《最初に》
ささやかなプレゼント企画です。 締め切りは8月10日。
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たいへん長らくご無沙汰してしまったドッグフード原材料シリーズです。
2ヶ月以上も間が空いてしまった!
「間が空きすぎだよ〜」
ホントだよね〜、反省。
さて、久しぶりの今回は「モグワン」です。
限定した代理店のみが輸入してオリジナル製品として日本で販売しているものです。
代理店のサイトでは明言はしていませんが、イギリスのカナガンの工場で製造されているようです。
ではまず原材料を見ていきましょう。
チキン&サーモン56%(チキン生肉21%、生サーモン12%、乾燥チキン12%、乾燥サーモン7%、チキングレイビー2%、サーモンオイル2%)
サツマイモ、エンドウ豆、レンズ豆、ひよこ豆、ビール酵母、アルファルファ
ミネラル類(亜鉛、鉄、マンガン、ヨウ素)、ビタミン類(ビタミンA、D3、E)
ココナッツオイル、バナナ、リンゴ、海藻、クランベリー、カボチャ、カモミール、マリーゴールド、
セイヨウタンポポ、トマト、ショウガ、アスパラガス、パパイヤ、
グルコサミン、メチルスルフォニルメタン(MSM)、コンドロイチン、乳酸菌
一番最初の原材料がチキンとサーモンというのは良い点ですね。
原材料の時点で生のものと乾燥のものが内訳は書いているけれど、一緒に記載されているのは珍しいパターンです。
生の鶏肉が21%、生鮭が12%ということですが、肉も魚も生の状態では水分がとても多いので
調理後の乾いた状態ではかなりカサが減ります。
そのため実質は、生の鶏肉や鮭よりも乾燥チキンと乾燥サーモンがメインの可能性が高いです。
注意が必要なのは乾燥チキンと乾燥サーモン、アメリカやカナダではこの書き方だと
チキンミールやサーモンミールではなく、肉部分だけを乾燥させたものなのですが
イギリスでは副産物を含むミールも乾燥○○という書き方をしても良いということ。
カナガンのイギリス本国のサイトでも、モグワンの販売サイトでも乾燥ミールについて
特に詳しい説明がされていません。
もしコストの高い「肉部分だけを乾燥させたもの」なら、きっとアピールがあるはずだと思うので
これはどちらもミールと考えて良さそうです。
チキンとサーモンで全体の56%と書かれている中に、チキングレービーやサーモンオイルも含めるのも珍しい。
チキングレービーって本来は人間の料理の名前ですが、多分チキン副産物のスープで風味付けの目的でしょう。
サーモンオイルは、免疫機構や皮膚に大切なオメガ3脂肪酸のソースとして理想的なものです。
サツマイモというのは正確ではなくて、オレンジ色で水分の多いスイートポテトのことです。
βカロチンを豊富に含みます。
エンドウ豆、レンズ豆、ヒヨコ豆と豆類が多く使われています。
豆類は共通して炭水化物、タンパク質、食物繊維が豊富です。
この製品はグレインフリーを売りにしていますが、スイートポテトと豆類が原材料の上位にあるので
炭水化物はかなり多く含まれます。
この製品の粗タンパク質は30%以上と表記されていますが、このうちの少なくない割合が
豆由来のタンパク質であることはチェックポイントです。
ビール酵母はビールを発酵させるための酵母ですね。
ビタミンB群やアミノ酸、ミネラル類を豊富に含みます。
またプロバイオティクスとしての働きもします。
アルファルファは別名ウマゴヤシと呼ばれるほど栄養豊富な植物です。
その栄養の高さからドッグフードに使われている事が多いですね。
その次のミネラルとビタミン類なのですが、これがちょっと謎。
ミネラル類(亜鉛、鉄、マンガン、ヨウ素)、ビタミン類(ビタミンA、D3、E)
少ないですよね?普通ドッグフードのビタミンミネラルってズラーッと名前が並びますよね。
イギリスのフードは結構こういう事が多いです。
全部表示するようにという規制がないのか、本当にこれだけしか入っていないのかが謎。
カルシウムの名がどこにもないのですが、乾燥チキンには骨も含まれているんだろうか?
それだと、どのくらいのカルシウムが含まれるか不明なので表示に差し支えると思うんだけど。
ビタミン類もビタミンB群が一切書かれていない。ビール酵母が入っているからそれでOKってことか?
ココナッツオイルはヘルシーなオイルとして知られていますが、その点は製法によって変わってきます。
低温圧搾という自然な搾り方で作られたものは、栄養成分がそのまま含まれていますが
薬品を使って搾ったものではいくつかの栄養成分が失われ、体に悪影響のおそれさえあります。
できればココナッツオイルの製法が書かれていると良かったのですが、その点は不明です。
バナナ、リンゴ、カボチャは飛ばしますね。
その次の海藻はアスコフィラムノドサムという種類で、歯石や歯垢を予防する働きがあるものです。
海藻ですからヨードも豊富に含みます。
クランベリーはビタミンCと抗酸化物質が豊富な果物です。
尿路感染の予防効果が知られていますが、フードに使われている量ではその効果は期待できません。
カモミールは健胃作用、マイルドな抗炎症作用、気持ちを落ち着ける作用のあるハーブです。
マリーゴールドはハーブとしてはカレンデュラという名が一般的です。抗菌、抗炎症作用があります。
セイヨウタンポポは利尿作用、健胃作用のあるハーブです。
その次にトマトとありますが、これはトマトポマースのことじゃないかなあと思っています。
トマトポマースとはトマトジュースなどを搾った後の繊維を乾燥させたものです。
抗酸化物質を含む食物繊維としてよくドッグフードに使われます。
ショウガもハーブの一種ですね。体を温める作用があり、抗酸化作用も期待できます。
パパイヤはビタミン、消化酵素、抗酸化物質を多く含む果物です。
フードに含まれているものでは効能というほどのものは期待できないかもしれません。
グルコサミン、MSM、コンドロイチンは関節の軟骨組織をサポートする食材で、関節炎のサプリメントの定番です。
乳酸菌は腸内環境を整えるプロバイオティクスとして添加されているのかと思います。
「全体的に見てどうなんですか?」
全体的に見ると、乾燥チキンや乾燥サーモンが副産物を含むミールなのかどうかが曖昧だとか、
ミネラルビタミン類の添加が少ないけれど大丈夫なのか?と、気になる点はあるけれど
良いフードだと言えるかと思います。
動物性タンパク質がしっかりと使われているし、オメガ3脂肪酸もきちんと摂取できる。
ハーブ類が使われているけれど、どれもマイルドで安全性の高いものです。
サプリメントも関節対策やプロバイオティクスも含まれていて行き届いています。
ビタミン類に関してはビール酵母や野菜果物で補えている可能性もありますし。
ただカルシウムだけは、メーカーに問い合わせて確認した方が良いかもしれません。
製品そのものは良いのですが、気になる点が1つ。
「出た!今から文句言い始めます!」
文句言うわけじゃないんだけど、クリアにしておきたいことだからね。
この製品の会社のサイトでは、モグワンが穀物フリーであることを大きくアピールしています。
元来肉食の犬にとって消化しづらい穀物は一切使っていないということですが、
犬は肉食というよりも雑食で、人間暮らしてきた1万年以上の間に穀類は多く食べてきています。
一方、先にも書いたように、この製品には豆類が多く使われ、ポテトも使われています。
犬は元来肉食であると言うなら、この炭水化物と植物性たんぱく質の量は矛盾していますね。
あと、モグワンと検索画面に入力すると自動的に「ステマ」という言葉が出てくるくらいに
一見オススメ記事のように見えて実は宣伝であるという販売方法がよく知られているようです。
決して悪いことではないのですが、他社の製品に比べて「やり過ぎ感」が強いのは確かです。
せっかく良い製品なのに、イメージが悪くなっているのはもったいないなあという気がします。