砂漠の音楽

本と音楽について淡々と思いをぶつけるブログ。

丸の内サディスティックのコード進行を愛でる話

2020-01-01 05:47:07 | 日本の音楽


あけましておめでとうございます。新年早々ブログを更新します。は?こちとら暇なんだよ!!(謎ギレ)
そんなわけで今日はコード進行の話。「難しい話とか好きじゃない~まぢ無理~」「そういう話する人って友達いなさそう、生きる価値あるのかな…」って思った方はとりあえずリンクしてる曲だけでも聞いてくれ、そして地獄に落ちろ。



最初に少し理論的な話を(苦手な人は飛ばしてOKです)。
音楽をやっていると大半の人はコード(和声)に出会います。ギターや金管、弦楽器でもコードの重要性は変わりませんが、単音よりも一度にたくさん音を鳴らす楽器(ギター、ピアノなど)は特に意識する頻度が高いでしょう。コードというのが「音の組み合わせ」だからです。

例えば。
ドとミとソを一緒に弾くと気持ちよく聞こえる。これが「コード(和音)」です。逆にドとレとソ♯を一緒に弾くと気持ち悪く聞こえます。これは「不協和音」と呼ばれます。コードにはたくさん種類があって、やれ完全和音だのディミニッシュだのナインスだの、初心者の頃は覚えるのに苦労するものです。


大半の曲はコードの組み合わせによって成立しています。
例えばNirvanaの「Smells Like Teen Spirit」という世界的に大ヒットした曲。この曲はたった4つのコードで出来ています(Fm、B♭、A♭、D♭のみ。なんて省エネなんだ!!のどぐろセクシー担当大臣よりよっぽど省エネ)。

Nirvana - Smells Like Teen Spirit


ポップソングでは基本的にコード進行が難しくありません、スピッツとか初期くるりとか、比較的簡単なコードで構成されています。もちろん例外もあって、日本だとキリンジや山下達郎、aikoやスガシカオが変なコードを使っています、とても奇妙です。お前らいい加減にしろよ、弾けないんだよ。


しかしながら。
基本的に音階には―例外もありますが―ドレミファソラシドの7音と、黒鍵5つを足して12音しかありません。そうなると、必然的に似たような、あるいは同じ組み合わせが出てくるのです。


さてようやく本題に入れそう。
今日言いたかったのは、コードが同じような組み合わせの曲のなかで、ご存じ椎名林檎の初期ヒット曲「丸の内サディスティック」と同じ進行の曲を列挙して愛でる、というものです。この進行は王道中の王道というか、それぐらい目立つというか、焼肉で例えるなら上ハラミくらいのインパクトがあります。

丸の内サディスティックは、ネットで調べたところキーがE♭…のはずなのですが、コード進行的にはCmです、歌メロはE♭なんだけど。Aメロやサビ(将来僧になって結婚してほしい部分)が以下の進行になっています。とりあえず曲も貼っておこう、ワウのかかった長岡さんのギターが好きなんで事変verです。

A♭maj7→G7→Cm7→E♭7

丸の内サディスティック/東京事変


キーをCmとして考えると、基本的にVI→V→I→IIIという進行になっています。このコード進行はセンチメンタルな雰囲気を醸し出しながらも、メロディアスかつオシャレに聞こえる、ヒットソングに持ってこいの進行です。とにかく耳に残りやすい。
ちなみに椎名林檎の「長く短い祭り」のサビも

B♭maj7→A7→Dm7→F

とほとんど同じ進行ですね。ある意味セルフパロディみたいな感じ。途中で事変の「能動的三分間」の歌も聞こえてくるし。

椎名林檎 - 長く短い祭



他に似たような進行をしているのはPolarisの「深呼吸」のサビ
G♭maj7→F7→B♭7→A♭7
キーがB♭でVI→V→I→VIIの組み合わせ。曲のオシャレに対する謎のPV、果たしてこれはオシャレなんだろうか…。

Polaris - 深呼吸


続いて青葉市子の「いきのこり●ぼくら」のAメロ部分
A♭6→G7→Cm7→F7
キーはCm、VI→V→I→IVの組み合わせ。少し変化がありますが、似たようにも聞こえる。この曲もいいですよね、青葉さんの作品だとこのアルバムが一番好きだな。

青葉市子 - いきのこり●ぼくら


eastern youthの「夏の日の午後」の冒頭
Am→G♯7→C♯m7
キーはC#m(たぶん)、VI→V→Iの進行で、他と比べてシンプル。この曲超かっこいいんだよな、好き。ベースも躍動感あふれて難しすぎる。

eastern youth - 夏の日の午後 (HQ)


くるり「琥珀色の街、上海蟹の朝」
B♭→A7→Dm7→G7
このような進行が何度も出てきます。キーはDm(おそらく)、VI→V→I→IVですね。このDm7が時にA♭6になることで、べたっとした感じを回避しています、テクニカルやで。大好きな曲。

くるり - 琥珀色の街、上海蟹の朝



洋楽編
Arctic Monkeysの「When the Sun Goes Down」のメロの部分
G→F♯m→Bm
キーはBm(きっと)、VI→V→Iの進行ですね。Eastern youthと同じですな。確かこの曲で人気が出たように記憶しています、違ってたらすみません。

Arctic Monkeys - When The Sun Goes Down (Official Video)


Thunder「River Of Pain」
今回この記事を書くために久しぶりに聴きました、超懐かしい。曲はいいのにPVが謎、本当に謎。当時はおしゃれに見えたのかもしれないけど。ギター壊れないか心配になるし、ドラムセット持ってる人たち大変だったろうな…と人にやさしい気持ちになれます。

F→Em→Am→G
ほとんどこの進行のみの曲、ハードロックだもんね。キーはAmでVI→V→I→VII。

Thunder River Of Pain


【2020年3月29日追記】
まだありました。
Scoobie Do「夕焼けのメロディー」

AMaj7→G♯m7→C♯m7→F♯m7→Em

ギターはもっといろいろやってますが、基本的なコードはこんな感じかな。この曲も好きです。

Brand New Heavies 「You Are The Universe」のサビ

B♭Maj7→Am7→Dm7→F7

この曲も好きでござる。Incognitoと並ぶ、イギリスのAcid Jazzブームの立役者ですね。途中のベースソロが格好いい。

洋楽には少ないのか、ライブラリを探してみたんですがぱっと思い当たる曲がほかになく。日本ほどコード進行を意識しないからなのか、ベタ故に避けられているのか。あるいはこの進行がセンチメンタルな感じを引き起こすので、そういった曲を向こうではあまり作らないのかもしれません。探したらもっとありそうだけど…ブラジルとか南米あたりでは使われてそう。


いかがでしたか。私は音楽のライブラリとインターネット上のコード進行表を行ったり来たりして疲れました。コードを意識するのは楽しいし、ただ聞くだけとは違った楽しみ方があります。
でも負の部分もあって。一度気づいてしまうと「あ、丸の内サディスティックと似た進行だ」と思ってしまい、その曲を純粋な気持ちで聴くことが難しくなります。焼肉で例えるなら、タレと塩で味をわけたとしても、ずっと上ハラミ食べてたら飽きますよね、たまにはタンとかホルモン、ロースも食べたいですよね。そういうことです(Q.E.D)


新年早々頭を使ってしまった。事変も活動再開するみたいだし、そろそろライブ行くか~。皆様どうぞ今年もよろしくお願いします。あ、さっき地獄に落ちた人はそろそろ戻ってきていいですよ。

以前の事変のレビュー
『大人』

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2 コメント

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Unknown (名無しさん)
2021-03-28 16:15:33
音楽理論ブログのなかで、曲のチョイスが一番良いです。ありがとうございます。
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Unknown (名無し)
2020-11-22 01:34:37
洋楽由来の進行ですよ、Just The Two Of Us進行でググってみてください。
それと、ここで紹介されているような部分的ではなく
全編この進行で作られてるヒットソングが数多くあるのでチェックしてみてはいかがでしょうか。
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