神足勝記を追って

「御料地の地籍を確定した神足勝記」を起点として「戦前の天皇・皇室・宮内省の財政について」のあれこれをとりあげる

No.329 どう変化させるか

2024-11-10 00:54:17 | 時評
(1)物事は必ず変化します。ものごとが変化しないということは、変化を止める作用が働いているからです。
 身近な例でいえば、私の部屋がいつも快適な状態を保っているのは、アノ素晴らしいカミさんがいろいろと手をかけてくれているからです。つまり、悪くならないようにしているからです。部屋は、何もしないで使い続ければ、変化して〔よごれて〕いきます。住宅などは、適宜に修繕の手を入れなければ、ついには倒壊してしまいます。

(2)いま物事といいましたが、社会も変化します。社会も、様々な事情のために変化が速さを増したり、停滞したりすることがありますが、必ず変化します。
 社会という場合、昆虫や動物など社会もありますが、人間の社会の場合はほかの生き物とはちょっと違います。人間も他の動物と同様には微生物から進化してきて今日があるわけですが、進化のある段階で次々にほかの動物から分化して「ホモサピエンス〔現生人類〕」になり、そして、労働して必要なものを作り出す経済社会をつくり始めました。

(3)この社会は、今日では、たとえば日本では97%を占める勤労者〔農林漁業従業者〕と3%の資本家〔大企業のオーナーや資産家〕に分化しています。人口では前者が圧倒的に多数を占めますが、経済力では後者が圧倒的な力を持っています。ですから、人間の社会は、石とか粉などの物質のように均質ではありません。アリやハチの社会には役割分担があることがわかっていますが、人間の社会が97%と3%に分かれているのは役割分担ではありません。これは人間社会が経済的に分化・分解していることを示しています。

(4)この経済的分化は、個人の責任ではありません。ましてや親の責任でもありません。日本でいえば、徳川社会の中で経済が発展して商品経済が発展してくると、それがもとでが封建社会や身分制度が崩れて、明治維新を契機として近代的な経済制度に移りました。時期としては、明治15年以降にできてきたものです。これが徐々に発展して、97%の国民と3%の国民になっているわけです。

 (5)大きく社会が近代社会へと発展して、人間の権利〔人権〕は平等ですが、経済力には大きな差が生まれました。たとえば、先日のアメリカ大統領選挙では、トランプ陣営のマスク氏は、投票日まで毎日、トランプ氏に投票した人の中から1名に1億円を贈呈していました。これは体のよい買収だと思いますが、マスク氏がこういうことをできるのは、彼が自分で稼いだからではなくて、この社会の仕組みが、彼のような特定の人に巨額の利益が渡るようにこの社会がなっているからです。これは日本でも同じです。
 
(6)この社会は資本主義経済ですから、放っておくと、富める人はますます富んで、所得の低い人やない人(高齢者・病気の人・非正規労働者・パート・アルバイトなど)、広く貧しい人は益々悲惨な状態になります。何もしなければ、社会の変化がどんどん格差が広がる方に向かっていきます。それでは社会全体が悲惨なことになるので、国家が政策を立てて財政資金を使って救済措置〔失業対策・福祉制度など〕が取られるようになりました。1930年の世界恐慌以来、多くの資本主義国で有効な景気対策としてもやられてきました。これを理論化したのがケインズですが、ところが、これには膨大な財政資金が必要となります。

(7)その後1970年になって、経済がグローバル化し新自由主義的な経済思想が広まってくると、資本には祖国がないとよくいいますが、世界に飛び出したい資本からすると少しでも投資に向ける資金を確保することが必要になり始めました。それには税金を下げることが有効です。そこで、政府に大企業の法人税や高額所得者の減税を促進させるために、福祉切り捨てなどをやらせ、自助努力を言って消費税の導入を図ってきました。

(8)だいぶ長くなりました。
 要するに、人間の社会は、ほかの動物と違って、経済社会で成り立っています。ところが、これは大きな資産を持っている3%の国民に有利な社会になっています。そのため、放っておけばどんどん悲惨な状態になって行きます。そこで、97%の国民が起こって社会が転覆させられないように政府〔国家〕が財政政策をとって悪くならないようにしてきたわけです。ですから、もし政府に何らかの事情があってできないとかやらない場合には、国民は選挙を通じてこれを造り変える権利があるわけです。今回の選挙の結果は、そういうことを国民が要求したものです。

    

【コレクション 106 吉田松陰全集】
 今日は、吉田松陰全集です。
 吉田松陰全集は、下に紹介する中に出てきますが、岩波書店から2回刊行されました。
 1回目は昭和9~11年で、〔定本版〕といわれている漢文のまま編集したものです。
 2回目は昭和13~15年で、〔普及版〕といわれる読み下し文に改めたものです。
 下のパンフレットのうち、岩波版は〔定本版〕を復刻したときのものです。
 また、あとのマツノ書店版は〔普及版〕を復刻したときものです。

1.〔定本版〕:岩波書店版 
    

 この大きさはB5判6㌻です。B5判3枚分の横長の用紙を、最初に左から3分の1を三つ折りし、次に右から3分の1を折り込むとできます。
 全体は、
 1㌻上掲
 2㌻ 推薦文 奈良本辰也 『吉田署運全集』の復刻を喜ぶ
    *下に載せました。お読みください。
 
   

 2~3㌻ 全10巻の内容
 3~4㌻ 推薦文 野村幸祐 財団法人山口県教育会理事長 『吉田松陰全集』の復刻に期待する
 4㌻ 本文組方見本
 5㌻ 岩波書店 復刻にあたって
    本全集の特色
 6㌻ 装丁見本
    刊行案内 限定復刻650部 菊判 平均630㌻ ていか:8万円 岩波書店

2.〔普及版〕:マツノ書店版
    

 この大きさは、B5判4㌻です。B4判の用紙を二つ折りしてできています。
 全体は、
 1㌻ 上掲
 2㌻ 内容見本
 3㌻ 装丁見本 
    刊行案内 体裁:全12巻+別巻1 A5判7000㌻
         定価8万円(出版部創設16周年記念特価6万円) 
         発売:平成13〔2001〕年 マツノ書店
 4㌻ 推薦文 山口県教育会 マツノ版『吉田松陰全集』を推薦します
    *下に載せました。お読みください。刊行経緯などが記されています。

    

 以上です。

 長くなりました。今日ここで。

    
      今日の15時の月


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