神足勝記を追って

「御料地の地籍を確定した神足勝記」を起点として「戦前の天皇・皇室・宮内省の財政について」のあれこれをとりあげる

No.324 選挙はファン投票ではない

2024-11-04 23:23:59 | 時評
(1)いよいよアメリカの大統領選挙です。下馬評がいろいろ流されていますが、ハリス氏とトランプ氏のどちらが選出されるにしても、その帰趨は僅差で決まるということは確かなようです。しかも、この選挙は両候補間に対話が成り立っていなくて、意図的なフェイク・失言とそれに対する反論という場面も見られるおよそ大統領選とは言えない応酬で終始してきましたから、選挙後の決着のつけ方にもよりますが、新政権スタート後もしばらくは深刻な内部対立が続き、そのために国内情勢も経済状況も混乱が予想され、一方、ウクライナ・イスラエル両戦争に対する対応を初めとする外交でも期待に応えられる役割が果たせるかどうか、難しい局面に立たされるのではないでしょうか。

(2)もっとも、ハリス氏とトランプ氏のどちらに決まるかに関わらず、経済関係でも、日米同盟・軍事関係でも、日本は負担を強いられることになると思われます。アメリカ・ファーストをいうトランプ氏もちろん、ハリス氏も、背後にいるのはアメリカ資本ですから、経済面ではアメリカ本意の要求を強めるでしょう。また、軍事では日本は岸田内閣の置き土産で防衛費を2倍化してすでに動き出しています。
 これについては、日本の与党自公のほか維新も立民も日米同盟を言っていますから、アメリカの要求を拒否できるスタンス〔態勢〕にはありません。今度の選挙で、改憲勢力が3分の2を下回りましたから、その点では小康状態とも言えますが、目下の世界情勢を考えると、国連や国連憲章遵守を中心とした外交姿勢を強める工夫がないと簡単に突破される事態ともなりかねません。    

(3)話が変わりますが、国民民主党が「野党にも与党にも等距離〔中立〕」を言っています。重さを計る天秤なら、釣りあったところで「八方メデタシ」となりますが、しかし、政治の世界では違います。与野党の勢力が拮抗し均衡状態にあるときにどちらにも組みしないという「中立」はありえません。等距離とか中立というと、見た目はどちらにも加担していないように見えるかもしれませんが、実際には与党に組みしていることになります。その理由は、
 1.政治は、国民の状況や要求を判断して政策化し、それを実現しあう場だからです。天秤のように均衡点を見つけることを目的としているわけではないからです。
 2.今回のように、国民が投票行動を変えて与党を追い込んだときに、そして、その受け皿として期待されたから議席を確保できたのに、その期待に応えないのは、国民の意向を理解していないばかりか、むしろ反していること、同時にそれは、与党が選挙で打撃を緩和させることにつながるものだからです。
 3.国会の首班指名〔2回目の決選投票〕で、無効票になってもいいからといって与党にも野党にも票を投じないという行為は、結局、相対的に議席の多い与党に有利になりますから、国民が批判した自公政治を続けさせることになりますから、中立ではなく「裏切り行為」ということになります。

(4)国会議員なのに政治のイロハもわからないのでは、投票した国民もいい面の皮です。
 映画の『ゴッド・ファーザー』で、見方のフリして〔心配顔して〕敵との仲介役にやって来る奴は敵だと息子に教える場面が出てきます。これはやくざの世界の話ですが、ひとたび対立状態に発展してしまえば、打ち負かすか打ち負かされるかのどちらかしかありません。そんなときに頼みもしない妥協話を持ってくるのは、見方でない〔つまり敵〕ということです。
 政治も、基本的に同じです。97%の国民と3%の国民、これが現在の日本国民を見た場合の縮図〔客観的状態〕ですから、この認識が薄ければ、曖昧なことをいう度合いが高まります。

    
     庭にいると、珍しい鳥がつがいで来ました。

【コレクション 103 江藤南白】
 今日は江藤南白〔新平〕の伝記のパンフレットです。江藤は維新の功労者ですが、のちに佐賀の乱の首謀者として処刑されます。
 なお、最近は「佐賀の乱」でなく「佐賀戦争」というように改められつつあるようです。 
    
 
 この大きさは、B5判8㌻です。B5判大4枚分の横長の用紙を二つ折りし、さらにもう一度を二つ折りするとできます。
 全体は、
 1㌻ 上掲
 2~4㌻ 解題・推薦文 毛利敏彦 大阪市立大学名誉教授 的野半介著『江藤南白』について
      *一部分を下に載せました。お読みください。



 5㌻ 推薦文 杉谷 昭 県立佐賀城本丸歴史館館長(佐賀大学名誉教授・文博)
     江藤研究の原点『江藤南白』のこと
 6㌻ 推薦文 犬養 毅(木堂) 敗者への同情から発した伝記
    *下にのせました。お読みください。 



 7㌻ 目次
    刊行案内 体裁:A5判 上下巻合計1700㌻ 
       定価:2万5千円(予約定価:2万円) 発売:平成18(2006)年1月
 8㌻ 内容見本 
 以上です。
 
 今日は、新聞に「日没直後に月と金星が最接近する」という記事を見ましたから、図書館の帰りに探して撮りました。撮っていると、米軍機が通過しました。どうもこれは定期便のようで、この時間によく見かけます。それはともかく、上から「米軍機・金星・月」の順に入っています。
 
   

 では、この辺で。
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No.323 集書

2024-11-04 00:35:06 | 文書・文献
(1)10日ほど前のことです。ネットオークションで古書を追っていると、(正確な場所は覚えていませんが)岡山県にあった藩の『✕✕藩実録』というのが3冊710円で出ていました。通常は専門外のものをオークションで競り合ってまで買おうとはしませんが、この書は、入札終了まであと半日くらいになっているのに、まだ誰も入札していませんでしたから、タイトルに魅力を感じたのと、送料を入れても2000円くらいで買えそうなので、遊びで読むにはいいだろうと考えて入札しておきました。そして、入札時間が過ぎたので確認してみたところ、なんと720円で誰かに落札されてしまっていました。
 驚きましたが、自分は遊びで入札したのだし、本当に欲しいと思った人のところへ渡ったのだろうと思うことにして、内容紹介としてアップされて〔載せられて〕いた箇所を読んでよしとしました。しかし、諺に「釣り落とした魚は大きい」というのがありますが、よく言ったもので、やはり一抹の寂しさを感じました。

(2)もう20年くらい前になるでしょうか。『皇室財政沿革記』という文書が古本市の目録に出ていました。
 これは、原本は宮内公文書館で所蔵されていますが、明治維新後から30年までの皇室財政〔宮内省の財政〕をまとめたものです。皇室財政を研究する人でこれを見ない人はないという貴重書で、私も30年以上前に閲覧しました。一冊一冊はそう厚くはありませんが、確か付属文書も入れると15点ほどあって、これが帙に納められて一抱えほどにはなるものです。
 古書市に出品されていたものは、価格が2万円でした。もちろん『皇室財政沿革記』原本ではなく、いずれか2点の写本だったろうと記憶しています。
 このときは、目録をよく見ずに積んでおいて、古本市開催の直前になってもう捨てようかと思いながらパラパラと目を通していて気が付いてギョッとさせられたわけです。
 目録販売は、購入希望が多数ある場合は「抽選」できめることになっているようですが、その実態はわかりません。ともかく電話で急ぎ注文しましたが、あえなく落選となり、無念のあまり眠れない日は続きました。まだ目録の当該㌻は取ってあります。

(3)上の720円の本を攫〔さら〕われて後の10月28日、つい先日ですが、また検索していると、今度は、「竹林貫一編、東京帝国大学教授・文学博士宇野哲人序『漢学者伝記集成』432円」(昭和3〔1928〕年刊)というのが出てきました【下の写真】。装丁が堂々として状態もきれいな百科辞典のような本です。しかし、厚さが8㎝もあって個人では置き場所に困るからでしょうか、まだ入札者がありませんでした。しかも、入札終了時間まであと3時間ほどでした。

    
 
 先日、子安宣邦『天皇論』を読んで、宣長以来の国学のことももう少し読み込んでおかないといけないと思い始めていましたから、書名の「漢学者」に目を引かれました。
 というのは、そもそも『神足勝記日記』に出て来る熊本勢はみな漢学を学んでました。元田永孚〔ながざね〕・井上毅〔こわし〕・宮部鼎蔵〔ていぞう〕・竹添井井〔せいせい〕、それから神足勝記の恩師の兼阪熊四郎など皆そうです。ですから、「あまり漢学を意識して来なかったなあ」と反省せざるを得ませんでした。
 ということで、即座に入札したところ、うまくいきました。
 ちなみに、定価は432円でしたが、送料が1000円、コンビニ払いで機械使用料が330円、計1762円の買い物となりました。でもね、これはヒット〔あたり〕です。
 それにしても、熊本勢の漢学と宣長以来の国学との関係は維新後どうなったか、私にとってはまた悩ましい問題ができてしまいました。
 今日はここで。

1.アケビがもう一つ隠れてました。
   
 はびこってきたアケビの蔓を片付けることにしました。このため、来年のアケビのエキスづくりはムリそうです。じゃあ、来年は山梨のあそこへアケビ取りに行こうかな・・・。

2.柿も、葉が落ちたら一つ出てきました。
   
 渋柿がたくさん取れたので知り合いに分けてあげたところ、さっそく干し柿を作ったそうです。ところが、ここのところの雨のためにカビが出て、あげた7㎏ほどが全滅のよし。嗚呼。 

 では、今日はここで。
 
  
  多摩川を南へ渡る今日の八高線 
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