SMILES@LA

シェルターからやってきたミックス犬のニコとデカピンのニヤ。どちらの名前もSMILEの犬姉妹の思い出を綴ります。

The FOUND DOGS とリトルレッドの5年間

2017-08-16 23:45:01 | ヴィックの犬たち
ずーっと書こうと思っていたのに、ずーっと延び延びにしてしまってたこと。

それはこの本のこと。
The Found Dogs: The Fates and Fortunes of Michael Vick's Pitbulls, 10 Years After Their Heroic Rescue
Bookbaby

(↑これは日本のアマゾンのリンクなので、興味のある方は購入もできます。)

The FOUND DOGSというタイトルでピンと来た方もいるかもしれませんが
あのThe LOST DOGSの続編です。


「マイケル・ヴィックのヤミ闘犬と犬の虐待が発覚してからちょうど10年なんだって。」

マイケル・ヴィックはプロアメリカンフットボールのスター選手でしたが、2007年にヤミ闘犬の罪で逮捕されました。
その時に闘犬に使われていた50頭以上の犬達が保護され、新しい犬生を歩み始めたのでした。

保護された犬たちの物語が The LOST DOGSです。

私が以前に本の紹介がてら、マイケル・ヴィックのもとから保護された犬たちの話をまとめたのが
こちらのリンク。興味のある方は古いものから順に読んでいただくと詳細がわかります。
ヴィックの犬たち

The LOST DOGSに登場する犬たちの中でもひときわ印象的だったのがリトルレッドと名付けられた
小柄な赤毛の女の子でした。

リトルレッドのストーリーはこちら。
リトルレッド

リトルレッドとボーイフレンド達

そのリトルレッドがね、今年の4月に天国に行ったということをつい最近知ったんですよ。
(今年は本当にいろんなことがあって、他のことに全然気持ちが行ってなかったんだなあと
改めて実感してちょっと寂しかったのはワタクシゴトです。)

The FOUND DOGSの表紙になっているのもリトルレッドです。
すっかり白いお顔のおだやかなおばあちゃんになって、幸せだったんだなあと嬉しくなります。

リトルレッドは保護された後も、人間や他の犬が怖くて、リハビリにとても時間がかかりました。
彼女を引き取ったアメリカ屈指の保護団体ベストフレンズアニマルソサエティでゆっくりと心を癒して
たくさんの犬友達ができて、2011年に自分だけの家族の元に迎えられました。

その時のことを書いたのがこの記事。
リトルレッドが〜♪

ペストフレンズがリトルレッドの門出を祝って作ったのがこのビデオ。


最初の頃の硬い表情がだんだんと緩んでくる様子に胸が躍ります。

リトルレッドは彼女を家族に迎えたスーザンさんの元で約5年を過ごして天国へと旅立ちました。
14歳だったリトルレッドは、マイケル・ヴィックの所で過ごした時代に罹ったバベシア症などの影響で
健康上の問題はいくつか抱えていました。
けれど旅立つ前日まで楽しく遊び、おやつを楽しんで元気に過ごしていました。
突然の嘔吐、病院での診察、そしてその夜スーザンさんがベッドに行こうとリトルレッドを見た時に
彼女がもう息をしていないことに気づいたのだそうです。

突然のさよならは辛いことだけれど、リトルレッドが長い苦しい時間を過ごさずに済んだことは良かったのだと思います。
だってこの子は犬生の最初の5年間で普通の犬が一生かけても持たないほどの辛い時間を過ごしてきたんだから。

スーザンさんは「リトルレッドはいつだってただ愛されたい、静かに過ごしたいと願っている、そんな子でした。」と語ります。

これは去年公開されたリトルレッドや仲間の犬たちの再生のストーリーを描いたドキュメンタリー映画The CHAMPIONSのトレーラーです。

冒頭に登場するのがリトルレッドとスーザンさん。


リトルレッドはいつもかわいい洋服を着せてもらっています。
静かに過ごすことを願うリトルレッドの体の傷跡を隠し、
マイケル・ヴィックの所から保護されたということも人に言う事もなく
おだやかに過ごせるようにというスーザンさんの心遣いです。


「リトルレッド、今度は最初っから優しいおかーさんの所に行きなよー。」

本当だよね。
最後の5年間がおだやかで幸せで心から良かったと思うけれど
次の犬生では最初っから幸せなお家に届けてあげてよね、犬神様。

The FOUND DOGSは今読んでいる最中なんですよ、私。
読み終わったらまた記事にしようと思います。いつのことかなあ(笑)



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あの場所の現在

2016-09-04 23:57:08 | ヴィックの犬たち

dog actuallyの新しい記事が更新されています。
「繋がれて生きる犬」

24時間鎖につながれたまま、散歩にも獣医さんにも行ったことがない。
鎖の届く範囲だけが生活の全て。そんな犬たちを様々な形でレスキューしている団体のお話です。


「こういうのはお散歩に行く時に着けるだけのものよ。」

本文中でも少し書いたけれど、犬関連以外の日本のメディアではまだまだ犬と鎖と犬小屋がセットになったイメージは目にします。
昔好きだった「ほぼ日」のほのぼの豚さん漫画も、鎖につながれたお隣の犬が登場するようになって
「もう全然ほのぼのしないわ」と思って読むの止めたこともあったなあ。

自治体が発行する小冊子やサイトなどでは「犬を正しく飼いましょう」として「檻や鎖で飼うこと」と指定されてさえいます。
日本の場合は、むしろ一般の飼い主の意識の方が自治体の規則よりも進んでいるとも言えますね。

さて、dog actuallyの本文ではサラッと書いただけですが、このレスキュー団体の施設が
元はあのマイケル・ヴィックのヤミ闘犬に使われていた場所なんですね。
実は団体の住所を見た時に「えっ?この住所って」と思った私は立派なVICKTORY DOGマニアだと思う!


「他のことはモノ忘れ激しいのに、犬のことはよく覚えてるよね〜。」

(ヴィックの犬って何さ?と思われた方、↓に関連リンク全て貼った記事を貼りました。
 http://nikologla.blog27.fc2.com/blog-entry-2561.html

生まれ変わったGOOD NEWZリハブセンターの様子はここで詳しくご覧いただけます。


ちょっと長めの動画だけど、前半が現在のセンターと過去の映像を見比べられるようになっていて
後半では、レスキューされた犬たちの素敵なビフォーアフターが見られるのでオススメ。

それにしてもこのセンターの敷地15エーカー(約1万8千坪)もあるのね。すごいですね。
いわく付の物件だから、なかなか売れなくて安くはなってたんだろうけど、それにしてもすごい。
購入は団体への寄付金で賄われたそうですよ。


「あたしも走ってみたい感じ。」

以前はコンクリートと金網のケージが並んでいた場所は広大な芝生の敷地に生まれ変わっています。
繋がれていた鎖から解放されて、これも生まれ変わった犬たちが走り回る姿が二重に嬉しいよ。


「場所も犬も生まれ変わって、ほんとよかったよね〜。」


鎖につながれて一生を終える犬がいなくなる日が1日でも早く来ますように。



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The Champions観てきました!

2016-03-02 23:55:52 | ヴィックの犬たち
前回ちらりと「明日は更新できません」と書いた理由。

それはタイトルの通り、The Championsを観に行っていたからです。
The Championsというのは以前に紹介したマイケル・ヴィックのところで闘犬に使われていた犬たちのその後のドキュメンタリー映画。
以前の記事はこちらです。映画の内容はここで詳しく書いています。The Champions
昨日は映画祭以外での初めての一般公開。保護団体Best Friends Animal Society主催の特別上映会でした。

会場に飾られていたパネル

左はメリル、右は今は亡きルーカス

メリルとルーカスは保護された後に裁判所命令で、生涯を保護施設で暮らすように定められた犬たちです。
メリルは人間に対する攻撃性が見られたから。ルーカスはヴィックの所にいた当時の闘犬のチャンピオンで体も大きかったために「里親募集は危険」と判断されたためでした。
でも皮肉なことに全身を傷跡に覆われたルーカスは他の保護された犬たちよりもずっとフレンドリーで適応能力の高い犬だったんですけれどね。
そもそも犬が闘犬なんて馬鹿馬鹿しいことをやる理由は飼い主への忠誠心や飼い主を喜ばせたいためだから、凶暴で危険なのは犬のそんな性質を利用する人間の方。

メリルも世話をしてくれるベストフレンズアニマルソサエティのスタッフの人たちには心を許して、毎日広い敷地で遊んだり訓練をしたりして、他の犬と仲良く暮らしています。

映画の内容は「それ知ってる(ふふふん♪)」ってことと「そんなこともあったんだ」ということと、特定犬種規制法などの詳しい話などもあって予想通りの興味深いものでした。
テレビ番組の「ドッグタウン」や書籍「The Lost Dogs」でメインで取り上げられた以外の犬たちが多く登場しています。
犬たちの現在の飼い主さんとの出会いの光景や今の暮らしぶり、飼い主さんたちへのインタビューがとても印象的で、何度も目頭がジーンとしました。

映画の上映の後は、監督、法のエキスパート、ベストフレンズのスタッフの方による質疑応答もありました。
さらにその後は会場でのレセプション。オードブルと飲み物が用意されていました。
お料理がね、全部ヴィーガンで動物性のものは一切使われていなかったんですが、どれもお洒落ですごく美味しかった~。
飲み物はワインやシャンパンも準備されていたけれど、運転しなきゃいけないので涙を飲んで(笑)ジュースで我慢。


「おかーさんだけ美味しいもの食べてずるいー。」

この映画がきっかけで「LAで上映される際には一緒に行きましょう」と声をかけてくださった、ドッグライターで保護活動にも携わっていらっしゃる方と初対面して、おしゃべりが弾んだのも嬉しいことでした。またも犬様様。

レセプションの途中、こんな子たちも現れました。

「こんばんわ~」

きゃー可愛い!耳が極端に短く切られているし、保護犬だと思いますが、すごくおとなしくて良い子。
みんなに撫でられて嬉しそうにして可愛いったらありゃしない。

この子は男の子で、全体にブリッとしたマッチョな感じ。

でもものすごーく人懐っこくて、お尻プリプリ振って愛嬌を振りまく姿がたまりません。

しゃがんで撫でたら、何度もチューされましたよ。うひょー。ニコニヤには内緒にしとこう。


「内緒にしたってバレてるってのよ。」


「もっとナデナデして~。」

撫でられるとこんな嬉しそうな顔するんですよ。ああ可愛いなあ。

この写真はブレブレで良くないんですが、この子はプリプリマッチョ君と対照的に細くてスラリとした感じでした。


「若い犬だね」なんて話していたら、年齢を聞いたら10歳と言われてビックリ。10ヶ月みたいなのにね。
白い靴下履いてるし、「ニコみたいなだなあ」なんて思って見ていました。


ジョージアちゃんのパネルもありましたよ。


あ、それからこんなのももらった(笑)


家に帰ったらオットとオット友人が大喜びで遊んでいて「子供おっさんが二人か......。」と脱力しました。

あ、そうそう!大切なこと。
この映画、昨日から有料でダウンロードができるようになりました。
映画館で上映するとなると資金面などのハードルが高いけれど、こういう形で一般に公開できるようになったって良い時代ですね。

ダウンロードはこちらから。
http://www.championsdocumentary.com

日本からもダウンロードできるかどうかわからなくて申し訳ないのですが、もし出来たよという方がいらしたら教えていただけると有難いです。
幸せそうに暮らしているリトルレッドやジョニージャスティスの映像を見ていると、胸が熱くなっていっぱいになりますよ。


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「お留守番反対」「そうだそうだ」

ごはんも散歩も済ませたから行ったし、おとーさんもおじさんもいたじゃないか。
帰宅したらニコもニヤも寝ていたところを飛び起きて迎えてくれて嬉しかったけど
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The Champions

2015-11-07 22:51:22 | ヴィックの犬たち
ジャンッ!!!


(movie poster via http://www.championsdocumentary.com )


「おかーさん、それはいきなり何ですか!?」

これはね、マイケル・ヴィックのところから保護されたピットブル達を撮ったドキュメンタリー映画のポスター。

古くからうちのブログを読んでくださっている方は「ああ、また出たわね。」と思われるかもしれませんが
何しろこの本は私の「生涯の十冊」に間違いなく入る一冊なので、それが映画になったとなれば黙っているわけにはいかない。

『マイケル・ヴィックのヤミ闘犬場から保護された犬たちの救済と再生のストーリー。』
The Lost Dogs: Michael Vick's Dogs and Their Tale of Rescue and Redemption


あまりに入れ込んで2011年には本のあらすじを紹介した連載まで書きました。
http://nikologla.blog27.fc2.com/blog-category-20.html

旧ブログの「ヴィックの犬たち」というカテゴリーでトップの記事に連載したストーリーへのリンクを順番に貼り付けてあります。
ちょっと長いけれど、週末のお暇つぶしにでも。

こちらはdog actuallyにさらに短い要約を書いた記事
「元闘犬ジョージアの一生」

まずは映画のトレーラーをどうぞ。


最初に登場したのは今やすっかり白いお顔になったリトルレッド。
ワイオミング州の広い広い土地で優しいお母さんと暮らしています。
(ワイオミング州って全米で一番人口が少ないんです。人口密度が1㎢あたり2.2人ほど!
1㎞四方に2人しか人がいないんですよ!ちなみにカリフォルニアは90人/㎢東京都は6150人/㎢)
「私にとってはこの子はリトル。ニックネームでそう呼んでいるの。
 この子の体はあちこち傷だらけだけど、多くの人はそれを知らないし、服を着ていればさらにわからない。
 みんなこの子をただの小柄な老犬だと思っていて、私にとってもそれはありがたいこと。
 人がこの子にネガティブなイメージを持つことは望まない。この子が何のためにどんな風に生き延びたのかは知らない。
 だけど、とにかくこの子は生き延びた。」

二人目の男性はBAD RAPの代表ティム・レイサー氏。北カリフォルニアのピットブル保護団体。
ジョニー・ジャスティスやヘクター、レオが託された団体です。
「闘犬に使われる犬たちは闘うことが好きなんじゃない。そういう風に操られているだけなんだ。」

三人目の男性はベストフレンズアニマルソサエティの方ですね。
「闘犬に使われた犬は、まるで壊れた物品のように捨てられるのが長い間ずっと採られてきたやり方だった。
我々は元闘犬たちに第二のチャンスを与える道を作るために戦ってきたんだ。」

その後に続くのは実際にヴィックの敷地に捜査が入って犬を含む証拠品が押収されているシーン。

ハンサム・ダンとトレーナーのジョン・ガルシアさんの姿も見られますね(どっちもハンサムだ
次にハンサム・ダンとは今も昔もずっと友達のチェリーと飼い主さん。
そして最後の〆はもういちどリトルレッドが。
「もう誰も決してこの犬を傷つけない。」という力強い言葉が胸を突きます。


「他には誰が映画に出てるの~?」

メインでストーリーが語られるのはベストフレンズから巣立ったチェリー、リトルレッド、ハンサム・ダン、メル、
BAD RAP出身のジョニー・ジャスティス、そして唯一ヴィックの所から保護されたのではないスレイターという犬。
スレイターは特定犬種規制法の問題を語るために出演しています。

脇役で登場するのはジョージア、メリル、ルーカス、デンゼル、ウィリー、タグ、ミア、カーリー、ランス、
ここまではベストフレンズに行った子たちですね。ウィリーやタグは多分生涯をここで過ごすでしょう。
そしてオーディー、ヘクター、レオ、サリー、この子たちはBAD RAP組。


「で?おかーさんはいつ観に行くの?」

それがさあ、10月の下旬から各地の映画祭で上映が始まったばかりで
まだ今の所その5カ所の映画祭での上映しか発表されてないの。
あろうことかロサンゼルスでの上映はまだ発表されてないのよー。

そんなわけで、本さえ翻訳されてないのに日本で上映されることはまずないと思うのですが
上に貼り付けたトレーラーだけでも、かなり感慨深いのでぜひ見ていただきたくて。

映画の公式サイトでは素敵な写真もたくさん紹介されています。
http://www.championsdocumentary.com

いつか必ず観に行くので、その時にはまたブログに書きますね。


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ベストフレンズアニマルソサエティからの旅立ち

2015-05-21 18:28:24 | ヴィックの犬たち
先日から、書こう書こうと思いながら伸ばし伸ばしになっていたこと。
それはマイケル・ヴィックのところから保護されて、アメリカ屈指の保護団体ベストフレンズアニマルソサエティで過ごすことになった犬たちのお話です。

それは何?と思われた方、興味がおありでしたらぜひこちらをご覧になってみてください。
http://nikologla.blog27.fc2.com/blog-category-20.html

旧ブログの「ヴィックの犬たち」というカテゴリーなのですが、トップの記事に連載したストーリーへのリンクを順番に貼り付けてあります。
ちょっと長いけれど、週末のお暇つぶしにでも。

英語でも構わないよという方はぜひ原作のこちらを。
『マイケル・ヴィックのヤミ闘犬場から保護された犬たちの救済と再生のストーリー。』
The Lost Dogs: Michael Vick's Dogs and Their Tale of Rescue and Redemption



ヴィックの犬の中の一頭だったヘクターの兄貴分ウォレスがディスク競技のチャンピオンになるまでのドキュメンタリー。
Wallace: The Underdog Who Conquered a Sport, Saved a Marriage, and Championed Pit Bulls--One Flying Disc at a Time



すみません。前置きが長くなってしまいました。

ヤミ闘犬に使われ虐待されていた50頭以上のピットブルのうち、最もリハビリが困難であろうと思われた22頭はユタ州にある動物保護団体ベストフレンズアニマルソサエティのサンクチュアリに預けられました。
当初は彼らに家族を見つけてあげることはほぼ無理なのでは?と思われていたのですが、多くの犬たちが里親募集解禁の条件であるグッドシチズンテストに合格し、生涯の家族の元へと送り出されました。

その中の2頭の犬、ランスが5月5日に、レイが5月15日に虹の橋を渡って行ってしまいました。


「ジョージアやヘクターみたいに幸せな一生だった?」

うんニヤ。それは大丈夫。

ランスもレイも彼らのことを書いたドキュメンタリー「The LOST DOGS」の中でも大きく取り上げられてはいなかったのですが
もちろん彼らにも大きな戦いと素敵な物語がありました。

ランスは大きな黒い立派なピットブルだけれど、怖がりビビりグループ所属でした。
リードをつけて普通に散歩ができるようになるまで何ヶ月も何ヶ月もかかりました。

広い広いサンクチュアリの敷地内をゴルフカートに乗せてもらって移動するのも大好きになりました。
怖がりのランスのために走るコースは常に同じでないといけなかったんですけれどね。

知らない人間もとても怖かったけれど、いつも世話をしてくれるスタッフの皆さんのことは大好きになり
普段はベストフレンズのオフィスでスタッフや猫たちといっしょに穏やかに過ごしていました。

でもランスにとってグッドシチズンテストは超難関テストでもありました。
ランスの姿を見て心を奪われ、ぜひうちに迎えたいと言ってくれたご夫妻は何年も合格を待ってくださいました。
そしてランスはついに去年、念願の合格を果たし、無事にご夫妻のおうちに迎えられました。

ランスの最後の1年は大好きなヴィクトリアさんとジョージさんご夫妻と過ごした最高の時間でした。
ランス10歳。今度生まれてくる時は最初から幸せなおうちに行くんだよ。

ランスの姿はこちら

そしてもう1頭。10日遅れてランスを追いかけて行ってしまったのはレイでした。

レイはビビりのランスとは対照的にいつもいつも跳びはねている陽気な犬でした。
とは言っても躾などされたことのないレイのそんな行動は度を越していて、トレーナーさんに苦労をかけました。
けれど人間が大好きなレイは、人間といっしょにいるためには行儀よくしなくちゃいけないんだということを学び落ち着いていきました。

レイは比較的早い時期にグッドシチンズテストに合格し、ベストフレンズのスタッフでもあるジャクゥさんとケヴィンさんご夫妻の家に迎えられました。
人間が大好きで、生涯の中で可能な限りたくさんの人に出会って笑顔を振りまくのが使命だと思っているような犬だったレイ。

そんなレイでしたが、彼の生涯はバベジア症との闘いの連続でもありました。
ヘクターもそうだったのですが、闘犬に使われていた犬たちは血の流れる傷口をそのまま放置されていたために、ダニが媒介するバベジア症に罹る率がとても高いのです。

自らの使命を果たすために笑顔を振りまき続けたレイは、当然ながらたくさんの人から愛されていました。
過酷な運命などものともせずに笑い続けたレイ。天国で思う存分跳びはねてるのかな。

レイの笑顔はこちらです。


「もう一人、サヨナラの人がいたんでしょ。」

そう。昨日、ベストフレンズのFBやブログで発表があったもうひとつの訃報。それは団体の共同創設者の一人Estelle Monroさんのものでした。
まだ今のような立派な団体になる前、ストリートで地道に募金活動をしていた頃の主要メンバーのお一人です。
エステルさんは子供の頃に患ったポリオのせいで足が不自由で、呼吸器にも障害が残ってしまったために
標高の高い場所にある現在のサンクチュアリに行って働くことは断念されました。
けれどその精神はいつも仲間や動物たちといっしょで、団体に寄せられた手紙への返事をご自宅で書いたりなさっていました。

今、ランスやレイはもちろんのこと、サンクチュアリでお世話になったたくさんの動物たちに囲まれて天国にいらっしゃることと思います。

ランス、レイ、そしてエステルさんの魂が安らかでありますように。



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