早春 俳人永尾宋斤

祖父で「早春」を大正15年2月に主宰・創刊した永尾宋斤の俳句・俳語・俳画などからひもといています

宋斤の俳句 「早春」大正十五年七月 第二巻一号より 近詠

2020-03-23 | 宋斤の俳句を大正十五年「早春」創刊〜昭和十九年休刊までひもとく
近詠  宋斤

         修学院離宮拝観
           下のお茶屋   
      棲庭除の芝に敷かれけり

      白扇を畳たみたゝみ皇宮警手来ぬ

      苔の花すゞろ袖形御燈篭

           中の御茶屋
      林丘寺比叡をうしろに湧く茂り

           上の御茶屋
      蹴蠋うつつてそのいろうごく緋鯉哉

      まいまいや落つる葉ありて個々急に
 
      窮遂の御額夏の蝶とベリ

      洗詩壹露の涼しや御むかし

      老鶯や離宮御裏田植せる

            ○
      径ありて跨ぎかねたり苣の薹

      降る雨を籠の中とぶほたる哉

      枕本簾透く日に残されぬ

      湖にしづくのみつ輪吊しのぶ

      傘さして往来時折早苗降り     

         楠公忌
      俳諧に非理法権天楠公忌