著者 柚月 裕子
吉沢香純と母の静江は、遠縁の死刑囚三原響子から身柄引受人に指名され、
刑の執行後に東京拘置所で遺骨と遺品を受け取った。
響子は十年前、我が子も含む女児二人を殺めたとされた。
香純は、響子の遺骨を三原家の墓におさめてもらうため、
菩提寺がある青森県相野町を単身訪れる。
香純は、響子が最期に遺した言葉「約束は守ったよ、褒めて」の真意を探るため、
事件を知る関係者と面会を重ねてゆく。
著者の言葉……
自分の作品のなかで、犯罪というものを一番掘り下げた作品です。
執筆中、辛くてなんども書けなくなりました。
こんなに苦しかった作品は はじめてです。
響子が交わした約束とはなんだったのか、香純と一緒に追いかけてください。
>なにが悪いわけでもないのに、うまくいかない人っているのよ。
真面目で、逃げるのが下手で、不器用。
もっと狡(ずる)く生きればいいのにって思うけど、それができないんだよね。
あたしは そんな人間、嫌いじゃないけど、見てて辛いよね。
(響子が働いていたスナックのママの言葉)
>お釈迦様は慈悲深く、罪を背負った者も見捨てはしない。
一番の罪は、自分が悪い行いをしていると思わないこと。
己を善人だと信じ切り罪悪を犯し続ける限り、魂の苦行は続く。
しかし、自分の罪を認め、ひたすら正しい道を求めれば、やがて魂は救われる。
(教誨師として響子と接していた ご住職の言葉)
酷似している事件が思い浮かびましたが、読んでいて辛い内容でした。