(1)昨日(11日)、『朝日新聞』27面に載った「ノーベル平和賞 被団協・田中煕巳さん演説(全文)」を読みました。たいへんすばらしいと思いましたから、これからいくらかのことを引用して書きました。ところが、今日(12日)の『しんぶん赤旗』4面の「主張」を読んだところ、次の1節が眼にとまりました。特に下線部分に注してください。
(2)田中さんは講演で、援護施策の拡充を勝ち取ってきた運動の歴史を語りました。しかし、「何十万人という死者に対する補償は一切なく、日本の政府は一貫して国家補償を拒み、放射線被害に限定した対策のみを今日まで続けてきています」と力を込め、しかもこの言葉を2度繰り返し、強い憤りを表しました。
(3)これを読んで、私は怪訝に思いました。田中さんが「2度繰り返し」たところがあっただろうかと。そこで、読み直してみました。しかし見つかりませんでした。
『朝日新聞』には「・・・演説(全文)」とありますから、よもや削るなどということはしてないだろうと思っていましたが、念のため、『しんぶん赤旗』3面に掲載されている「日本被団協ノーベル平和賞受賞式 田中煕巳代表委員の公演(全文)」を読んでみました。
なお、こちらのタイトルは「・・・講演(全文)」ですが、講演を文字化したものですから、『朝日新聞』で「ふもと」、『しんぶん赤旗』で「麓」というような差異のほかに違いはないといってよいと思われます。問題は「2度繰り返し」たところです。それがありました。
(4)上の(2)の「 」の文章にあたる箇所から引用し直します。下線部分が欠落箇所です。
「何十万人という死者に対する補償は一切なく、日本の政府は一貫して国家補償を拒み、放射線被害に限定した対策のみを今日まで続けてきています。もう一度繰り返します。原爆で亡くなった死者に対する償いは、日本政府は全くしていないという事実をお知りいただきたいというふうに思います。」
(5)では、『朝日新聞』はこの件をどうしたでしょうか。
実は「12日付」の27面に「政府の責任を問う「予定外」の発言」として載せて次のように書いています。
「田中さんは授賞式のスピーチに予定していた原稿にはなかった発現を盛り込んだ。11日午前に開かれた会見で、「ふと衝動的に決めた」と明かした。「戦争犠牲者に対する国家補償は日本だけでなく国際的な問題でもある」として、世界全体で関心をもってほしいという願いから繰り返したという。」
(6)しかし、この釈明は変です。
1.『朝日新聞』は演説をチェックしないで掲載したのでしょうか?「(全文)」と書いていながら全文でなかったお詫びをきちんとすべきです。
2.田中さんは、演説では「・・・日本政府は全く〔補償〕していない」と政府批判をしたのです。ここを欠落させたことが意図でないとすると、お詫びもないままに、「衝動的に決めた」とか、「国際的な問題云々」という裏話で済ませていますから、これは、「全文」といいながら、「演説チェックをサボった誤魔化し」でしかありません。
3.「政府の責任を問う」とタイトルをつけています。違うとは言いませんが、田中さんが言いたいのは、そのような生ぬるいことでなく、これまでも、そして現在も牢固としてしがみついている核政策と一体となった無補償政策なのです。それはこの演説の全体を読めばわかることです。もっとまじめに扱うべきでしょう。
【コレクション 133 大川周明関係文書】
大川周明については「No.93 酒田行」でも触れました。個人的には高校の時の担任(世界史担当)の大川純三郎先生のおじということがあります。いくらかの本を読みましたが語るほどではありません。下の写真を見ると、風貌がそっくりです。残余は前にも書きましたから略します。
このパンフレットの大きさはA4判、4㌻です。A3判の用紙を二つ折りにしてできています。全体は、
1㌻ 下に掲載 A5判 848㌻ 定価:19000円 芙蓉書房出版
2㌻ 下に掲載 略
2・3㌻ 内容紹介 1.論文 2.収録者
4㌻ 組見本 刊行案内
1㌻
2㌻
以上です。
時間がなくなりました。今日はここで。
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