Men's wear      plat du jour

今日の気分と予定に、何を合わせますか。 時間があれば何か聴きましょう。

夜空ノムコウ

2013-08-04 | Rock
 「運命は従う者を潮にのせ、抗う者を曳いてゆく」からかどうか分かりませんが、イタリア繊維業界の不景気の波はいかんともしがたく、持ちこたえられなかった中小はもちろん、大手でさえコングロマリットに吸収されるなど、死屍累々タガワヨースケという感があります。
10年後と言わず、5年後にはかなり違った業界地図になっているでしょう。

それぞれのミルやマーチャントが、得意な生地を良心的な質と価格で供給できる環境が失われていくと、既製服にとってかなり深刻な状況が予想されます。
今だって、各既製服メーカー似たような色柄を並べて選択肢があるようで実はないという現実に、買う側は閉塞状況に陥っているのに、生地屋が体力を失いバリエーションを出せなくなると、更に月並みな色柄の製品しか店頭に並ばなくなります。

そのうち生地屋・商社が言わなくても、ロスを回避するためにとメーカーが自主的に発注をまとめ、違うのは店名のエチケットだけで生地は一緒のものばかり、なんて日も来ないとも限りません。



展示会シーズンです。
ピッティから帰ってきたばかり、という初対面の人に会いました。
どこのブースも同じようなコーディネートだった、という話を事細かに聞かせてくれます。

そのあと話が展開しないので、であなたはそれを見て何を作りたいの?と聞きたくなりました。
一般に、人は見たいものしか見えない、といいます。
まさか、トレンドだからそこは押さえたいとか言い出すんじゃないかとハラハラしました。

ゴキデンの、いゃ、あなたのモーマクには何か他のものは映らなかったの?、と問うてみたい衝動を抑えたまま別れると、夜空ノムコウが聴こえてきました。
明日は、本当に待ってくれているでしょうか。


違う夜空。





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ハモンド・オルガン

2012-11-17 | Rock
 TVドラマの始まりか終わりで、「Jumpin' Jack Flash」が流れているのが聴こえます。
初期の録音みたいで、大脳皮質に直に訴えるような原始的な響きがあります。

極めて個人的なものかも知れませんが、イントロをだけで何かじっとしていられないような、血中に何かが分泌されるような、煽情的な要素を感じる曲があります。
「Jumpin' Jack Flash」以外にも「Gimme Some Lovin'」や「You Really Got Me」、「Alright Now」なんかも、始まった途端にムズムズするような、人間の原始的な部分を刺激する響きをもっているように感じます。



センジョー的と言えばカメラ提げて喋りがスローモーになりそうですが、「G・S・L」を歌ったスティーヴ・ウィンウッドが昨年末にクラプトンと来日した時のライブの様子を、波平君に前回会った時、急に思い出して聞かせてもらいました。
オルガンが素晴らしかったと聞いて、嬉しくなりました。

しかし間違って、ウィンウッドのオルガンで由紀さおり・安田祥子姉妹に童謡を歌ってもらう........とオルガン違いだし、煽情的とは似ても似つかない.........何というかイカガワシイ魂も洗浄というか浄化されることでありましょう。

ハモンド・オルガンは教会でゴスペルが歌われる時にも欠かせませんし、様々のコンピレーションCDで聴き比べると繊細な表現も可能な一方、先の曲でも分かるとおりかなり攻撃的な音も出ます。

先日、タモリ・クラブでファズを自作するという企画がありました。
そう、ジンにちょいと加えてソーダで割って..........、それはフィズです。
電気楽器は音を歪ませたり倍音をつくるなど様々な効果を生み出して、発明以来、不特定多数の人を煽る装置として歩んできた側面もあったのですね。






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Levon Helm

2012-05-17 | Rock
 先月何だか慌ただしくしていた頃、JR車内に流れるニュース映像で、ザ・バンドのメンバーだったリヴォン・ヘルムが亡くなったことを知りました。
日頃好んで聴く音楽のほとんどは、演奏者が既に物故しています。
しかも動く姿が残っていることは稀で、例えば好きなロバート・ナイトホークという人の短い映像が現存しますが、それはあくまで偶然シカゴの街を撮っていた時の副産物だったようです。



ザ・バンドの映像は「ラスト・ワルツ」と「フェスティバル・エクスプレス」しか知りませんが、特に前者はサントラもよく聴いたし、DVDも繰り返し観ます。

そんなこんなで動くカラー映像のあるザ・バンドは、私が聴くものの中では比較的最近の音楽だったのですが、紆余曲折で残ったメンバーも知らないうちに年をとっていました。

その数日前に偶然「ラスト・ワルツ」を部分的に観ていましたが、今週あらためて見直しました。
色んなゲストが目白押しのライブ・シーンはもちろんですが、スタジオに組んだステージで丁寧に演出された演奏も良いです。
ステイプルズを迎えて、メイヴィスとお父さんの脱力感も味わい深い「The Weight」、めずらしい編成でも器用な演奏を聴かせる「Evangeline」ではエミルー・ハリスを迎えるなど、特典映像でスコセッシ監督が演出を解説しています。
あらためて通して観ると、歌にタイコにリヴォン・ヘルムは味のあるミュージシャンでした。

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本当に好きですね

2012-03-28 | Rock
 前回の話で「好きな人」についてちょっと書いた直後、お邪魔したところで積んであった雑誌の中から一昨年のゲーテ11月号を見ていると、音楽関係の特集でCharのインタビューがありました。



「'60~'70年代のクラプトンはプリミティヴ。ところが'80年代中ごろからお洒落になった。レコードからCDになって音楽シーン全体がデジタル化し、ロックが商品化され、プロデューサーが表に出てきた時期です。プロデューサーの手で加工された音を好むか好まないかはリスナーしだい。ただ、音楽が洗練されるとスリルは失われます。最近のクラプトンのライブは、企業の部課長がきれいどころの女子社員を連れていく音楽ですよね」

その対極にいるのがジェフ・ベックだそうで。

「ジェフは“ギターで歌う”ことを毎日徹底的に追い求めているから、今も新しい。アームの精度は信じられないレベルです。僕、本当に弾いているとは思えなくてね。ステージ下まで行って見たほど。世界中のギタリストがジミ・ヘンドリックスの亡霊を追い求めるのがロックギターの歴史。27歳で死んだジミヘンはエレキギターとアンプで成しうることはほぼ全部やってしまいましたから。そのジミヘンが表現できなかった音を弾いたのが、ただひとり、ジェフです」

とのこと。
思わず前に行ってしまうような、こういう人はもちろん相当「好きな人」ですね。

因みに、最後にCharの「人生の5枚」というのが挙げてあります。
レッド・ツェッペリンの1枚目('69)、グッバイ・クリーム('69)、ダニー・ハサウェイのライブ('71)、クリムゾン・キングの宮殿('69)、グランド・ファンク・レイルロード登場('69)だそうです。

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縁起がいいやぁ

2012-01-17 | Rock
 昨年12月に一番聴いたのは、ダン・ヒックス。
年をとっても、カバーのデザインがどんなのであっても、何時も変らないD・ヒックスです。
一説には日本でもけっこうファンがいるそうですが、NYに初めて行った時観たという波平君以外、その名を発音しているのも聞いたことがありません。



1月3日の夜だったと思いますが、日本再生のヒントみたいなのを扱っていた番組がありました。
再生エネルギーの町としてその中で紹介された四国の町の先駆けとして、オーストリア東部の都市がルポされていました。
それらの町では脱化石燃料というより、あたりまえのように世界を牛耳る石油メジャーが敷いた路線から敢えて降りようとする動きを紹介していました。

つまり石油を買わない事によって、今まで価格の高騰など、供給側の理論に翻弄され続けた流れから脱し、より安定的にエネルギーを供給出来ると、オーストリアのその市長は語っていました。
一地方都市の首長とはいえ、その方向性は明快でたいへん小気味良い事例です。

そういえば昨年ほかで紹介されていた日本の町長で、やはりかなり前から町のエネルギーを地元で生産できるようシフトした人がいらっしゃいました。余剰分は販路を確保して、経済にも活力がみなぎっているそうです。

シンプルな構造の頭のせいか、こう書いているだけで明るい気分になってきました。
こいつぁ春から........ってか!



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目利きの後ろ姿

2011-08-01 | Rock
 前回の話から通底する部分をふくむように思いますが、
洲之内徹さんの「山発さんの思い出」という話に......

鎌倉近代美術館の朝日さんの言うところによると、佐伯祐三の蒐集家といえるのは、いまはもう故人だが、芦屋の山本発次郎氏以外にはないそうである。
朝日さんは先年の、鎌倉の美術館での佐伯祐三展の折、作品を集めてまわった当事者だから、朝日さんがそういうのならまちがいないだろう。
たしかに言われてみればそのとおりで、佐伯を二点とか三点持っているという人なら私も何人か心当たりがあるが、五点となるともう思い当たらない。
だが仮に五点か十点持っていたとしても、佐伯の生涯の作品の大半、それも名作傑作を揃えてごっそり持っている山本さんの場合とでは桁違いで、比較にもならない。
また、山本さんが佐伯の蒐集家として桁外れというだけでなく、ひとりの作家の作品が、殆どひとりの蒐集家の手許に集められ、他には蒐集といえるほどのものはないという、こんな例も珍しいのではないだろうか。

山本さんはいつか私に、自分はなにも佐伯祐三を発見したとか見出したとかいうわけではない。
自分が初めて出入りの画商から佐伯の作品を見せられ(それが「煉瓦焼窯」だった)、初めて佐伯祐三の名を知った頃には、自分が知らなかったというだけのことで、佐伯は既に世評の高い画家であった、ただ、有名ではあったが誰も買おうとはしなかった佐伯の絵を、とにかく自分は夢中になって買った、それだけのことだ、と言ったことがある。
      ―中略― 
たとえ山本さんが自分でどう言おうと、やはり、山本さんは佐伯祐三の発見者だと私は思う。蒐集家と批評家、あるいは目利きと批評家とでは絵の見方がちがう。女に惚れた男が、その女の、人には見えないほんとうのよさを見付けるようなものだ。だから佐伯の場合は別として、埋もれた異才、時代が見逃していた才能を発見するのは、いつも批評家ではなく、目利きのほうである。

例によって、長い引用になってしまいました。



そして、白洲正子さんの「珍品堂主人 秦秀雄」という話には.....

ふつう世間の人々は、贋物・真物を見分ける人を「目利き」という。それに違いはないのだが、私にいわせればそれは鑑定家で、経験さえ積めば、真贋の判定はさして難しいことではない。
駆出しの学者でも、骨董屋の小僧さんでも、そのぐらいの眼は持合わせている。むつかしいのは、真物の中の真物を見出すことで、それを「目利き」と呼ぶと私は思っている。
「名人は危うきに遊ぶ」といわれるとおり、真物の中の真物は、時に贋物と見紛うほど危うい魅力がある。正札つきの真物より、贋物かも知れない美の方が、どれ程人をひきつけることか。しまいには、自分だけにわかればいい、「人が見たら蛙になれ」と念じているのが、日本の目利きの通有性である。
「贋物を怖れるな。贋物を買えないような人間に、骨董なんかわかるもんか」
秦さんはいつも豪語していた。私が知るだけでも、彼は古伊万里、佐野乾山、魯山人など、「贋物のあるところ、必ず秦あり」といわれる程、贋物にかかわって来たが、目が利かないから、贋物を売買したのではない、目が見えるからあえて危険を冒したのだ。

結局、並はずれて本当に好きな人には敵いません。
服の場合はもうちょっとシンプルで、解かり易いはずですが、他人がいいと言ってるブランドをなぞっていても、なかなか見えてこないのが現実です。
ましてブランドだけ押さえて満足していても、内実の伴わない品を選んでは本末転倒でしょう。

ところで、私の知り合いに「山発さん」はいませんが、鈴木君がトリハツと呼ぶ、ヘビースモーカーの服部さんならいます。



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悪い事したのに、ロックンロールって乱発してすみません。

2011-07-27 | Rock
 先日、一か月ぶりに小泉君の店で待ち合わせました。
私は中華の誘惑に勝てず寄り道したので、みんなの方が先に着いていました。
いろいろニュースを聞かしてもらいましたが.....

一番良かったのは、ノミゾーさんが大きな手術を乗り越えて、仕事に復帰した事。
二番目は、Last Waltz店主の小泉君が「70'S SOUTHERN ROCK ALBUM GUIDE」というのをまとめたそうで、取り敢えず横浜関内のDisk Unionで買えるそうです。



あと何かあったのですが、何だったかなー。女子サッカーアメリカ代表に、二人くらいきれいな人がいたとかそんな話題もありましたが、堅い話以外にも何かもっとあったんですが。



夏は海だ、山だ、サザンが9だ、ロック54だー。
そうなると当然お約束の、The Allman Brothers Bandのフィルモア・ライブを聴きたくなります。
さすがリクエストしなくても、程よい頃合いに流れてきました。

毎度のことなのに、MCが始まった途端に体内で何かが分泌されるような気がします。
何度聴いても、二十代前半の人たちの演奏とは思えません。

店の対角に配置されたスピーカーをとおして押し寄せる音から、ステージ上のオールマンが浮かんで来ます。
ソロが他の人に廻った時、メンバーが薄いビールで一息つく様を想像しました。

このアルバムの魅力は既にさんざん語り尽くされているはずですが、聴く度に初めて聴いた時と同じか、それ以上の味わいが未だに続くのは本当に不思議なことです。
Fit's以上に味が長持ち、何しろ高校以来ずっとですから。



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Lady's Choice

2011-07-15 | Rock
 一頃イタリアに暮らして、主に衣料品の輸出入に携わっていた大泉さんが、「最近あんまり見ないんだけど、レディース・シューズで男物みたいにちゃんとしたのどっかで見ない?」と言ってきました。
ガールフレンドに頼まれて、手ごろな物を捜していたそうです。

確かに今の女性の傾向では、そういうスタイルを日常的に履いている人は、日本でほとんど見掛けません。
背筋をのばして颯爽と歩く足元にはマニッシュな靴、という御婦人が冬のミラノにはけっこういます。
大泉さんはフィレンツェに住んでいましたが、日本にはMauro Volponiもありませんし、とりあえず何時だったか若井さんと散歩している時見掛けたので、Trading Postで見たと伝えました。

という訳で、ちょっと強引に目先をかえて、そんなオーソドックスな靴を並べてみました。とりあえず、スウェード・シューズ。

さすがに重いですね。
婦人物とはいえ、Edward Greenなんか、かなり紳士物にちかい顔つきしています。
他C&J、Grenson、B.Cavalli。
最近本人は、もっと軽いものばかり履いてるみたいです。

一昨年秋ブログを始めて、何枚目かに使った一枚。2in1やリマスタード盤も出ています。


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昨夏と同じ

2011-06-13 | Rock
 先日、「井」のつく名字の人という話を書いていたら、偶然津々井君からメールが来て呼び出されるまま行ってみると、会場はイタリア料理店のプレ・オープンでした。
津々井君は二時間前からやっているとのことで、いつもに増して愛想よくぐにゃぐにゃになっています。



スプマンテで乾杯した後、「何でもお好きなものを.....」と言ってもらったので、エスコートされた女性みたいな気持ちになって「じゃ、グレーコ・ディ・トゥーフォかフィアーノ・ディ・アヴェッリーノ」と勝手なことを言いましたが、選んだのはマルケ州のシャルドネです。ご存知のように製靴産業の盛んな土地柄でもありますので、「おっ、革靴の臭いがする」とか「おっ、冷えてる」とかはずれたことばかり言って、酔う前から困った客みたいになってました。

少しすると何だか服の話になって、その日彼が着ていたシャツが六万円超だったと言います。前回のユーロ高の時期の商品だったのでしょう。
そう聞いて、25年くらい前、初めてLuigi Borrelliのシャツを元町で見た時のことを思い出しました。七万円台という価格もそうですが、世の中には見たことがないものが色々あることを知らされ、そうした品が一般的な製品とどう違うのか、いたく興味をそそられたものです。

回想に耽っていると津々井君が、そのシャツの袖が長かったので詰めてもらったと事もなげに言うので、聴き逃しそうになりました。
見るとカフは何だかゆるゆるしています。
聞き返すと水平方向じゃなく垂直方向に詰めた、つまり袖丈自体を詰めて、しかも剣ボロを移動してないので開きが狭くなっているではありませんか。
あれほど言ったのにー、っと津々井君にはそんな話はしたことがないのに言いそうになります。
ここが狭いとアイロンかけ難いのよね。

知り合う前とはいえ、こんな目に合っていたとは。
ところで、私も一番最近買ったシャツは、なんと裄が98cmくらいありました。さすがに袖を振るって踊る創作ダンスやってるわけじゃないので、これは長過ぎます。
でも一応どんな感じがするか、ボタン位置を調整したあと、物好きにも既に五回ほど着て試してみました。

その晩、カメリエーラが優しくしてくれたお礼に、親指の第一関節を切り離す荒技を披露して退散してきました。


三人の会話については、「pwa92」ブログに詳細が。



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Colore Skippy

2011-05-25 | Rock
 日々、次から次に忘れていくものがありますが、読んだ事のある話なのにまったく思い出せないと、ちょっと不安になります。
先々月だったか、塩野七生さんの「男たちへ」を何年か振りで読みました。
日本の男性ももっとグリーンを身に着けてはどうか、という話のなかで、「森」じゃないんだからグリーンに茶を合わせたりすると、ファンタジーアのかけらもないという指摘がありました。
一度読んだはずなのに、このくだりをまったく憶えていません。まるで私の事を言われているようで、恥ずかしかったです。



そこまで書いたら心配になってきたので、正確を期するために本をあたると、先の話は「つつましやかな忠告二つ」というタイトルの話です。
その1980年代に書かれた忠告の一つ目というのは、脛をみせないようホーズをはきましょうという話です。ヨーロッパの子供たちが膝上までの半ズボンと膝下までの靴下というカッコなのに対して、日本ではそれぞれ正反対の丈の服で育つことがその一因かとあります。

そして、
『私は別に、洋服と呼ぶからといって、ヨーロッパ・スタイルをすべてまねせよ、と言っているのではない。ただ、基本は、お尻ぎりぎりの短パンや短いソックスにはないと言ってるだけである。そして、やはり基本は、なにか理由があって確立したものだから、それをくつがえすもう一つの基本スタイルでも創造しないかぎり、軍配は、従来のスタイルにあがりつづける、と言いたいだけなのである』
ともすると、妙なスタイルをクラシックと混同しようとする傾向にも当てはまる言葉です。

そして二つ目が、グリーンを勧める話でした。
仕事柄と申しますか、私のまわりにはもちろんそれ以前からグリーンを身に着けた方々がいましたし、以前書いたように、今では死ぬほどグリーンが好きだーっという方もいます。
あいにくここ数年の不景気と売り手側の委縮で、現在、黒っぽいもの一辺倒の観がありますが、塩野さんの提言の故か、グリーンも色だけならこの二十数年の間にすっかり浸透した感がありました。

今回のような色のスーツで、連想したのは、下の画像.....スキッピィのピーナッツ・バターです。森の発想と一緒?粒入りのスーパーチャンクは歯に挟まる?ごもっともです。
今回の合わせは、上の塩野さんのご指摘や、ましてスキッピィのパッケージを真似たわけではありませんが、三回ともブルー系を持って来ました。昔からあるコーディネイトです。

塩野さんの提言からくだること数年、森っぽい色使いもアースカラーという括りで活性化されました。それらはまたに致しましょう。

Comments (2)
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タンやオリーブのギャバディン

2011-05-23 | Rock
「そうですか、あなたのところへ行きましたか」
 と志水さんは言い、
「絵好きの持つ絵ですよ」
 と言った。
 絵好き、いい言葉だ。愛好家という便利な言葉があるが、どうもつまらなく高尚ぶっている感じで、言葉がネクタイを締めているみたい。更にこれを週刊誌なんかが書くように、美術愛好家の層が拡がったというふうに使うと、美術館で買った袋入りのカタログを持って地下鉄に乗っているOLかなんかを思い出してしまう。ついでに言うと、近頃はこの愛好家とか鑑賞層とかがむやみにふえたせいで、展覧会を見にいっても、入場券を買うだけでも並大抵でなく、会場へ入れば絵の前を蟹の横這いみたいに歩かされて、お互いにおちおち絵を見ることもできないという始末である。

あっ、こんばんは。レディー・ガガです。
洲之内徹さんの「絵のなかの散歩」の一節を引用しようと思って、機械的に写し始めたら止まらなくなって、あやうく丸写ししそうになってしまいました。
この話の後には、更にこんな一節があります。
                
 『蒐集家にはおいそれとはなれないから、絵が好きでも金がなければ、美術批評家にでもなるほかないが、これなら、金もなく、更に、絵が好きでなくても、なろうと思えばなれないことはない。一つ二つ外国語を自由に使いこなすことができれば、絵のことはわからなくてもなれるのが美術批評家である。画商に至っては、絵が好きでは画商になれないというくらいだ。』



三月末に白井さんから伺っていたので、翌月信濃屋さんに伺うと、夏にはこういう色を着るような男になりたいなと思わせるような、服好きが喜ぶであろう、きれいなオリーブグリーンのギャバディンのアットリーニがありました。

夏にはタンやオリーブのギャバディンを着るような、“遊び人の金さん”みたいに気持ちにゆとりのある人でありたいと思います。
謹厳なタイプの方には少しイメージが合わないかも知れませんし、グレーやブルーほど出番がそう多くはないかも知れません。そういう意味ではA・フラッサーの「Clothes and the Man」にもあるとおり“夏のスーツのなかでは最も贅沢な一着”かも知れません。

すっかり忘れていましたが、以前たしかE.Woodhouseのギャバディンで、三年塩漬けみたいな色のオリーブ(つまりグレーがかっていた)のヴェステッド・スーツを着ていた事を、帰りに突然思い出しました。今より季節を細分化して着分けていたしウェイトがあったので、それは春秋に着ていたものです。
タンも同系の3色で構成されたのを、夏には気に入ってよく着ました。
ご存知のように、意外と様々なコーディネイトが楽しめるのも、こうした色の魅力です。

  
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朋有り遠方より来たる、また楽しからずや。

2011-03-05 | Rock
 相手が忙しそうなので遠慮していたら、健ちゃんや木戸君が久しぶりに電話をくれました。
そういえば、最近十年振りとか十五年振りとかいう人とばったり会ったり、訪ねて来てくれたりします。

自分でつくる画像を意識し過ぎるのか、普段の合わせが妙に気分にそぐわないように感じる日が最近ありました。まだまだ分かってないのかと、多少苦い思いがします。
二十代半ばでもっと分かっていない頃は、会う人の着こなしの良い所をつぶさに観察して、色々な人のそれぞれ良いと思われる部分を自分なりに吸収させてもらいました。

そういう方の中の一人も訪ねてくれました。その日はカジュアルな格好で、既に直接アパレルを扱っていないこともあり、話をしている時はそういうことをすっかり忘れていました。
別れた後、その頃を思い出し、有形無形に様々な人に勉強させてもらった事に、今更のように思い至ります。

折角久々に会ったのだから、池波さん描く江戸の人のように、会った途端に一献かたむけるという具合にいかないのが、忙しい現代人の歯痒いところです。



何時だったか画像に青色が欲しくて、下のDavid LindleyのLPを捜しました。
いくら捜しても見つからずにいると、最後に見たであろう日のことを思い出します。

二十歳過ぎのその日、そのLPを持って友達の車に乗りました。同乗していたケイちゃんと呼ばれるコに「それ何」と聞かれて説明すると、興味あるふうなのでつい「聴く?」と言ってしまいます。
それ以来会った記憶がありませんが、多分そのLPは聴かれなかったと思います。

LPはいつでも買えましたが、そのまま何年か経ち、手軽にCDをもとめました。

ライ・クーダーと共に来日したデヴィッド・リンドレーを数回観に行きましたが、ルックスはこの絵柄のまんまで愛想のよい人でした。

去年より一月遅れで、一日から春物にしています。寒いので、まだまだ現実の陽気とは乖離した絵柄ですね。



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祝、アジア杯優勝

2011-01-31 | Rock
 長友選手からの緩い弧を描いたボールは李選手の左足を経由し、スローモーションのように軌跡を描いてゴールに吸い込まれていきました。
「そろそろ決めてくれ」「早く寝かしてくれ」選手や監督、サポーター、そしてTV桟敷の願いが集約されて左足に乗り移ったようなタイミングでした。
GK川島選手も多忙をきわめましたが、きれいなプレーと鮮やかなゴール、すっきり優勝を勝ち取ってよかったです。



昨日の午後、日が隠れて薄暗くなったと思ったら、白いものが舞っていました。
寒い日が続いておりますが、今週半ばから少し気温も上向くと言う話です。
現在五時半でも仄明るいくらいに日がのびていますが、日没がのびて行くようにそのまま暖かくなんてことは望めないものの、もう一息というところでしょうか。
昨年の春先みたいに寒さが長引くことのないよう祈りたいです。

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散漫な日

2011-01-20 | Rock
 今日の一皿は、よく二束三文で売っていたDelaney&Bonnieの一枚。寄せ集めた音源で作られまともなディレクションもなかったらしく、残念ながら後年のような統一感はありません。内容を象徴するかのようなLPジャケットも悲しい限りです。

先日袖ボタンの話を書きましたが、袖ボタンがはずれていると袖口からボタン(ホール)までかなりありそうに見えます。
以前書いた下のビリー・エクスタインのように、当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったにも関わらず、ボタンが割れていても気づかないくらいの無頓着さも素敵です。





全く同じではありませんが、例えば昨日のようなコーディネイトは自分でも着ます。
しかし、ここでは思いつくだけバリエーションを作っているので、すべて着てみたことがあるわけでなく、今日の画像のジャケットとタイを合わせたのは初めてでした。

これはまた別の話で、大人に交じって卓球大会初戦を勝ち抜いた小学生を、どこの局でも紹介していました。先日の升田幸三さんの見習いの話と全く同じです。
知らないうちに好きでやっているので、傍目には苦しそうな練習も苦にならないとのこと。

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親思う心にまさる親心.....

2011-01-19 | Rock
 日本海側の寒波や豪雪とは逆に、私共が住む辺りは年末からずっと降雨がありません。しかも多くの日は日照に恵まれ、全く日が差さない日は稀です。
松山から来たヤスオウ君から、イメージに反して四国は雪が降ると聞いて驚きました。



そんな好天の中、風もなく暖かくなりそうな日を選んで、白井さんと今年一回目の江戸市中散策へ出かけました。
前の晩の影響を感じながらクラシックな昼食をいただいた後、珍しく百貨店へ。

昔ミラノのドゥオモ横のリナシェンテに行って以来、百貨店の化粧品売り場の香りを嗅ぐと、リナシェンテの臭いを思い出します。それ以前から日本で嗅いでいたはずなのに、順序が逆なようにも思いますが。

B1へのエスカレーターをくだってその香りが漂ってくると、「リナシェンテだ」と聴こえたように思いました。まさか自分と同じように感じるなんてないなと思っていると、今度ははっきり「リナシェンテだね」と言ったのは白井さんでした。

モトヤマさんに伺うと、優しいコンメッサの方が「こちらのお客様でもたくさんファンの方がいらしゃいます」と白井さんに声を掛けられたので、さすが銀座には着こなしの良い紳士がいらしゃるだろうと嬉しくなります。

その後、岩元さんのところへお邪魔して、春夏の仕込みの一端をおしえてもらったり、好調な受注アイテムについて聞かせてもらいました。
たまたま訪れた顧客で元社長さんという方が、息子たちの行く末を心配する話を聞くともなく伺っていると、趣の深いことだなあと思わずにはいられませんでした。

親が子を思う気持ちの有難さに、危うく服の事なんて二の次だなんて気持ちにさせられます。

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