宗恒の茶庭

「茶道 思いつくまま」や「和の美術」など

入子点

2018-02-24 14:52:54 | 茶道

先日の研究会で勉強した《入れ子点》の稽古をしました。
これは老人や子供用のお点前で、出入りが一回のものです。棗、柄杓や蓋置は棚に飾っておきます。
真っ新な曲げ建水の中に茶碗を入れて(ここが入れ子という名称の由来)持って入ります。

このお点前、小習ですが、外隅ねらいでします。
「どうして外隅ねらいなのでしょうか?」と生徒さんに問いかけました。「?」と、生徒さん。

小習で外隅ねらいに坐るのは貴人点・貴人清次点・四つの荘り物と、この入れ子点です。ちなみに真之行台子の流れからきたお点前が外隅ねらいになります。

「道具を全部飾っておいて、蓋置を持って身体を居前に向ける形が真之行台子に似ているからだと思うわ」と私。これは私自身の考え‥

このお点前 最後に水次で水指に水を入れることはしません。そこで「水次は省略させていただきます」という意味で帛紗を草にたたんで水指蓋上の飾ります。この時水指の蓋は塗り蓋がよい。


《総飾り点前》の時も最後棚に棗・茶碗・柄杓・蓋置をかざり、帛紗を草にたたんで水指の蓋上に飾り残します。入れ子点と同じ形になりますが、ここでは水次で水を足し、帛紗を
飾り残す意味が違います。

そして再度質問。「なぜ水指の蓋を塗り蓋にするのでしょう?」

生徒さん「共蓋の水指はその全体がその作家さんのアート、だから作家さんをリスペクト
して共蓋の上には何も載せない。帛紗で模様が邪魔されないよう・・」「塗り蓋ならば帛紗を載せても大丈夫。帛紗を飾り残す事が約束の点前だから塗り蓋にする」 等々。
若い生徒さんの答えに私は拍手を送りました。

共蓋の場合は草にたたんだ帛紗を水指前に置くと教則本には書いてありました。

いろいろと問いかけると真剣に考えて自分なりに答えを出して下さる生徒さんを「素晴らしい!!!」と思います。
昔の私でしたら考えもせず最初からgive upしたと思います。
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指導方法

2018-02-21 19:25:14 | 茶道

年に何回かある研究会には必ず行くようにしています。家元の御名代で講義される業躰先生のご指導が一番新しいものだからです。

先日の研究会では、「お点前は時代と共にちょっとづつ変化することがあり、例えば貴人清次の濃茶点前でのお菓子器。以前は貴人さんには高坏、お次さんには縁高でした。ところが最近では貴人さんには脚付きの縁高で出すようです。」と業躰先生がおっしゃいました。

今回の業躰先生は会場の私たちにいろいろと問いかけて下さいました。《濃茶を二服点てるお点前はいくつありますか?》《本炭所望と略式炭所望の違いは分かりますか?》《貴人点の時と貴人清次の時で拝見物を出す方法が違うのはどうしてですか?》等々。

ただ受け身的に舞台上のお点前を見るだけでなく、こちらも《どうだったかしら?》と考えさせる研究会は脳を活性化させます。

また吹雪という薄器が使われていましたが、先生は「そうねー 大雪で苦しんでいる地域ではこれはダメだね。雪は敵なんだから。東京のように雪を風流と感じるところでは良いけれど」と。なるほどそうですね。

研究会は私にとってはお点前の勉強ばかりでなく指導方法も勉強にもなります。

昔は先生の言う通り「はい右手で、ハイそこで置き合わせて・・」などロボットの様に点前稽古していればそのうちにどうしてそうなのかが分かるという稽古でした。
今は初めから「これはこうだからそうする」と理由も説明して指導する事も多くなりました。

どちらの指導が良いかは一概には言えません。畳や床の間に縁のない生活スタイルの現代の若い方々に茶道を教えるのは昔より大変なのではと先生はおっしゃいます。
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葛井寺の千手観音菩薩坐像

2018-02-16 12:32:36 | 美術



仁和寺の展覧会の前期で見られなかった葛井寺蔵の「千手観音菩薩坐像」を見てきました。
後期展示が始まったばかりだったので入口は長蛇の列!
20分ほど待って入れました。前期で見たものはとばして、後期から展示されたもの中心に見て回りました。
主人が几帳面で、あらかじめ出品目録でチェックしていたので混雑する中をすいすいと。
お目当ての葛井寺の「千手観音菩薩坐像」はとにかく素晴らしいでした。

全部で顔が11面、手が大小合わせて1041本、実際に見るとその大きさに驚きます。厚みも凄いです。高さは1mほどですが、どっしりと重量感があります。

背中の方にも手がびっしりと・・・。それらの手が光背のように感じます。

手には色々なもの、蓮の蕾・三鈷・鈴・法螺貝等々をお持ちです。何も持ってない手がほとんどですが、五本の指は皆ちゃんと彫られています。精巧さにびっくりします。 
お顔はたくましく、鼻筋がしっかりとして目はほとんどつむっておいでです。
手は私たちが拝むと同じような形。

思わず私は拝んでしまいました。

よくこのようなめったにしか御開帳されない貴重な仏像を、葛井寺が出開帳を許されたか、本当に有難い感じです。運んでくるのもさぞ大変であったでしょう。

とても深く印象に残る仏像でした。
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仁和寺とお室派のみほとけ展  東京国立博物館

2018-02-07 19:12:10 | 美術

仁和寺観音堂修理のため、素晴らしい仏像、名品の数々が展示されています。このお寺は平安時代、宇多天皇が創建した真言密教の寺院です。

御本像の国宝「阿弥陀如来像」も両脇侍と共にお出ましされています。

宇多天皇は後に出家して法皇になりました。その法皇の住いが「室」、そこで仁和寺の寺院を《お室》と呼ぶようになりました。お室派の寺院は全国に沢山あります。それらの寺院からも貴重な秘仏本尊がお出ましです。

仁和寺はこのように天皇ゆかりの寺院なので、宇多天皇や高倉天皇はじめいろいろな天皇の御宸翰のお軸がなんと20幅ほども展示されていました。

弘法大師が中国のお経を書き写した貴重なものも。

とにかく国宝や重要文化財がぞろぞろ。

目玉であった葛井寺「千手観音菩薩坐像」は、後期から展示ということで見られませんでしたが、仁和寺の《千手観音菩薩》は観ることができました。

江戸時代に再興された観音堂内の仏像一同が、多分30体以上がその雰囲気のまま展示されていてそこはカメラOKということで撮ってきました。↑  

ちょっと難しい展覧会でした。
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百尺竿頭進一歩

2018-02-03 15:06:30 | 茶道

今日の稽古も人数が少なかったので、時間のかかるお点前の稽古をしました。


まず《茶通箱》。
茶通箱では箱の扱いが 右手先行の時と左手先行の時があります。
中が空っぽの時は右手先行、中に茶器が入っている時は左手先行…これにはちゃんと訳があります。
お客様もタイミングを心得て茶碗を返したり、もう一種のお濃茶を所望したり、お道具の拝見をお願いしたりします。
このお点前 四ケ伝に入ってはいますが、小習に準じるものです。
お濃茶二服なので、特に中仕舞のある炉の時季は難しいです。

次の方は《和巾点》です。
これは四ケ伝の準じるもので、円能斎が創られたもの。仕覆に入れた中次茶入を和巾という小帛紗の載せて扱います。和巾に由緒があるお点前です。

次の方は《行の行台子》。
茶名もお持ちの方がされました。炉の時季、柄杓を取ったり戻したりするたびに体の向きを変えるので着物でははだけないよう気を遣います。


3人がゆっくりと いろいろ疑問や点前の理論など話しつつ充実した稽古ができました。

最後にお点前をされた方に私は「百尺竿頭進一歩」(ひゃくせきかんとう すすむにいっぽ)の言葉を贈りました。

茶名を頂いて一応稽古出来得るすべてのお点前を勉強され、まさに百尺の竿のてっぺんまで行かれました。ここで安心安住しては てっぺんからまた下がってしまいます。
てっぺんを保つためには、そこからさらに一歩進む気持ちで稽古に励んでいただきたいという気持ちで「折りたたんで帛紗ばさみの中にでも入れておいてネ」と言いました。

この「百尺竿頭進一歩」という言葉は大宗匠の著された本に良く出てくる言葉で、私も時々思い出しては心がけています。
コメント (2)
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