Men's wear      plat du jour

今日の気分と予定に、何を合わせますか。 時間があれば何か聴きましょう。

冬の夢

2015-12-24 |  その他
パネットーネが届く季節になりました。
クリスマスがどうとか思いませんが、世界がこんなだから、流れてくるジョン・レノンの歌声もいつもの年とは違って聞こえます。

忘年会シーズン真っ只中。
昨年の今頃は風邪が長引いて二次会まで行った記憶がありませんが、今年はどうやら乗り切れそうです。
冬至を迎えようやく冬らしい気候になってきましたが、今のところ暖冬傾向という予報は当たっています。
4カ月ほど遡った8月も、やはりヘンな天気でした。
前半の危険なくらいの陽気が一転、盆明けから日照時間が極端に減りました。

しかし、まだ暑くてたまらないと言っていた最中のこと、真冬のコートが次々到着します。
クロンビー他スコットランド各地のツィード、キャメルヘアー、アルパカ、ブリティッシュ・ウォームのような厚地の毛織物。色も様々な茶、モスグリーン、ミックス感のあるグレー、収穫期の麦畑を思わせるようなハーベストカラーなど視覚的にも暖かさが伝わってくるものばかりですが、持ち重りのする素材は真夏日に触るとさすがに体が拒否反応を示しました。



20~30代の頃、年配の方々(一般の)から「コートの重いのはかなわないね」としばしば聞かされました。
確かに体力が衰えてきたら、軽いに越したことはないだろうと思います。
目上の方々の経験談をないがしろにするわけじゃありませんが、遅れて来た反抗期のように、結果的には逆らった方へ向かってしまいました。

ツィードと言っても都市生活に合うような軽量なのを着て、深夜のホームで冷たい風に吹かれ、繊維の隙間にたまった暖気を根こそぎ奪われると、「あれ、意外に寒い」なんてことがあります。
多くの防寒着の理屈と同様その空間こそが保温機能の要でもありますが、厚みがないとせっかく体温で温めた空気は押し流されてしまいます。
そんな時はツィードでも目の詰んだタイプなら強い味方になってくれますが、外から見ると重そうに見えないのに風にも十分対応可能なものを作ろうと思いました。
当然、風を遮断するような裏地、ついでに薄い中綿もまわして寒がりな人でも大丈夫なように.....なんて考えるわけです。
夏に届いた中にそのとうりの品があって、誰でも皆んな同じこと考えるのね、なんて知らず知らず頬が緩みました。
フィッツジェラルドやトム・ウェイツじゃありませんが、きっとミネソタの冬にも着られるようにと作られたものです。

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品質はただ一つ

2015-12-14 |  その他
たいへんご無沙汰しております間に、一年が過ぎてしまいました。
前回の話、といってもその一年前にアップしたものですが、その話題のせいか春先によく「キスマークつけて歩いてるんですか?」とからかわれていました。
「違いますよ、帯状疱疹のあと」
「タイジョーホーシン?」
なんて会話をしていたのも、既に懐かしいです。

さて一年が過ぎようとするこの年末、その間の空白をうめようと世間で一番遅いこの時期に、恒例の昨年のベスト・ホニャララを並べてみたいと思います。
まずは買い物.......買ったのは一昨年の末だったかもしれませんが、昨年の1~3月と12月以降着ていた三枚重ねの晒で作られたパジャマというのがあります。衿が小さいとか、下に窓がないとか不都合な点もありますが、ほんのり暖かく、柔らかい肌触りがクセになります。

では仏像部門は.......奈良県葛城市にある當麻寺の四天王像でした。
なんでも大陸から渡って来た像だそうで、力強い容貌に魅了されます。

それでは女性のカジュアル部門は......テイラー・スウィフトですね~。
今後はご本人の趣味もどんどん変わりそうですが。

三月ある日のこと、その男性部門の首位をずっと占める白井さんの喜寿を祝う会がありました。
皆さんの軽妙なトークで盛り上がって、最後「ピッティに行っている頃から、ずっと一番は白井さん、二番がバルベラ」という岩元さんの言葉でお開きとなりました。

久しぶりなので、何かそれらしい事を書かねばと思いますが.......
本日のタイトルは洋服屋さんの言葉ではありません。シャンパーニュ生産者の言葉だそうで「品質はただ一つ、最高級だけ」と続きます。
きっと自社製品に対する自負なのでしょう。

TEDといってもHなことを言ったりする縫いぐるみではなく、MITでのイベントの方ですが、その中に、トイレで手を拭く際ペーパーの使用量を最小限に抑え森林資源を守る為、手を洗った後よく水分を飛ばしましょうと身振り手振りでスピーチし、喝采を浴びていた人がいました。
ハンカチを持てばいいのではと思いますが、裏を返せばアメリカでも持たない人が多いということでしょうか。

今日、素材と作りに拘って男性の持つ白麻のハンカチを探そうと思うとそれなりの値ですが、ロンドンでなら1ダースで150GBPくらいか。だいたいにして1ダースで売っているのをさがすのが難しいですが、一片18インチ以上なんて大きさにも拘ってしまうと更にハードルが高くなります。
もちろん枚数に関しては3枚組のを複数買っても同じことですが、気分の問題なんですね。

というわけで中々思いどおりの品が見つからないから、いっその事ハンカチを持たないでテイラー嬢のようにshakeして飛ばして乾かす.....わけではないでしょうが、ホーズ同様、着こなしに拘る方なら等閑に出来ません。
私も仕事柄といいますか趣味といいますか、一生もつくらい蓄えてますが、ホーズと違って放っておいてもゴムの劣化を気にする必要がないのが良いところです。


画像のような素材から手まつりまで全てアイルランドという製品の他、スイスで織った後わざわざ手刺繍で知られるマデイラ島でヘムをまつったものなども豊かな感じがします。


イタリアではリネン専門店はもちろん、シャツの仕立屋さんにもたいてい置いてあり、言うと奥や下の方からゴソゴソ出して来ます。箱自体はいかにも忘れ去られていた在庫という感じで埃っぽくても、それこそ大ぶりなサイズと手仕事の時代の品かもしれません。

洗って気持ち良く乾いたところへ霧を吹き、アイロンでのばした時のキッパリと清々しい質感は、何ということもないアイテムではありますが、これもまた最高級と言って差し支えないものです。

一年振りで、何かへんですね。
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