《はじめに》
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締め切りは8月5日、たくさんのご参加をお待ちしています!
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「ニコもおかーさんも待ってるからね〜」
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久しぶりになってしまって恐縮ですが、ドッグフード原材料シリーズです。
今回はちょっと違う方向性で、元祖日本のドッグフードのビタワンです。
ビタワンは1960年に日本で初めて国産のドッグフードとして販売が開始されました。
この犬の顔のデザインは途中でマイナーチェンジしていますが、常に商品の顔として
親しまれて来ました。 特に最初の頃のデザインはすっきりしてとても良いですよね。
それまでご飯に味噌汁をかけたものなどを与えられていた日本の犬が
ビタワンの総合栄養食を食べるようになって、飛躍的に栄養バランスが良くなったのは確かだと思います。
その功績には心から感謝したいと思います。
さて、原材料は以下の通りです。
穀類(トウモロコシ、脱脂米糠、小麦ふすま、小麦粉、コーングルテンフィード)、
肉類(チキンミール、牛肉粉、豚肉粉、チキンレバーパウダー)、
油脂類(動物性油脂、γ-リノレン酸)、豆類(おから粉末、大豆粉末)、
ビール酵母(β-グルカン源)、ハーブ(タイム、ディル、フェンネル)、
小魚粉末、野菜類(トマト、ニンジン、ホウレンソウ)、
クランベリーパウダー、オリゴ糖、カゼインホスホペプチド、
ミネラル類(カルシウム、リン、ナトリウム、クロライド、鉄、銅、マンガン、亜鉛、ヨウ素、コバルト)
ビタミン類(A、B2、B6、B12、D、E、パントテン酸、コリン)、
酸化防止剤(ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物)、香料、グルコサミン
アミノ酸類(アルギニン、メチオニン)、バチルスサブチルス(活性菌)、コンドロイチン
残念ながら最初から盛大に穀類の名前が並んでいます。
トウモロコシはタンパク質が豊富な穀類ですが、タンパク質を組成するアミノ酸のうち犬にとって必須であるトリプトファンが不足しています。
米糠はビタミンB群やE、ミネラル類、食物繊維が豊富です。ここでは他の穀類の栄養補助的な役割です。
小麦ふすまは米で言えば米糠に当たる部分で、同じく栄養豊富です。米糠同様に穀類の栄養補助的役割です。
小麦粉は、小麦グルテンと言うタンパク質を含みます。植物性タンパク質の中でも犬には消化しづらいものです。
またタンパク質を組成するアミノ酸のうち犬にとって必須であるリシンが不足しています。
コーングルテンフィードは、コーンスターチなどを採った後のコーンの繊維に、
他のコーン製品を作る時に乾燥コーンを戻すために浸した水分を加えて加工したものです。
乾燥コーンを浸した液にはタンパク質など栄養分が溶け出しているので、これをコーンの繊維に吸わせて乾燥させた製品です。
副産物を上手く利用した食材で、食資源を無駄にしないと言う点では意味があります。
次には動物タンパク質の肉類が並んでいますね。
このフードは日本産なので、ミール類については日本基準で解説します。
チキンミールは、日本産の場合は肉の他に副産物と呼ばれる足や頭なども含まれます。
また羽や嘴なども含まれることが多いです。これらを加熱して脂を搾り、乾燥加工したものです。
牛肉粉、豚肉粉は人間用の精肉を切り取った残りの部分と、内臓など副産物と呼ばれる部分を
加熱して脂を搾り、乾燥加工したものです。日本では牛の肉骨粉は製造が認められていません。
チキンレバーパウダーはレバーを乾燥加工して挽いたものです。
油脂類は動物性油脂と書かれており、多分牛、豚、鶏の脂の混合だとは思うのですが
具体的に原材料の名前を書いてほしいところです。
次にγリノレン酸と書かれていますが、これはオメガ6脂肪酸の一種で、原材料の名前ではないものです。
γリノレン酸を含むオイルは、月見草オイル、ボラージオイル、カラントオイルくらいしかないのですが
多分この中では一番安価な月見草オイルが使われていると思います。
良いオイルなのですが、月見草は癲癇など発作性の疾患がある場合には禁忌ですので
本当はきちんと何のオイルを使っているか表示して欲しいところです。
豆類はおからと大豆粉末が並んでおり、植物性タンパク質再登場です。
大豆製品はトウモロコシや小麦のタンパク質に比べてアミノ酸をバランス良く含みます。
ただ、おからと大豆粉末自体が犬には消化しづらいと言う欠点はあります。
ビール酵母はβグルカン源と書かれていますが、βグルカンは多糖類の一種で、免疫力を強くする働きがあります。
ビール酵母は他にもビタミン類やアミノ酸類も豊富で、整腸作用も期待できる食材です。
ハーブ類のタイム、ディル、フェンネルのうちタイムは抗菌作用が強く、長期で使うのは避けたいものです。
ディルとフェンネルはマイルドで毎日使っても特に問題はありません。
どちらも消化を促進し、ガスを排出する働きがあるので、このフードを食べるとオナラが増える犬もいるかもしれません。
オナラは無臭であれば、腸内のガスを抜く意味でも出るのは良いことです。
臭いオナラは消化不良のサインでもあるのでご注意を。
小魚粉末は、カルシウム他ミネラル類の補給に良いのですが、煮干しのような乾物の小魚を単純に粉にしたものなのか、
それともフィッシュミールのことなのかが不明です。(多分フィッシュミールだと思いますが)
トマト、ニンジン、ホウレンソウ、これらは多分野菜ジュースなどに使われた搾りかすだと思います。
食材の有効利用という点で良いことですね。
クランベリーパウダー、泌尿器系の働きをサポートするクランベリー。
アントシアニンなど抗酸化物質も多く含みます。
オリゴ糖、腸内細菌の餌となって腸内環境を良好に保つプレバイオティクスです。
(プロバイオティクスは細菌微生物類、プレバイオティクスはその餌)
カゼインホスホペプチドは牛乳のカゼイン(タンパク質)を加水分解して得られるペプチドです。
カルシウムの吸収を促進する働きを持っています。
その後にはミネラル、ビタミン類が並んでいますが、吸収アップのための加工の有無は記載がありません。
酸化防止剤がミックストコフェロール(ビタミンE)とローズマリー抽出物という天然由来のものであるのは安心です。
グルコサミン、コンドロイチンは関節のためのサプリメントとしてよく知られていますね。
ビタワンではシニア用だけに使われている食材です。
アミノ酸類はアルギニンとメチオニンが添加されています。どちらも必須アミノ酸です。
アルギニンは大豆にも多く含まれますが、犬が大豆を消化しにくいことを考えると添加されていると安心です。
メチオニンはミールなどに加工する際に損傷しやすいので、こうして添加されることが多いものです。
バチルスサブチルスというプロバイオティクスが添加されていますね。
この価格帯では珍しいし、良いことだと思います。
「それで、全体的にはどうなんですか?文句が多かったようだけど」
ドッグフードのタンパク質は動物性のものがメインというのが原則だと思っているので、その点では残念な感じは否めません。
ただ、国産の同じくらいの価格帯の製品に比べると、添加物の選択や植物性食材の組み合わせは丁寧だと思います。
多分消費者がそこまでの情報を求めないからというのもあるかと思いますが、原材料の表示が
もうちょっと丁寧で細かければいいのになというのも感じます。
もしこの製品を使われる場合は、タンパク質17%と低めですし、肉類や魚のトッピングをお勧めします。
このフードにはオメガ3脂肪酸の摂取源になるものがないので、魚類のトッピングは良さそうですね。
穀類を摂取することについては、私はそれほど警戒はしていません。
その理由は、先日アップしたこちらもご覧ください。
この製品は合成の酸化防止剤や着色料も使われていないし、老舗らしい丁寧さが感じられます。
でも残念ながら、ビタワンの新しいラインでは「これは絶対に避けたい!」という添加物が使われています。
スーパーやドラッグストアで手軽に買える老舗の製品というマーケティング上、
価格を抑える必要はよーくわかるのですが、時代に合わせて新製品を作るなら
「ビタワンのプレミアム」的なフードも作ってくださるといいのになあと思いました。