そこで私は、レッスンの前に、必ずテニスの話をすることにしました。
ミノ君は、中学の時からずっと、卓球部に所属していて、
県大会の常連になる程の腕前なのです。
「バックのスマッシュて、難しいよね。
何度教えてもらっても、うまく出来ないの。 どうしたらよいと思う?」
「僕も最初は難しかったですよ。だんだん慣れてきますよ。」
と、嬉しそうに答えてくれます。
彼は、テニスが大好きなのです。
テニスの話をした後のレッスンは、とても充実したものになり、
ミノ君は、音楽や、レッスンの時間を楽しんでいるのがわかります。
そんなミノ君の様子を見るのが嬉しくて、私もまた、元気が湧いてくるのでした。
そんなレッスンを続けていたある日、お母様から連絡がありました。
「ピアノのレッスンから帰った日は、とても機嫌が良くなるので助かります。
そして、最近はまた、学校に通うようになりました。
ありがとうございます。」
私は、テニスをしていて良かったな~
ピアノを教えていて良かったな~
と、しみじみ思ったのでした。