庶路駅を出た列車は海岸線に沿って釧路を目指しました。
天気の良い日にこの辺りを車で走れば、海の向こうに釧路が見えます。
2020年夏撮影
線路の左手に海岸段丘らしき地形が見えます。
線路の横にササ原が続き、その後ろにヤナギ科の低木が茂ります。
多分それら樹木の下に水路が潜むはずです。
庶路川流域は厚さ約 30cmの泥炭層が広がりますので、この辺りも同様でしょう。
そんな場所に「ユーラス白糠ソーラーパーク」という看板が掲げられていました。
ソーラー発電のパネルが、一面に並べられています。
しかしちょっと待って下さい。
確か、釧路地方は春から夏にかけて海霧が発生するので日照時間は少ない筈です。
ソーラー発電は採算が取れるのでしょうか?
実は釧路の年間の合計日照時間は1957.6時間、東京は1926.7時間、札幌は1718時間で、釧路は太陽の出ている時間は東京より少し多いのです。
釧路の夏は海霧で太陽が隠れますが、秋冬は晴天が多い為に、年間合計日照時間は長くなります。
釧路の泥炭地は畑作に不適ですが、ソーラー発電なら土地の有効活用にピッタリです。
そんな光景の中に線路は続き、
阿寒湖を源とする阿寒川を渡りました。
列車は大楽毛(おたのしけ)駅に停車しました。
大楽毛の名は、アイヌ語の「オタノシキ(砂浜・の中央)」が由来だそうです。
ウィキペディアに拠れば、大楽毛は第二次世界大戦直後まで軍馬の集散地として発展し、戦後の1959(昭和34)年、駅のすぐ近くに本州製紙(現王子製紙)が東洋一の巨大製紙工場を開設しました。
当時の釧路は人口が少なく、従業員の確保が困難で、本州製紙は東京から特別寝台列車を仕立て、従業員の大移動を実行し、工場を稼働させたそうです。
私の乗る列車は3分後に新大楽毛駅に停車しました。
この駅は製紙工場の社宅、新興住宅地、釧路西高校の利便性を図り、1988(昭和63)年に新設された一面一線の無人駅です。
新大楽毛を出ると列車は高架を走り始めました。
北海道の主要都市、札幌、旭川、帯広などでJRは、高架化を図ってきました。
それらの駅は列車運行本数が多く、バスやタクシー、自家用車などが駅周辺に集中する為に高架化が求められました。
しかし、釧路駅そのものが地上線なのは片側が海という地形特性に因るのかもしれません。
列車は次に新富士駅に停発車しました。
富士製紙(現日本製紙)の専用線を分岐させる為に、1923(大正12)年に開業した駅です。
そして列車は新釧路川を渡り、
帯広からの128.3kmを約2時間半かけて釧路駅に終着しました。
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