大好きな赤いきつねを食べ 首吊り自殺
青山さんの葬儀で、僕は棺桶に入った冷たい遺体を見た。その顔は苦痛に歪み、ホラー映画のようで、いかにも苦しい、という顔をしていたのだ。顔色もドス黒い緑色をしており、化学物質の摂りすぎという不健康な印象を与えた。青山さんの死に顔は、まるでムンクの「叫び」のような恐怖でゆがんだ表情だった。健康に気を遣いすぎるほど気を配る人だった。缶の日本茶を飲むときでも「空気に長時間触れると、缶が酸化して体に毒だから」とわざわざ移し替えていたほどの人が、いったいなんでこんなに化学薬品をとりすぎて破滅したのだろう。これは推測でしかないけれど、僕がつき合ってきて見てきた性格とか、デスマスクの表情を基に判断すると、青山さんはやっぱり死ぬのが怖かったんじゃないかと思う。僕は青山さんの二人の元・奥さんに、僕が推察した彼の自殺の原因を確認してみた。総合すると、「心配事製造工場」たる青山さんは、種々の悩みをかかえ、その上でヘロインと覚醒剤のリバウンドとドラッグ購入のための借金苦が重なり、どうにもたまらなくなって死んだのではないだろうか。僕にはそう思える。
吉永嘉明
吉永 嘉明
よしなが よしあき
1962年 - 2014年 消息不明
元担当編集者の岡本奇太郎は「あらゆる吉永さんの関係者に連絡しましたが、誰も現在の吉永さんを知る人はいませんでした。どんな些細なことでもいいです。何か知っている人がいたら教えて下さい。そして関係者の方々、また吉永さんの活躍を見たい人たちはこの情報を拡散してください」と自身のインスタグラムに投稿している・・