Men's wear      plat du jour

今日の気分と予定に、何を合わせますか。 時間があれば何か聴きましょう。

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2020-06-16 | 生地
梅雨だから仕方ないですが、蒸し暑いですねェ。
試しに湿度の低い都道府県と検索してみたら、「東京都」と出ました。
とするとピンポイントで例外はあるにしても、どこもあまり変わらないのかもしれません。

そんな中、生地屋さんからはもう秋冬の話。
池波正太郎さんのエッセイに、終戦直後の話があります。
終戦を迎えたばかりなのに、きちんと祭礼が立ち人の営みが滞りなく進むことの力強さに、この先どうしたら良いのか悩んでいた時期でもあり、たいへん励まされたそうです。
これから夏本番なのにいつもながら早いなぁ、と思いながらその話を思い出し、店まで足を運んで頂いて尻を叩いてもらった思いです。



という事で、もうツィードが届きました。
チェビオットとクロスブレッドの混紡560g/mで、ソーンプルーフに準ずるくらい目の詰んだ手触りは、カシミヤやハイカウントのウールと対照的です。

ベースは土とか収穫をイメージするような色で、そのメランジの綾にのったウィンドウペインのブルーが、最近見たアジサイと重なりました。
前にも書いたと思いますが、アジサイの色は土壌によると言われます。
どう影響するか調べたことはないのですが、たいてい淡いブルー系とかピンクから紫にかけてのグラデーションで、マットな青はそんなに見ません。



のんびりしていると、たいていあっという間に着るシーズンがやって来ます。
でも、さすがにまだ梅雨もあけていないので、どんな服になるかゆっくりイメージ出来そうです。
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これからの

2020-06-09 |  その他
自粛期間の初めの頃、どこかのオーケストラの方が「もう数十日も演奏していないし、自分の仕事が不要不急の不要にあたるのかと思うことがつらい」とTV取材に語っていらっしゃいました。
新型コロナ禍の中で、自分の仕事は果たして何かの役に立ってるだろうか、と顧みない人はいなかったかもしれません。

少しだけ家にある生地の中から、エスコリアルとかしっとり目の詰んだ200双のシャツ地とか出して、それを作った人々のスキルを思い、さらにもう一段着やすい服作りは出来ないだろうかとか、今後作るものへの気持ちをかき立てようと思いました。
技術的なことはともかく、気分的に何かスッキリしません。



寝ようと思う頃、「プロフェッショナル」という番組の再放送をやっていました。
以前もアンコの達人という人が紹介された回に、従来とまったく違う作り方を見たことがあります。
今回もたまたま小豆を煮ている場面に遭遇して、つい見てしまいました。

お母さんに教わった笹餅を60歳から商い始めたというおばあちゃんは、笹の葉を取りに山へ分け入り、小豆もご自分で育て、納得ゆくものが出来たときには10年経っていたといいます。
すべて一人で作って、お子さん達を案じ、撮影スタッフのご飯も用意して「こんな多忙な90歳いる?」と笑っていらっしゃいました。

どの話も良いですが、優しいお母さんとの幼い頃の幸せな記憶が、93歳の今もおばあちゃんを支え続けていることが分かります。
ふとルノワールの映画とかE.レジーナとA.Cジョビンの「三月の雨」を連想しましたが、それよりもっと幸せな気分をお裾分けに与ったようでスッキリ。

地域貢献などで表彰されたり、以前から地元では知られた方だそうです。
お約束だから仕方ないかも知れませんが、いつもの「プロフェッショナルとは?」という問いかけが蛇足に思えました。

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