも比較的よく使われている食材です。
水溶性食物繊維のイヌリンを多く含みます。
ミネラル類
亜鉛、鉄、マンガン、銅、ヨウ素、セレンとあり、それは良いのですが
吸収率を高めるためのキレート加工などをしているかどうかが書かれていないのはちょっと残念。
それとカルシウムの記載がないのですが、原材料を見てもカルシウム源らしきものは南極オキアミくらい。
AAFCOやFEDIAFの基準は満たしていると書かれているので心配はないと思いますが、ちょっと不思議です。
脱水鶏肉はもしかして骨つきなんだろうか?それなら納得なんですが。
サーモンオイル
必須脂肪酸であるオメガ3脂肪酸(DHAとEPA)の供給源として、ペットフードには魚油が配合されることが多いものです。
サーモンオイルは抗酸化物質のアスタキサンチンを多く含むため、酸化し易い魚油の中では理想的です。
アスタキサンチンは鮭の身の赤い色の素です。
亜麻仁
リネンの原料となる亜麻の種子で、フラックスシードとも呼ばれます。
植物性のオメガ3脂肪酸(アルファリノレン酸)を多く含むのですが、犬はアルファリノレン酸を体内でほとんど活用できません。
(ちなみに猫は全く活用できません)
そのためペットフードにおいては亜麻仁はオメガ3脂肪酸の供給源にはなりません。
しかし植物性タンパク質、食物繊維、抗酸化物質を豊富に含むため決して無駄というわけではありません。
乾燥全卵
液状の卵を噴霧乾燥させたもので、良質なタンパク質源です。
乾燥肉と同じく、水分がほとんどなくなっているのでタンパク質がギュッと凝縮された形になっています。
卵黄の脂肪分はオメガ6脂肪酸のひとつリノール酸です。
ビール酵母
ビールを醸造する時に使われる酵母なのでこの名で呼ばれています。
各種アミノ酸やビタミンB群、食物繊維を豊富に含みます。
マンナンオリゴ糖&βグルカン
どちらも水溶性食物繊維です。腸内細菌の餌となって腸内環境を整えるための下支えをします。
いわゆるプレバイオティクスと呼ばれるものです(プロバイオティクスはビフィズス菌などの菌類)
アミノ酸類(タウリン)
タウリンは体の中で必須アミノ酸であるメチオニンやシステインから合成されます。
体内で作り出すことができるため犬にとってタウリンは必須アミノ酸ではありません(猫では必須アミノ酸)
メチオニンやシステインは肉類に含まれているし、タウリン自体も肉類にも含まれているので何で添加しているのかな?とは思います。
最初の肉類のところで書いたように、チキンミールと違って高温加熱していないのでアミノ酸も損なわれていないわけですし。
ビタミン類
A、E、D3のみが添加されていてビタミンB群が一切ないのはビール酵母やスピルリナで供給できるからでしょう。
南極オキアミ
南極の海で魚や鳥類、海獣の食生活を支える存在のプランクトンです。
クリルオイルでお馴染みのクリルといった方が馴染みのあるかもいるかもしれません。
食物連鎖の一番下にいる生き物なので汚染物質や重金属の蓄積が少ない食材です。
タンパク質、ミネラル類の他オメガ3脂肪酸のDHAとEPAを豊富に含みます。
公式サイトで徹底した資源管理のもと捕獲されていると書かれている通り、厳しい漁獲管理で持続可能性に高評価を得ています。
でも個人的には、限定された地域でそこに住む全ての生物の食生活の土台に人間が手を出すことにちょっと抵抗があります。
コンドロイチン硫酸、グルコサミン
コンドロイチン硫酸は軟骨などに含まれる多糖類、グルコサミンは皮膚や軟骨に含まれるアミノ糖です。
動物由来とあるので、コンドロイチンはサメ軟骨、グルコサミンはエビやカニから採っているのだと思います。
↓ここから下の原材料はすべて乾燥品が使われていると思います。
ビルベリー
野生のブルーベリーの一種ですが、ブルーベリーよりも抗酸化物質のアントシアニンを多く含みます。
目の健康に良い食べ物としてもよく知られています。
カウベリー
日本語ではコケモモと呼ばれます。
抗酸化物質のアントシアニン、βカロチンなどビタミン類やミネラル類を豊富に含みます。
ペパーミント
お馴染みのハーブですね。健胃作用やマイルドな殺菌作用があります。
リンゴ、ナシ、オレンジ
乾燥品だと思われるのでビタミン類はあまり期待できませんが、食物繊維やカリウムを摂取することができます。
ヒヨコ豆
炭水化物の他に食物繊維やタンパク質も含まれるヒヨコ豆はドッグフードにもよく使われています。
でも原材料一覧のこんな後半(=重量が少ない)に記載されているのは珍しい。
ペパーミントよりも少ない量のヒヨコ豆って何の意味があるんだろう?というちょっとした疑問があります。
ニンジン、トマト
βカロチンその他の抗酸化物質や食物繊維を豊富に含みます。
シナモン
パイやドーナッツなどのスパイスとしてお馴染みですが、強力な抗酸化作用、抗菌作用を持っています。
また体を温めて血行を良くするという効能もあります。
ドッグフードメーカーが計算して配合しているので大丈夫だとは思うのですが、シナモンは過剰摂取に注意が必要な食材です。
過剰摂取で肝臓に負担がかかることもあるので、毎日食べるフードにはできれば入れて欲しくないなあと思います。
ムラサキウマゴヤシ
豆科の植物でアルファルファとも呼ばれます。
タンパク質やビタミン類など栄養豊富で、馬の飼料にもよく使われます。
そのため馬肥やしという名前がついています。
ローズヒップ
バラの実です。ビタミンCが非常に豊富です。
カモミール
カモミールティーなどでお馴染みのハーブですね。
マイルドな抗炎症作用や気持ちを落ち着かせる作用があります。
イラクサ
ネトルと呼ばれることもあるハーブです。
天然のマルチビタミンと呼ばれるほど栄養豊富です。
アニス
犬に与えるアニスと言えば別名ドッグニップ(キャットニップのもじり)とも呼ばれるアニスシードのことだと思うのですが
公式サイトに使われている写真はアニスシードではなくスターアニス(八角)です。
スターアニスは犬に与えるべきではないし、これはちょっと管理が甘いなと感じます。
アニスシードのことだとして説明すると、これは消化促進作用のあるハーブです。
匂いが強いのでノーズワーク競技の訓練用にも使われます。
フェヌグリーク
地中海原産のマメ科植物で、種子はハーブやスパイスとして使われます。
消化促進作用や抗炎症作用があります。
マリーゴールド
これは多分、花壇でおなじみのマリーゴールドではなくカレンデュラのことだと思います。
カレンデュラには強い抗炎症作用や抗菌作用があります。
ユッカシジゲラ
リュウゼツラン科の植物で、芋のような地下茎が食用や薬用に使われます。
抗炎症作用のほか、ペットフードには便のニオイを抑える目的で配合されます。
海藻
海藻の種類がわからないのですが、ミネラル類や食物繊維の補給で使われているのかと思います。
オレガノ
イタリア料理でおなじみのハーブです。
非常に強い抗酸化作用を持っています。
セージ
抗菌作用の強いハーブですが、長期間の使用は避けるべきものです。
犬への栄養というよりもフードのための天然の抗菌作用として配合されているのだと思いますが、あまり感心しません。
マジョラム
オレガノの仲間のハーブで、食欲増進や消化促進の作用を持ちます。
しかし「犬に与えてはいけない」というハーバリストもおり、フードには使わないで欲しいなあと思います。
タイム
肉料理などに使われるスパイスで、強い抗菌作用を持ちます。
これも長期間にわたって使うべきではないハーブで、フードに使うのは私は反対です。
クランベリー
ツルコケモモ科の真っ赤なベリーです。
抗酸化物質のアントシアニンやビタミンCを豊富に含みます。
スピルリナ
水中で育つ藻類の一種です。タンパク質の他ビタミンやミネラル類を豊富に含みます。
パセリ
料理の引き立て役パセリは、βカロチンを始めビタミン類やミネラル類を多く含んでいます。
消臭効果が高く、口臭予防にも役立ちます。
ブルーベリー
抗酸化物質のアントシアニンを豊富に含みます。
でもビルベリーが入ってるんだから、別になくても良いのでは?という気がします。
マルベリー
日本語では桑の実です。
抗酸化物質のアントシアニンを多く含む他に鉄分やビタミン類も多く含みます。
タピオカ
タピオカはキャッサバ芋のデンプンだけを精製抽出したもので、ほぼ100%炭水化物です。
公式サイトには食物繊維が含まれると書いてありますが、これは誤りです。
コーンスターチや馬鈴薯デンプンに食物繊維が含まれていないと同じですね。
ドライフードのつなぎやツルンとした食感のために使用されています。
「全体的には良いフードなの?」
うん、全体的には悪くないと思います。
タンパク質源にチキンミールを使っていない製品としては価格も抑えられていて購入しやすい感じ。
公式サイトもいくつかちょっと気になる点はあるものの、しっかりした構成で良心的です。
定期購入の勧めなどよりフードの栄養のことにフォーカスした情報を提供しているところも好感が持てます。
ただし配合されているハーブがいくつか気になる点があるので、他のフードとのローテーションをお勧めします。