大分前に初めて木島櫻谷(このしま おうこく)という画家を知りました。
「寒月」↑という屏風に描かれている雪中を歩いている狐の鋭い目つきがとても印象的でした。
またその絵に会いたいと出かけました・・・・ところがこの絵18日までの展示で残念ながら見られませんでした。
動物画で名を馳せた櫻谷ですが、今回は写生画に焦点を合わせた展覧会でした。耶馬渓など各地に出掛け山海風景を徹底的に写生し、写生帖はなんと600冊もあるそうです。
写生した通りに屏風等に描いたのではなく、それを醸成して心の中の風景を本描きしたそうです。
中国の山水画は景色の中に楼閣や賢人などが描かれることが多いですが、櫻谷の山水図には雄大な風景の中に庶民目線の小さく人物や馬、小屋等が描かれていて、何かホッと親しみを感じます。
「馬路之春」は色彩豊かに宿場の風景を描いた屛風です。左隻には出立する人や荷物を置いて休んでいる旅人を繊細に、右隻では外でくつろいで待ってる馬が描かれ、これも櫻谷かしらと思わせる絵でした。どんな絵を描いても素晴らしい・・・
櫻谷は漢詩も書も素晴らしく、稀有な才能に恵まれそれをじゅうぶん楽しんだ61歳の人生だったのだと思いました。