(1)「自由主義」と「新自由主義」という言葉があります。どちらにも「自由」が付いていて同じように見えますが、出てきた時代も、意味する内容も全然違います。
「自由主義」は18Cころの経済学者アダム・スミスたちの考え方です。
日本の江戸時代までを見ると、座とか株仲間とかいう幕府から許可を得た特権商人だけが経済活動を許されるという時代がありましたが、それと同様に、イギリスでも王様から特権を与えられた商人だけが経済活動を許されるということが普通で、多くの封建的制限がありました。アダム・スミスらは自由な経済活動こそが国民に多くの富をもたらすと考えたわけです。
スミスの「自由」は、「封建的制限から自由」、「封建的制限の撤廃」がその内容でした。
(2)資本主義経済の主要な内容は「機械を用いた大規模工場での生産」で、利潤を求めての競争経済です。そこでは、売れるだろうと見込んだものを、競争相手よりも効率よく安価に生産して、優位な立場に立つことが求められます。すると、機械の方を優先した労働者の働かせ方をするとか、より安く生産するために人件費を抑えようとして、生産に携わる労働者の労働環境を無視した働かせ方をしたり、女性やこどもを夜間でも働かせるという過酷なことが起こってきました。その結果、労働者の状態の改善の要求や必要性が叫ばれ、社会的に政策や福祉向上などの措置がとられ、労働者・女性・児童の権利を擁護して、異常な働かせ方を制限する法律が制定されてきました。それが福祉国家といわれるものです。
ちなみに、現在の日本では、勤労者〔サラリーマン・農林漁業者・中小業者〕が、〔老人や子供をのぞいた〕現役層の95~98%を占めています。
(3)ところが、社会政策とか、福祉政策は膨大な資金を必要とします。そのために必要な資金を社会の中のどこかから持ってこなくてできません。どこかというのは「持っている人」=富裕層、結局は資本家層です。でも、富裕層はできれば負担したくありません。そこで、世界的に起こってきたのが、福祉国家は〔資本の〕自由な経済活動にとって重荷だという考え方です。これが、二つ目の「新自由主義のいう自由」です。
(4)新自由主義は、政府が労働者対策や福祉政策などをとると大きな経費が必要になり、結局、資本として使われる資金を政府が吸い上げてしまい、自由な経済活動を阻害する要因となる、だから、政府は福祉政策などをやめて最小限ことだけをするのでよい、と考えます。
そして、もし国民が政府に特別の政策を求めるなら、それに対する応分の自己負担させよ・・・といって導入させたのがあの「消費税」です。
しかし、福祉のためといって導入された消費税も、結局、法人税減税と所得税の減税の穴埋めに使われてしまっているということは、まともな財政学研究者ならだれでも認めていることです。
(5)ともかく、新自由主義は、福祉などの政策は資本として使われる資金を吸い上げてしまうから邪魔だ、無駄だ、と目の敵にします。それは、大手の資本や高額所得層にとっては都合よくても、大多数の国民には、負担ばかり増えて生活が向上しない状態を強いるものでしたが、政府は小さい方がよいといっていろいろなものを切り捨てて、その一方で国民の負担を増やしてきました。
(6)この点、アダム・スミスも「小さい政府」ということをいいました。
アダムスミスの時代は、経済がこれから資本主義へ入っていく直前の時代ですが、その前は重商主義の時代といって、王様が強い軍隊をもって、航路や植民地を維持して商業活動を活発におこなうことが国内に大きな富をもたらすことができた時代でした。
軍事は膨大な経費を必要としますから、必然的に「大きな政府」となりました。しかし、その政策が成功して、国内に富が蓄積されると、危険の思いをして国外に出て行かなくとも、国内に蓄積した資本を使って国内で生産する方は安全・有利となります。
そうなると、軍事はそれまでのようなには必要でなくなります。必要のない軍事にを続けると、税として国内で使用できる資本が吸い上げられ障害になります。そこで、政府は無用な軍事をやらないで小さい方がよいという考えになりました。
(6)スミスは、新興の国民経済社会のブレーンとして、古い封建的諸制度と戦ったわけですが、それに対して、新自由主義は、資本主義経済のしわ寄せを受ける国民を保護するために培ってきた制度、つまり国民を目の敵にしているわけです。これは、日本では、中曽根内閣以降、岸田内閣までの歴代内閣が取っている立場です。
【コレクション 76】
きょうは、『伊藤博文文書 原典 秘書類纂』です。
伊藤は「人気」がありますから、大きくしておきますから、読んで見てください。
大きさはB5判、4㌻、B4判を二つ折りしてできています。
このほかに、B5判1枚が挿入されています。
全体は、
1㌻ 上掲
2㌻ これは下に載せます。
3㌻ 推薦の辞 鳥海 靖 中央大学教授 近代日本史研究の宝庫
沼田 哲 青山学院大学教授 「秘書類纂」刊行に期待する
伊藤博文略年表 伊藤の写真2枚
4㌻ 内容見本
刊行案内 全40巻 A5判 平均500㌻ 定価各巻9000円
刊行日 平成14〔2002〕年12月から 北泉社
以上です。挿入分も下に載せます。
2㌻ 写真には、伊藤のほか、木戸孝允や大隈重信も映っているようです。
挿入分です。イロハ、元々このように薄いインクなのでご湯者を。
やはりこういう努力をされる人がいるんですね。この挿入は貴重です。
なお、この裏面は刊行予定表になっています。
では、ここまでとしましょう。
公園の草むらで
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