Men's wear      plat du jour

今日の気分と予定に、何を合わせますか。 時間があれば何か聴きましょう。

足元

2020-03-31 |  その他




29(日)は突然の雪でした。
暖冬だったとは言えそれなりに寒い日もあって、結局着るものはいつもの冬と変わりません。
つい先日までジャケットの下にはフラノを合わせることが多く、ようやく最近になってキャバリー・ツイルなどを秋以来履くと、サラッとした肌ざわりや生地の動きが軽快で新鮮です。
冬にそのくらいの素材をお召しの方も多いでしょうから、だいぶ寒さに対する感じ方が違うかも知れません。

その翌日天気が多少回復したので普段より一枚少なくして出かけると、ダウンを着た方もいらっしゃいますし、子供は半袖だったり人それぞれで、本当にこの時期は難しいです。








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読書

2020-03-28 |  その他
親しい方が体調を崩され案じておりましたら、「この状況で、大丈夫?」なんて逆にご心配いただく始末です。
何てありがたいことでしょう。



新型コロナウイルス対策に関してニューヨークの街頭でマイクを向けられた人が、「トランプは教養がないから、当てにならない」と答えているのを見て、何か久しぶりに教養という言葉を聞いた気がしました。

それから数日して、休校になったイタリアの高校の校長が生徒に向けたコメントが話題になると、確かに教養って存在するなと感じます。
その中に「こんな時だからこそ良い本を読んだり...」というくだりがありましたが、ちょうど数日前からそんな気分もあって、溜まっていたものから読み始めました。

先ずは、三十三間堂として知られる妙法院門跡門主 杉谷義純さんのお話。
三十三間堂の1001体の観音立像が重文から国宝に指定され、堂内1032体の仏像がすべて国宝指定となった後、昨年初めの講演が載録された会報を気になりながら読まずにいたので、それから。

「修理していただくのは、有難いようで、資金面などいろんな問題があります。歴史的にもいろいろありましたけれども、大名とかそういった権力のある外護者がいなくなりましたが、それに代わって現代は国の補助や大勢の皆様がお参りしてくださって、申し訳ないですけれども、拝観料という形で喜捨を頂戴して、それを積み立てして大修理のときにお出ししてなんとか維持できるという次第です。

ほんの一人二人の権力者ではなくて、大勢の人、国全体、皆様のお力でお守りいただいているなとつくづく感じ入ります。特にこういう時代に、そういう方法で伝わっていくということは有難いなと、思っております。

さて三十三間堂はもちろん後白河法皇の願い・信心、そういったものでできたお堂ですけれども、明治以降になりますと、仏像はなぜ拝むのか、美術品として鑑賞するべきものかといった議論が出てきました。ヨーロッパから哲学はじめいろんな文明が入ってきて、仏像について宗教ということは少し置いておいて、日本人がつくり出したものを素晴らしい芸術品として鑑賞すべきだという考え方が出てきました。和辻哲郎という人の『古寺巡礼』という本もそうですが、人間として生まれて教養を積んで、信仰にとらわれず、その教養の視点からみて啓発されるような仏像は素晴らしい。だからこそ文化的にも価値がある。というような見方も出てきたのです。

ですから、もう少し鑑賞しやすいように光を当ててほしい、もう少し見やすいようにしてほしいなど、いろんな注文が出たり、宗教を排して見ないと本当の姿が見えないというように、どこか発想が逆転しています。そういう見方に対して、今度は反論するような形で、亀井勝一郎という日が、仏像は芸術品ではなく信仰の対象だ。平伏するような気持ちで拝まなければその良さはわからない。と言い、真っ向から違う見方があって、当時この考え方もまた大変人気がでてきました。

日本もいろいろ揺れている時代に、いろんな文化を吸収して、いろんな意見を言う人が出てくる。これは素晴らしいことですけれども、長い悠久の歴史の中できちんと本質を捉えていかないと、捉え方を間違えると、本当に仏様の良さは理解できないのではないかと私は思います。」

一部抜粋させていただきました。
話の本筋から外れますが、面白いのは「教養」が氾濫してた時代と、教養が忘れ去られた今とでは、状況の違いもあって「教養」の扱いがちょっと違います。

次に、スルメのように何度も味わえる西岡常一さんのお話の中から、青山茂さんという方との対話「斑鳩の匠 宮大工三代」という本です。
西岡さんの話を読んでいくと、ここをもっと詳しく聞きたいという気になってきます。
それを代わりに青山さんという方が、かなり細かいところまで聴いてくれるという内容で、たまに開きます。
普通の読書はその後でした。



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ハシゴ

2020-03-25 |  その他
父や祖父が火消しとか消防士ではなかったですが、独身の頃ハシゴが好きでした。
それが何時からか止んで、何年か前に飲食店を経営する同級生に再会して一緒に飲むと、「じゃ、今じゃ家に帰って飲んでんの??私たちの敵だね!」なんてからかわれます。

先日、珍しく白・赤ともピエモンテということがありました。
二本目のセッラルンガ・ダルバは、バローロの中でも特に長期熟成可能な力強いものが出来ると言われる土地で、最初のリースリングとの組み合わせは、着こなしの良いイタリア人に会ったみたいな気分にさせてくれます。



あるピエモンテ人は、会ってしばらくするとこう言いました。
「相手の方の服の生地、また靴の趣味や着こなし全般まで見ると、その人とどこまで仲良くなれるか想像してしまう」
最近、そんなヒリヒリする状況はまずありません。

先日何か飢餓感のようなものを感じると思ったら、上から下まで普通にキチンとコーディネートした人を見たい、という欲求だと思い当たります。
その後少し緩和される機会がありましたが、新型コロナはまだ予断を許さない状況ですから、もうしばらく我慢するとしましょう。
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服の行方

2020-03-23 |  その他

「鎌倉 瑞泉寺」

「ウグイス鳴いてます」と書いたからではないようで、奥様からOKが出たからとシャイな感じでお越し頂いた方がいらっしゃいました。
今時、ご亭主の着るものに理解を示してくださるとは、何とありがたいことでしょう。
こんな状況ですから、新型コロナに立ち向かってテンションが上がるくらい、期待を上回る服になればと思います。

江ノ島鎌倉を巡るついでに、カップルで寄ってくれた方もいらっしゃいました。
3時間くらい語り合ううちに、彼氏が着ていた昔の英国製Chester Barrieハイロール3Bジャケットを着させてもらうと、やはり分かってる人たちが作ったものは違うなと思います。
ハロッズや海外の紳士服店、ブランド物から仕立屋の既製服まで様々な店の注文に応えてきただけあって、既製品でこれだったら10人中8~9人は文句ないのではと思うくらい、イタリアの高級既製服にも通じる柔らかい着心地を備えていました。
昔試したとき感じた着心地の印象は、息子の代にイタリアで始めたD'avenzaや同等のイタリア製品ともども、今作るもののフィッティングの参考になっています。


1938年4月号Esquire掲載の広告

人に訊かれると「ポケットには出来るだけ物を入れないのが理想的」と答えておきながら、私のポケットはバッグ代わりでいっぱいだったりするのですが、男性はポケットに何も入れずきれいに着てらっしゃいます。

これを読んでくださるような方には蛇足ですが、突き詰めると生地だけでなく、やはり着心地やバランスにも拘るでしょうから、どちらが欠けてもその服はしだいに登板回数もへり結局処分される可能性が高くなるので、やはり数でなく質で揃えた方が将来的に良いワードローブになることを、そのジャケットは語っていました。

雑誌に連載されてる方が「そろそろピタピタのスーツも終焉を迎えているようだけど、流行りが終わった服はどうするんだろう」と面白く書いていらっしゃいました。
リサイクルの話で、昔からあるような細かく裁断して詰め物にしたり緩衝材にするような使い方でなく、ポリエステル系に限られるとは思いますが、再生繊維にして再利用という話も聞きます。
私共が普段扱う天然繊維とはリンクしませんが、将来ウールや綿も従来と違う発想で再利用の道が拓けるかも知れません。


1939年4月号Esquire掲載の広告
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こうしたら、こうなった。

2020-03-22 | 生地
オーソドックスな色柄で良いものほどは見つかりにくいかも知れませんが、ちょっと新し目な組み合わせの色柄で気にかかるものもたまにあります。
画像は以前、"Harrisons of Edinburgh"がスコットランドのミルに織らせていたモダンなシリーズの中の一枚。
グレンチェックやハウンドトゥース、ガンクラブといった古典柄とは違う、ディストリクト・チェックと総称される格子柄です。

トーンを抑えたサックス、オレンジ、濃色、白の組み合わせに、何かひかれるものがありました。
もちろん色柄だけでなく、ウール66%シルク22%リネン12%の滑らかな質感も好ましい手触りです。



多少、雰囲気の伝わりそうなイラスト。
盛夏なら、こうした明るく白っぽいコーディネートをすぐ思いつきます。
それ以前の時期には、もちろんミディアムグレーのパンツを持ってくるでしょう。


Charles F. Petersによるイラスト。

で上の生地をかたちにしたら、こうなりました。



素材の良さをいかす芯との組み合わせにより、柔らかさが出ているかと思います。
生地もオーソドックスなものにはオーソドックスな良さが、ポップなものには遊びやそれなりの魅力がありますから、コーディネートしだいでそれぞれの楽しみがあります。


「川瀬巴水 1939年」
一番奥に描かれた山のブルーが、ジャケットのブルーに似ています。
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ウグイス

2020-03-19 |  その他
「シジュウカラってご存知?」
「あぁ、急に腕が上がらなくなったりするやつ!?」
「そりゃ、シジュウカタね」
「何か、鳥ね」
「そう、最近民家に巣を作るってTVでやってました」

という訳で周囲が小高くなった鎌倉の店は、野鳥がたくさん来ておかしくない環境ですが、今年も15日からウグイスが鳴き始めました。
その日はムートンを着た人を2人見たと思ったらシャツ1枚の人もいるという天気で、前日は都内の開花宣言と雪が重なったのと同じように、本当にこの時期は着るものの選択に困ります。
季節感を気にすると尚更です。


川瀬巴水 「鎌倉大仏」 1930年

のんびり始まりましたが、今月初めよそから聞いた急ぎの話です。
いつもの年ならもう少し後の時期の話ですが、洗濯物や外を歩く人に取り付いて家に侵入する虫がいます。
暖冬のせいか、もう見た人がいるそうです。
ヒメマルカツオブシムシとかヒメカツオブシムシという小さな甲虫のような姿で、家の衣類に紛れ込んで卵を産み、孵った幼虫が生地に穴を開けます。

カシミヤはもちろん、ウール100%の製品も狙われます。
何故かポリエステル混紡とかはちゃんと後回しにされますが、食べこぼし等の汚れがあるとそこは見逃しません。
科学的な根拠はありませんが、印象ではカシミヤよりアルパカ、キャメルヘアの順に好んでいるような気がします。
また、人生経験豊富な方の話では、ずっと同じ場所にあるものの方が狙われやすいそうです。

朝、近所でご商売をされている方に会うと、特に西口方面は人がパッタリだと言います。
ウグイスにご興味ある方も、もちろん服好きの方も、大仏観光の折には是非お立ち寄りください。


川瀬巴水 鎌倉妙本寺 1931年
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久しぶりに、Leslie Saalburg

2020-03-17 |  その他
レスリー・サールバーグのこのイラストは、ファスナーTalon Zippのために1934年のエスクァイアに描かれたものです。
この時代、パンツの前開きをボタン・フライから何とかジッパーに換えさせようと、毎号のようにタロンは広告を出し、横から見た時フライフロントは生地が少し浮いて見えますよ、とジッパーの優位性を図説していました。
最近は落ち着いてきましたが、しばらく前にボタン留めに先祖返りした製品が多くみられた事を考えると、歴史や流行が繰り返すという話を思い出します。

話はちょっと脱線しますが、窓の向こうに描かれたクライスラー・ビルディングは、少し前の1930年に完成したばかりで、当時話題の名所だったことでしょう。
何度か書いた気がしますが、サールバーグが描いたと同じ'34年、写真家のマーガレット・バーク=ホワイトがビルの上から撮影している有名な写真があります。



次もタロンの広告。 サインがあってもなくても、この辺のイラストはよくL.フェロウズと混同されているのを見ます。
そのクライスラービルの中にあった「クラウド・クラブ」という所でスケッチしたとあります。









'50年代以降、こういうタッチの仕事が多く、フランス人の奥さんの絡みでしょうか食レポ風のイラストなどが増えます。



今回はあまり外に出ない方用に、画が多めとなっております。
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H難度

2020-03-13 |  その他
20℃を超える日が出てきました。
冬のうちタイミングを逸してたのを、遅ればせながら投稿させて頂きます。



非常に難しいテクニックです。
前傾した腿の上の皿はすべるし、ましてシートステッキでバランスを取りながらとなるとかなりな技です。

更に難しいのは左の男性で、茶系の細かい柄のジャケットにグレーのパンツまでは良かったですが、ヘリンボーンにしなかったら今日でもお手本のようなコーディネートです。

服に興味を持ちはじめて暫くすると、いろいろ工夫してみたくなります。
その一つが、「普段グレー無地のパンツを合わせている柄のジャケットに、何か違うものを合わせられないか」という誘惑です。
なかなか魅力的な実験ですから、その誘惑にあらがえず何か買い足すことでしょう。
一番手っ取り早く思いつくのが、画像のような合わせです。

悪いとは言えませんが、より趣味の良い着こなしを目指す方には、やはり迷わず無地の中間的なグレーからライトグレーのレンジでちょっと違うのをお薦めします。
「それじゃ、持ってるのと同じ」という反応が予想されますが、まったく同じ生地でない限りジャケットと合わせた時に微妙に表情が変わります。
明るめのグレーを合わせた時にはジャケットの色が引き立ったのに、ある日それより少し濃いグレーを合わせただけでジャケットの色が沈んでしまった、なんて事はありませんか。

ちょっと脱線しますが、紺のブレザーにグレーのパンツという時代を超えたコーディネートを、その逆も可だろうという発想だと思いますが、グレーの上着に紺のパンツを合わせてしまうとまったく別物です。
グレー系の上着に紺のパンツという組み合わせは、日本人の陥りがちなものの一つで、よくよく注意が必要です。
今日ではもっと選択肢が増えて、妙な合わせにハマらないよう気をつけるのは更に難しいでしょう。

ただ上のイラストに関して言えば、パンツ以外靴もホーズもすべて完璧なことを考えると、フェロウズは敢えて承知で描いたかも知れません。
L.バルベラのコメントのように、「時にはセオリーをちょっと逸脱したところに、その人らしい着方が生まれる」場合がないこともないからです。
その場合も「他が完璧」というところが重要で、そうでないとただのトンチンカンと解される可能性のほうが高いでしょう。

あるいは当時の流行りというか、一般的な合わせだったかも知れません。
フェル・シャープが描いたイラストに、ネップの入ったホームスパンのジャケットにもっと大きいヘリンボーンを合わせたイラストがあります。
ここまで大きいヘリンボーンに柄物の上着では上下ガチャガチャして、最初のフェロウズの絵だったら文句ないじゃない、と言いたくなります。



カジュアルに傾いて構わなければ、コーデュロイや綿で起毛感のあるツイルも、ツィードにマッチした素材ですしこなれた感じがして良いものです。
またウールの方が扱いやすいという方には、前にも書きましたがカバート系と称される、キャバリーツイル、カバートクロス、ホイップコード、カルゼといった(どれがどれだか見分けがたいと思いますが)生地もおすすめです。

以上あくまで拘る方の場合ですが、パンツの合わせにももっと面白い選択肢があるかも知れません。
退屈だと感じる方は、ワナに気をつけてぜひ新しい合わせにチャレンジしてみて下さい。
最後に、フェロウズが描いた正調のコーディネートを。

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キレイ

2020-03-09 |  その他
新型コロナウイルスが報じ始められてすぐ、マスクの装着率を促進させようと、海外の「マスク美人」みたいなイベントがニュースになっていました。
もちろん、そういう方は取っても美しいだろうと思いますが、目が合った途端その巧みな描き方に見惚れて、あやうく怪しい人と間違われないともかぎりません。



この時期ちょっとリスキーかとも思いましたが、だいぶ前から予約していたので、定期検診で胃の内視鏡検査を受けました。
終わって医師から「ピロリ菌がいないという話と矛盾しません」と説明を受けながら、胃壁の画像を眺めて「意外にキレイ」なんて思います。
でも胃壁じゃ自分のもあまり見たくないですから、他人に「見て、キレイ?」なんて言ったら敬遠されるのがオチでしょう。
それに比べると、やはりマスク美人の方がずっといいです。

ところでその内視鏡検査は、胃壁をよく撮るため空気を送り込むようで、今回はそれがきつかった。
最近は暴飲暴食で鍛えることもありませんから、前より胃が小さくなったのかも知れません。
昔の漫画でカエルのお腹をパンパンに膨らませるようなのがあって、横になりながらそんな図を連想しました。


(室生寺から近い店先に、もう何年もあるカエル)

腹囲を測る時も別にスリムに見せたいとかないですが、姿勢を伸ばしたらお腹を引っ込めたと同じ状態になったようで、係の方がメジャーを読んで「78センチ!」と確定してしまいました。
へこましたとも言えず、パンツはもっと大きいです...なんて、さんざん経験してきたのに自分でやってしまい笑います。

仕事での採寸も、もちろんその時の状態が大事で、初めてで多少緊張感があると先の話みたいに正確な寸法がとれません。
何だかんだお話しながら、自然体になる瞬間を待ちます。
また、それ以上に大事なのが大きく体のクセをつかむことです。
これも普段と違う緊張感があると、たいていの場合良い姿勢をとろうとするので、解けるのを待ちながら動きの中から身体のクセを探ります。

ちょっとメジャー当てられただけで、自分がお腹引っ込めるんですから、姿勢を伸ばすくらい誰でもあるでしょう。
子供の頃、腰が直角に曲がって地面を見ているようなおばあちゃんが、立ち止まると急に背中を伸ばし直立したのを見て、「あぁ、伸ばせば伸びるのね」と妙なことに感心したのを思い出しました。

定期検診も大事ですが、今はウイルスに負けない抵抗力を養えそうな食生活に気をつけてます。
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青空...

2020-03-05 |  その他


少し前に映画「夜の河」のことを書いてから、誘惑に勝てず増村保造監督・若尾文子主演「青空娘」という作品を見ました。
「夜の河」も100分強の中に一年の物語りがテンポ良く展開されることに感心しましたが、こちらは88分と更にコンパクトで、やはり当時の方々の職人気質を感じます。

とてもスピーディーで無駄がなく、とっさの言葉と思われるセリフさえよく練られ過ぎてる、なんて思うくらいテンポをキープします。
観終わった後は、新鮮で後味の良い果物を食べたような気分でしょうか。



主人公が、生母と再会する場面。
せっかくの画像ですが、これから観る方がいらっしゃるといけないので、お顔を隠させて頂きました。
この時の若尾文子さんは23歳くらい、再会できた母の懐でまるで幼児のような表情を見せます。

増村・若尾コンビというともっとエグ味のある作品のイメージですが、これは一作目だそうでストレートな青春映画です。
1957年作と生まれる前の作品でも、私だけでなく初めてご覧になる方はきっと、気がつくと若尾文子さん演じる小野有子を応援してることでしょう。

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Hemp

2020-03-03 | 生地
日射しが春めいて来ました。
唐突ですが、ヘンプってご存知ですか?

「あぁ、ちょっと片田舎みたいなところ...?」
「あー、時計の部品ね!」
「聞いたことある、何でしたっけ?」
はい、リネン等と同様に植物の繊維ですね。

数十年前まで日本でも広く利用されていたというだけでなく、現在も注連縄とか神事に関わるものの多くに欠かせないそうですが、世界的に長年取締りの対象だったため、衣料用に生産されている国はイタリア他そう多くないそうです。



前回の當麻寺(たいまでら)の話を書いてすぐ、イタリア生地でヘンプとシルク交織のジャケットが上がって来ました。
プレーンなベージュ、通気の良さそうなざっくりした綾織り、濃い糸と明るい糸で適度なツヤと表情があります。
複雑で奥行きある色柄も面白いし、こうした何でもないようなものも好みですが、何しろ植物の茎の外皮から取る繊維ですから、出来るかぎり事前に処理をしても遠慮なくシワになるでしょう。
それもキチンと作ったフォルムと相殺で、リラックス感が出ると思います。

20年くらい前、Linen50%Hemp50%という組成の伊メーカーのジャケットをどんなものか試してみました。
麻100%と何か違うのかという好奇心でしたが、今思えば当たり前で、何のことはないただの麻100です。

大昔から利用されてきた素材なのに50年以上日陰の身で、家庭用品品質表示法では指定外繊維の扱いからその後「植物繊維」表示になったそうです。
一般的にこうした扱いにくい素材は好まれないと思いますが、これは色柄・質感ともうまくマッチして、スポーティーなジャケットが出来上がりました。
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