宗恒の茶庭

「茶道 思いつくまま」や「和の美術」など

BS8・この国の行く末

2017-02-27 06:48:11 | 茶道
日曜日朝8時から安藤忠雄の「この国の行く末」という対談が始まりました。第1回のゲストは裏千家大宗匠 千 玄室氏でした。


建築家の安藤忠雄氏、茶道を通じて世界に日本の心を伝える千玄室、この日本を代表する文化・芸術の伝道師二人が忌憚のない対話の中から、日本の行く末、世界と日本の関わり、次世代の若者へのメッセージなど多岐にわたる話を展開する対論シリーズの第1弾。

まず玄室氏が修理完成した兜門から今日庵内を案内されました。約450年も前からある今日庵も何十年か毎に大修理をして元の形が継承されているのです。

露地の石踏みや周りの木々は450年前そのままというお話や、茶室の天井が低いのは中で刀を振り回すことができないようにするためなどと説明されながら対談場所の《又新》という立礼設えの茶室へ。

玄室氏はお点前をしながらの対談。なかなか玄室氏のお点前など拝見できないので思わず見入ってしまいます。お話をどんどん進めながらのお点前、さすがです。

立礼席は明治に外国人のために考えられた席、しかし今では外国の方は畳に坐りたがり、日本人が畳に坐りたがらなくなったと。確かに・・・

最近「おもてなし」という言葉が飛び交っているが、”もてなす”という言葉の語源は”持って成し遂げる”という意味。
「お荷物をお持ちしましょうか」とか「まあお茶でも一服どうぞ」というちょっとした親切、思いやりが真の「おもてなし」の精神。

古いものを知って新しいものを作っていく。
伝統を大切にしながらもそれを伝承していく大切さ。
物を大切にする心。人と共に、自然と共にの心の大切さ。
勉強も大切だが、伝統も小さい時から学んでもらいたい。経済大国も良いが文化国家も大事・・・等お二人のお話は尽きません。

玄室氏は93歳でいらっしゃいます。目も歯もお丈夫で、今まで入院をしたことがないそうです。日々 ここまで生かされていることへの感謝と毎日ステーキを頂くというお話にご長寿の秘訣を感じました。
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初午茶会

2017-02-26 20:15:29 | 茶道
初午茶会に生徒さんをお誘いして行ってきました。
稲荷大神が稲穂を持ってキツネをお供に伏見に降り立ったというのが初午の日であったことに由来する茶会です。
Yお道具屋さんの茶会です。

床には後水尾天皇の御宸翰(詠草)が掛けられ、花はダンコウバイに曙椿と加茂本阿弥。

お釜はとても珍しい鳥居環付・・鳥居がお釜より高くそびえたっていて、蓋のつまみは鶏。
炉縁は伏見寄進鳥居の廃材で内側が朱。

水指は鍋島青磁で井看人ならぬ、魚看人が縁についています。水指の底にはナント魚が付いている凝りよう。

一入の黒楽、慶入の赤楽、アンコウ型の茶入れ、江戸蒔絵師、守屋松亭の紅梅棗。

お道具屋さんでのお茶会なのでいろいろと珍しい素晴らしいお道具が手取り拝見できました。それにご丁寧な説明も伺えました。

鶯餅に美味しいお濃茶を頂き、続きお薄で薄茶もいただきました。

ピアニストの仲道育代さんとお嬢様も偶然同じ茶席で、ちょっと嬉しかったです。

そのあと、素敵な点心席に。

お道具屋さんの向い側には今日庵の東京道場があります。その前でちょっと記念写真。


お天気で風もなく温かい良いお茶会日和でした。

自分へのご褒美のような非日常の素敵なお茶会でとても楽しいものでした。お連れした生徒さんも大満足されたようでうれしかったです。
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茶道の稽古は点前だけではない

2017-02-22 14:48:27 | 茶道
茶道の稽古というと点前をしたり客役になってお茶を頂くだけの稽古と思いがちです。

実際、稽古日はそういうように進みます。何回もお点前を繰り返すことで美しい点前になり、難しい点前が段々出来るようになっていきます。

また客として何回か経験することで、「お先に」と言ったり、感謝をして抹茶を頂くことを知ったり、道具を鑑賞したり、いわゆる《茶道の世界のマナー》を学びます。

ところで稽古日を休む時、予め分かっている時は先生に連絡をしておきます。今ではメールで連絡することが多く便利ですが。
当日体調が悪かった時も連絡はしてほしいです。
しかしいろいろ事情もあるかと思いますが、無断で欠席される方も中にはいらっしゃいます。

そんなことが度々ある方のことを主人に話すと、「お茶では畳の縁を踏んではいけない」とか「襖の置け閉めにもやり方があったりするんだろ」「無断欠席は、それ以前の社会人としてのマナーが出来ていないってことじゃない」と。

私はその方は仕事で疲れて稽古日に連絡もできないのではと、無断欠席の方に大変甘かったことに気が付きました。

《茶道の世界のマナー》をお教えすることと共に、気が付いたら《社会人としてのマナー》にも厳しくしなければと思いました。

早速”茶道の稽古は何もお点前だけではありませんよ。欠席されるときは必ず連絡してください。それが社会人としてのマナーですからよろしく”ととりあえずメールしました。
次回お目にかかった時にface to face でお話ししようと思います。

翻って私自身も《茶道の世界のマナー》だけでなく、《社会人としてのマナー》も生徒さんの反面教師とならないよう 気をつけねばと痛感しました。


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花森安治の仕事展

2017-02-18 19:04:30 | 美術

2月とは思われないほどの暖かな昨日 砧公園内の世田谷美術館に主人と行ってきました。

私は車の運転が上手ではありません。しかし主人が昨年 運転免許を高齢のため自主返納してしまったので運転せざるをえません。駐車場が広く、ウィークデイで空いていたので楽々駐車できました。

NHKの朝の連続ドラマ「とと姉ちゃん」で、とと姉ちゃんと共に戦後の出版界で注目され「暮らしの手帖」を作った花森安治の展覧会です。
表紙の挿絵が魅力的です。実際に見ましたらA3より少し小さいサイズの本でした。上記写真のようにイラスト的な絵で、細かく部屋の中の家具や小物、生活雑貨が色彩豊かに描かれていて夢があり、こんな部屋に住みたいなと思わせます。表紙は写真に変わったり、最後は女性のイラストに変化していきますが、毎号毎号楽しい表紙です。


「暮らしの手帖」は商品テストをしたことで有名な雑誌で、その折の写真も沢山展示されていました。広告を雑誌の中には一切載せず、公平に電化製品や生活用品のテストをしました。雑誌の広告は新聞や中吊りを利用していました。

子供に宛てた手紙も展示されていて、文中に絵文字が描かれていて、まさに今でいうメールに絵文字を入れる感覚です。
今度孫に手紙を書く時は、真似して手書きの絵文字を入れようかと思います。

今年のNHKの朝の連続ドラマ「べっぴんさん」はベビー・子供服の専門店《ファミリア》創始者の話のようですが、《暮らしの手帖》の創始者大橋鎭子など、戦後にはたくましい女性がいたのですね。
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茶道の[侘び]

2017-02-10 14:03:06 | 茶道


茶道というと「わび」「さび」の世界のようにいわれますが、茶道の「わび」について、下記の和歌で表されることがあります。

武野 紹鴎は ”見渡せば花も紅葉もなかりけり うらの苫屋の秋の夕暮れ”(藤原定家)

定家の歌は何となく風景が思い描かれ、「わび」感を感じます。

一方、千 利休は ”花をのみ待つらん人に山里の 雪間の草の春を見せばや”(藤原家持)

利休は 一面雪で覆われた大地から若い柔らかい青い草が顔をのぞかせて春の息吹を感じる…それが茶の「わび」と言っています。生命力の美・・でしょうか?

草庵のわび茶をすすめてきた利休の意外な「わび」感です。しかし茶道にいろいろと新しい風を吹き込んだアバンギャルドの利休らしい解釈ともいえます。

狭い薄暗い茶室で、使われる道具は地味で渋い無地の物、床には色彩のない書の軸、花はほんの少しで蕾が珍重される…こんな設えの中、緊張感漂う点前を通じて作り出す主客の世界、こんな感じが「わび」感なのではと思います。まるで戦国時代のようですが。

茶道は人間修行の場であっても現代は修業は厳しくなく、和気藹々と楽しみながらの茶道です。
茶会では華やかな着物を着て出かけ、明るい茶室で素晴らしい道具組でもてなされ、非日常の世界を楽しみます。「わび」感はありません。

もっとも「わびの心」となると、武野紹鴎が言った《正直で慎み深くおごらぬさま》…こういう心の有り様は現代でも生かしておかなければと思います。










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