Men's wear      plat du jour

今日の気分と予定に、何を合わせますか。 時間があれば何か聴きましょう。

古澤さん

2020-11-25 |  その他
10月は下旬にようやく好転するまで雨が多く、今月は逆に雨不足だそうです。

そんな10月初旬の雨の日、スーパーの床で滑りました。
靴の接地する角度がうすかく入った・の・か・なぁ・・・と一瞬思いながら、一人マトリックスというか、スローモーションのようにゆっくり後ろへ倒れました。
翌日思いついて靴底を確かめると、雨だからと履いたダイナイトソールがかなり減ってグリップがあやしくなっています。
床が濡れていたのもあるかもしれませんがこれでは仕方ありません、急いで新しいのを用意しました。
よくある話ですが、そうするとほとんど降りません。



寝る前にたまに見る外国語番組も、現地ロケがかなわない状況で苦心されているようです。
「旅するためのイタリア語」を見ていたら、以前の放送分から古澤巌さんの頃の映像が使われていました。

あらためて観ると、古澤さんはホンワカして良いです。
食事のたびに「今まで食べた中で一番美味しい!」と食べて飲んで感想をのべるだけのシーンでも、お人柄か寝る前にちょうどいい気分に和みます。
また舞台の南イタリアの快晴の空が気持ち良さそうで、再び厳しくなり始めたヨーロッパの状況とのコントラストを思いました。
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小さな集会

2020-11-25 |  その他
幹事を引き受けてくださる方のおかげで定期的にお仲間の集まりがありますが、2月以降自粛を続けています。
個別にはお会いしますが、ここへ来て5名以上の会食には黄色信号が灯って、もうしばらく我慢が必要になりました。

それでもありがたいことに、移転を機に遊びに寄ってくださいます。
その日はとても良い天気で、お一人またお一人とお越し頂きその後間をおいてまたお一人と、時期も近いので四十七士討ち入りの晩のようなご訪問でした。



先にいらした白井さんと何かの話から久々にミラノの話になって、「あのジェズゥの角にあった店なんて言ったっけ?」というあたりで、八木さんが見えました。
積もる話を小一時間ばかり、話は尽きませんがちょうどお昼のピークを過ぎたくらいの時間になったので、お二人はすぐ近くにある馴染みの「奇珍」へ向かわれました。
関係ありませんが、もっと近い2分くらいの所に偶然「信濃屋」さんという中華料理店があります。

ちょうど1時間後に見えた藤井さんが、行き違いになったことを残念がったのは言うまでもありません。
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誘惑

2020-11-15 | 映画
今日もポカポカと暖かく、最高の日和です。
ただ、30%近くまで湿度の下がる日が続くと知らず知らず掻いてしまい、掻くとまたそこが痒くなるという悪循環の方もいらっしゃるかも知れません。
よくお母さんが子供に「掻いちゃダメ!叩きなさい!」なんて言いながら自分で掻いてたり、やはり掻きたくなってしまうんでしょうね。

大人になって掻くとその後どうなるか十分承知しているのに、あともう少しなら大丈夫なんて思いつつ危険領域に踏み込んでしまう、自分の内から湧き上がる誘惑の恐ろしさ。
これからが冬本番かと思うと、これまた更に恐ろしいことです。



昔の日活映画というと、青春モノとかエキゾチシズムをかきたてる港が舞台の犯罪映画というイメージで、先日の「風船」なんかはちょっと毛色の違う路線に見えます。
更にまた違うタイプで、中平康監督「誘惑」(1957)という作品を観ました。
舞台は銀座すずらん通りの洋品店で、コメディのような青春映画のような不思議な一本です。

先日書いた「あいつと私」もそうですが、たまたま私が観たこの頃の日活作品には、どれがどれか分からなくなるほど芦川いづみさんと轟夕起子さんという女優がよく出てきます。
この「誘惑」も、場面こそ多くないものの芦川いづみさんが一人二役のヒロインで、轟さんは珍しくコミカルな役です。

冒頭、いきなりチャッカマンと同じ形状のものが出てきて、思わず「こんな昔からあったの?」なんて勘違いしそうになりました。
それまで化粧っ気のないタイプだった渡辺美佐子さんが化粧して振り向くシーンでは、この3年前に日本公開された今も人気の名作でヒロインが髪を切るシーンに一瞬ダブったり、ある部分ではジャン・ルノワール作品みたいだったりします。

舞台になる洋品店の看板には「Fancy Drigoods for Ladies & Gentlemen」とあります。
drigoodsはdrygoodsのことかも知れません、聞き慣れない言葉ですが調べてみると「生地や服及び関連商品」の意味で、店に置いてある商品の中には現存するブランドもあり、本筋と関係ない見所もあって、岡本太郎、東郷青児、若い天本英世、頬を膨らませる前の若い宍戸錠(顎を上げると、ちょっとクリスチャーノ・ロナウドに似てます)なども見えます。
岡本さんはセリフもあり、思わず例のモノマネをしたくなる誘惑を抑えきれない可能性あり。

この時代よく言われることですが、この映画も量産のプログラム・ピクチャーの一つだったのかも知れません。
ただ作り手の側の職人気質とセンスが合致して、単なる娯楽作品以上のレベルが記録されるケースがあります。
上手く表現しがたいですが、お洒落な人が登場するということもないのに、映画的な楽しみに満ちた愛らしくとても洒落た作品で、良い服を見た時と同じような気分になりました。

機会があれば、ぜひご覧になってみてください。


「上もこちらも他の作品からの画像、下は奥が芦川さんで吉永さんは出ていません」
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湿気と乾燥

2020-11-12 |  その他
京都の妙心寺に行ったことのある方なら、天井の龍を見上げながら手を打ったり係の方の解説を聞かれたことがあるかもしれません。
その時、芯去材とか柱についてのお話があります。
寺社建築の多くは桧が使われ、何度か引用させていただいた西岡常一さんの話でもあらゆる面で桧が一番と語っておられますが、妙心寺の柱は欅で、富士山の麓辺りから採られたものだと聞いた覚えがあります。
それを陸路で運んだか筏みたいなものに組んで海路を渡ったか分かりませんが、昨日関西を出た荷物が今日届く現代と違って、ゆっくりゆっくり京都まで運ばれたことでしょう。
その間、風雨に晒されたり十分時間をかけることによって、伐採された木が徐々にこなれて有用な木材になっていくとどこかで読んだ気がします。
ですから急がないことに価値があるんですね。

シャンプーのCMに、毛髪の表面にキューティクルと呼ばれるウロコがあって、それが湿度によって開いたり閉じたりするという解説付きのが昔ありました。
ウールも毛が刈られ羊本体から離れた状態ではすでに生きていない訳ですが、それでも「生きている」「呼吸している」と言われるのは、毛髪と同様表面のスケールと呼ばれるウロコ状のものが開閉して、一定の水分を繊維の中に保つ働きをし続けるからだそうです。
例えば私たちの仕事に絡めるなら、もしその機能がなくて水分が失われていると、アイロンの熱に耐えきれず早く焦げてしまうことでしょう。

扱いにこだわる生産者であれば、刈った原毛はゆっくり労わるように十分な湿度を保った環境で、糸になるなり生地になるまで寝かされます。
生地に織られてからも直後に洗われたり水とは切れない関係で、出荷されると裁断前には蒸気を与えられ、その後も工程の合間合間に加湿を繰り返したりと、服になるまで水とは切っても切り離せません。

しかし一旦服になった後は、「湿気は洋服の大敵」と言われるくらいダメージの元となるため必要以上はいりません。
スタートは木場で水に浸かっていた材木も、建物の完成後まで年中ジメジメした環境では寿命が早まることを思えば、そのあたりも木と似てます。

私のところも最初の失敗を生かし、新しい所は地表から離れており、2.4mの大開口で日照と通気に恵まれている為、さながらサンルームのような環境です。

10月最終週から湿度が40%を下回りはじめ、空気の乾燥が進むとともに肌の乾燥も心配される季節になってきました。
さらに、30%に近づくとかなり危険な領域に入るそうです。
先日もお越しいただいた方が試着しながら、「乾燥しちゃって」と仰ってました。
なかなか丁度良い気候は続かないものですが、皆様も服の環境のみならず乾燥肌のケアも忘れずにお過ごしください!


少し歩いたところにある本牧山頂公園からの眺め
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宅配便

2020-11-09 |  その他
3年くらい前だったでしょうか、宅配業者のきびしい勤務実態が問題になったことがありました。
それ以降12~14時の時間指定が廃止になったり遅い時間帯の幅にゆとりが出来たりして、それまでもうちに来てくれる方々には何の不都合もなかったですが、皆さん前にもまして笑顔になった気がします。

家に来てくれるいつものドライバーさんのうち3社の方は行動パターンを読んでくれているのか、19時くらいに不在通知を入れてくれたのに、また後で寄ってくれる時もあります。
ドアを開けると、まったく疲れを見せない笑顔で立っていてくれて、申し訳ない思いです。
この時期何かあってはいけないと思うと、ミカンの一つも渡し難くなりました。

移転してまだ日も浅い頃、ピンポーンと鳴ったので「何か頼んであったかな?」と思いつつドアを開けると、スーツ姿の方が立っていました。
「気になってて...」とお越し頂いた方は、ラグジュアリーブランドを扱う方だそうです。
お話ししながら1930年代のEsquireをお見せすると、なぜかところどころページがくっついていました。
2ヶ月くらい開いてなかったので気づきませんでしたが、移転の原因となった湿気の影響がそんなところにまで及んでいたようで、あらためて環境の大切さを痛感しています。


「皆さんにいただいたスネークマン・ショー...じゃなくてアンスリウムは、今も新しい花を咲かせてくれます」
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映画から

2020-11-08 | 映画
ようやくアメリカ大統領選挙も決着がつきそうですが、すんなり終わらないというのが大方の読みです。
4年前にも思いましたが、映画"Back to the future"に出てくる「ビフ」というのを大人にしたら、トランプみたいになりそうだと改めて思いました。

というわけで、本日は映画に絡めたお話。
少し前に日活の「あいつと私」というのを見ていたら、最後の方に滝沢修という俳優さんが出てきて上着を脱ぐシーンがありました。
すると、いつも言っているようなシャツの着方をしていて驚きました。
その役はアメリカ帰りという設定なのですが、アメリカ人はシャツのカフを小さくしないし体型的にその必要がないように思えますから、当時の日本人としては珍しかったのではないかと思います。
その画像はないので、以下をご覧ください。



アステアはバレルカフの袖口を折って着ている写真もありますが、カフがルーズ過ぎて、例えばホーズをはいてない為に裾と靴下の間でスネが剥き出しになってる状態に似ています。



イタリア人のアニェッリのシャツは、身幅はゆったり袖丈は長く、カフはかなりピッチリ。
もう少しゆとりがあって丁度いいのを着ている写真もありますが、これはちょっとタイト過ぎます。
いくら袖丈が長く作ってあっても動作によっては持ち上がるので、キツ過ぎては元に戻る余裕がありません。というより、もしかしたら全く動かないよう意図したものかとも思えるくらいキツ目。
映画の中の滝沢さんが着ていたのは、アニェッリのカフにゆとりを持たせた感じでした。
 
                 * * *



先日、フランク・キャプラ監督の「オペラ・ハット」(原題"Mr. Deeds goes to town")から、ゲイリー・クーパーが仮縫いをしてるシーンをinstagramにあげたところ、数日後クーパーの娘さんがそれを紹介してくれるという事がありました。
何だか不思議な気分ですが、面白い時代です。

マリア・クーパー・ジャニスさんは白井さんと同じ1937年生まれで、ご主人は著名なピアニスト、お父さんの写真集を二冊出しています。
instagramではG.クーパーに関する資料を毎日のように投稿していて、大半はすでにどこかで見たことがありますが、たまにホームムービーのような珍しい動画もあります。
上の一冊目の表紙のように、娘さんにとっては幸せな思い出で、きっと永遠のヒーローなのでしょう。

クーパーが「摩天楼」で共演したパトリシア・ニールとよい仲になった、という有名な話を以前書きました。
正義の人、良き家庭人というイメージだったクーパーだけに、当時はかっこうのネタになったそうです。
結局家を出ていた期間は6年に及んで、その後戻りました。
娘に不安を与えたくないというお母さんの努力の甲斐か子供の防衛本能か、娘さんはその頃特に不安をおぼえなかったと答えているようです。
後にP.ニールは作家のロアルド・ダールと結婚して5人の子供にも恵まれましたが、1983年に離婚。
おそらくその直後だと思います、クーパー母子からP.ニールに連絡をとり、ある晩一緒にテーブルをかこんで和解したと後から読みました。

「あいつと私」が作られたのと同じ1961年、G.クーパーは60歳で亡くなっています。
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