宗恒の茶庭

「茶道 思いつくまま」や「和の美術」など

西洋美術史の巨人 高階秀爾 @NHK日美

2024-12-23 07:04:23 | 美術
昨日のNHK日美で高階秀爾氏が名画の解説をされていました。今年秋にお亡くなりになりましたが、その一年前に収録されたものとのこと。お声も穏やかに分かりやすく解説されるお姿に私は感動いたしました。

有名な著書「名画を見る眼」は若い時に読みました。名画を一つ一つ深く掘り下げての解説、絵画を見るときはこういう所もちゃんと見るのだということを知りました。

ベラスケスの「ラスメニーナス」とファン・アイクノ「アルノルフィーニ夫妻の結婚」を【鏡】の扱いについての比較を時代変化と合わせて解説、マネの「オリンピア」の裸婦像について、ビーナスのような神なら裸婦でもよいが神でない人間の裸婦を描いたことは当時大変な話題になったこと、ルノアールの「ピアノに寄る娘たち」は平和な女性の姿の絵で室内にも飾れるような絵画、ルソーの「眠るジプシー女」、これは理屈を超えて訴える面白さ、美術の流れに乗り切らない画家は出てくる・・・・等 ナルホドと思いながら楽しく解説を聞かせていただきました。

そして最後に【文化の火は絶やしてはいけない】と言われたこと、印象深かったです。
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志村ふくみ100歳記念展 @大倉集古館

2024-11-24 13:54:51 | 美術
寒いですがあまり天気が良い日曜日なので出かけたくなりました。朝刊の天声人語に「志村ふくみ展」のことを触れていたので、大倉集古館に行くことに。

六本木1丁目からエスカレーターを5本ほどあがった道をスペイン大使館前を歩き5分ほどしたところに大倉集古館はあります。中国古典的な建物でホテルオークラが目の前にある閑静な所。
建物内部も天井が高くレリーフもあり大きな扉等中国風。

ふくみさんは染織家のお母様の影響で33歳の時その道に入られました。初めての作品「秋霞」が下の写真左です。そして99歳の作品「野の果て」が右です。


その間70年間の作品が30点ほど展示されておりそれぞれ題が付いています。蚕の細い糸から紡いで染色し織っていくのですから大変根気のいる作業と思われます。しかもいろいろな糸を組み合わせ、デザインして模様というか図柄を織り出していくのです。糸色も何十種類もあり微妙なグラデーションになっていたリとても美しいです。
芸術品で着る事なんて出来ないものです。
曼荼羅と称する作品は藍色の濃淡で織られた大変大きなタペストリーで、素敵でした。
糸の色名で面白かったのが「消し炭色」。灰色なのですがまさに消し炭の色!茶道の稽古で火消し壺に入れた炭の色です。

私は大島紬を稽古のときなどに軽いので好んで着ています。
今回の作品もきっと軽くてあったかい着物でしょう。鑑賞してなんだか着たような感覚を楽しみました。


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はにわ展  @東博平成館

2024-11-21 18:59:10 | 美術

東北から九州まで各地の埴輪が大集合展です。
雨で寒い日なので会場はそう混んでないとみて出かけました。上野は幾組かの修学旅行の生徒や外国の方で結構混雑していました。

目指す「はにわ展」はやはり多くの人が入場していました。写真を撮っても良いので皆さんスマホをかざしています。
円筒形の埴輪から船型、家形そして人物・動物・・・・馬や鹿、鳥、魚もいます。振り返っている牡鹿が可愛かったです。
人物埴輪は男も女もいて表情、手の動きがいろいろです。何かを捧げていたリ、踊ってたり。正座していたリ跪いてたり、琴を奏でていたり、鍬を担いでいたり、力士もいました。

圧巻は身長1m30cmほどの武人達は5人揃い踏みで国宝・重要文化財2点それに遠くシアトルから来た武人もいます。兜をかぶり甲冑を付け刀を持ち、背中に矢を持っているものもいます。顔は口は引き締まってますが目はちょっと不安気でかわいい少年です。古墳時代6世紀ごろの作品で、造形美の極致と説明がありましたが本当に素晴らしく古墳時代の人を尊敬します。



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塩田千春つながる私 I   to EYE @中之島美術館

2024-10-30 20:12:46 | 美術

この展覧会10月初めのNHK日美で取り上げられた時、大坂なので見に行くのをなかば諦めていたところ、昨日の新聞に大きく取り上げられていたので思い切って新幹線に乗り今日見てきました。


入るとまず赤い糸が無数に高い所からぶら下がっています。その中に赤いロングドレスが下がっています。赤い無数の糸でドレスに血を通わせている?作品。

次の部屋には「巡る記憶」という題で、白い糸が蜘蛛の巣さながらに編み込まれてトンネルになっている大きな作品。糸がどれだけ使われたか、また編み込みに何時間否 何日間かかったかとかかったのか気の遠くなるような作業の作品です!下には水が張られていています。

次の部屋には高い所から赤い糸が無数に下がっている約5メートル立方体の作品。その中に何枚もの人々のメッセージ書いた紙が円を描くようにホチキスで止められています。「つながる輪」という題です。

作者が今までに作った数々のインスタレーションの説明のビデオも見ました。

今回はコロナで人とつながりが出来なくなった反動で、【つながり】をテーマとしたものです。
糸でつながりを表すというインスタレーション
それで副題として【つながる私・I to EYE 】が付いていること分かりました。

現代美術、特にインスタレーションは分かり難いものが多いですが、塩田千春氏の今回のものは少し理解が出来ました。作品が美しく緻密で気の遠くなる作業には敬意を払いました。
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みたてのくみたて展  @高島屋

2024-08-22 19:33:36 | 美術


「いろいろ面白いことを考える方がいらっしゃるなー」と、大変興味深く見てきました。作家の名前は田中達也氏。
とにかく大評判、70人近くの行列に並んで入場券を買いました。
ミニチュアの視点で日常にある物を別の物に見立てたアートです。

サンドイッチを山に見立ててサイクリング、人のミニチュアも細かく生き生きと実際にサイクリングを楽しんでいる一団です。
パンとウエハスを医療機器に見立てて、横たわっている人も医師もいて、臨場感が。
波乗りしている波はプラスチックのハンガーを重ねたもの、サーフィンしているミニチュアの女性も上手にバランスとっていて髪もなびいているリアルさ。
このほか、ホチキスの玉やクリップ、洗濯ばさみなど利用した作品も多くあり、作品の写真も数え切れないほどありました。
アイデアが豊かで、細かい人物を器用にリアルに上手に作られていて、会場は女性たちの「すごーい」という歓声があちこちで上がっていました。

2017年のNHK朝ドラ「ひよっこ」のタイトルバックは、今回の作家、田中達也氏の作だったと聞いて思い出しました。
めずらしい作品をたくさん見て、とても楽しい展覧会でした。


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