下記記事は、「晴耕雨読 in 神鍋高原」では、経営の本棚のジャンルに入れていますが、このブログでは、「ものづくり・工場改善 地元企業編」という別のジャンルに入れています。
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ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」
第280回記事(2016年3月14日(月)配信)・・・・・毎週月曜日配信予定
ものづくり・工場改善 (9) 「マックアース」 一ノ本達己
~異色のスキー場再生人~
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今回は、タイトルに「本棚」という言葉が入っていますが、「テレビ番組」からの企業・経営者の紹介です。
紹介するのは、TV東京をキー局として放送されている経済番組の日経スペシャル「カンブリア宮殿」(司会は作家の村上龍さんと女優の小池栄子さん)に2016年2月25日(木)に出演された
株式会社マックアース 代表取締役CEO 一ノ本達己さん
です。番組のタイトルは
「斜陽産業にチャンスあり!異色のスキー場再生請負人」
です。このカンブリア宮殿は2006年からの放送ですから今年で約10年、約500社の企業の経営者の方が出演されていますが、
初めての生粋の「但馬人」・「但馬企業」の登場
です。一ノ本さんの育たれたのは兵庫県の北部の但馬地方にある鉢伏高原スキー場です。私の生まれはその近くにある奥神鍋スキー場です。大変近くのスキー場の出身者ということで、TVの予告編を見たときから放送までの1週間、私は一ノ本さんの番組登場を心待ちにしていました。
◆プロソーグ(出会い)◆
株式会社マックアース。
私がその会社名を聞いたのは、数年前のお盆の前の墓掃除の時だったと確かに記憶しています。神鍋高原でスキーの民宿を営み、スキー指導員の資格を持っていた叔父さんから、「鉢伏高原スキー場で大変業績を伸ばしている会社がある。」とのことでした。長い間、スキー関連産業の栄枯盛衰を見てきて、現在の斜陽産業化したスキー関連産業でそんな会社があるのかとびっくりした記憶があります。
私の2回目のマックアースさんとの出会いは、2015年10月3日の但馬産業フェアの会場でした。展示会のブースで見せていただいた会社案内から、日本全国に散らばった事業所の数にびっくりしました。その数96箇所。また、奥神鍋スキー場(山田区)の周辺にもマックアースさんの事業所が多数できており(神鍋高原カントリークラブ(東河内区、北隣りの区)ブルーリッジホテル(栗栖野区、東隣りの区)、万場スキー場(万場区、南隣りの区))、私の実家は既に包囲されているように思ってしまいました。
会場でその時にいただいた会社案内の一部です。
会社案内表紙
代表挨拶・企業理念
(一ノ本さんの顔写真も小さいですが載っています)
会社概要・会社沿革
スキーリゾート展開
(北は北海道から南は四国まで、多くの事業所があります。)
「カンブリア宮殿」でのマックアースさんの紹介は、私にとっての3回目の出会いです。中小企業診断士の資格を持ち、会社経営に関心のある私としては、どのようにして斜陽産業であるスキー関連産業で業績を伸ばしておられるのか知りたいと思っていた中での、願ってもない放送となりました。
◆メインローグ(番組の中身の紹介)◆
株式会社マックアースさんは、スノーリゾート事業や旅館業等を行う会社で、
会社設立は2008年、(ただし、それ以前から旅館業等をされていた)
この8年間で急成長されて売り上げは約160億円になります。
マックアースさんの一ノ本さんの実践されている(スキー場)再生術は2点あり、
そこにしかない役割を与える
変化を恐れず新たな景色をつくる
です。
「そこにしかない役割を与える」の事例は、北海道小樽市のスノークルーズオーンズスキー場が挙げられました。近隣に多数有名・有力なスキー場がある中で、フィットネスクラブ的役割を与える事で(具体的にはシーズン券の価格を3分の1にした)、需要を掘り起こされています。
「変化を恐れず新たな景色をつくる」の事例としては、岐阜県郡上市のダイナランドスキー場が挙げられました。スキー場の景色はこの20年間変わっていないとのことですが、夜間のLEDのイルミネーションがなされ、とっても幻想的なスキー場にかわりました。若い人がとっても来やすい雰囲気になっています。
素晴らしいですね。
これらの再生術の原点にあるものはと考えると、番組の冒頭近くに出てきた、次の言葉に集約される思います。
スキー関連産業はサービス産業である
◆エピローグ(番組を終わって)◆
私が番組を見て感じた点をまとめると、2点に集約されます。それは、スキー関連産業をサービス産業ととらえるなら、サービス産業としての(それは経営では共通のことでもあるのですが)基本に忠実ということです。具体的には、
1点目が、「ドラッガーの顧客の創造そのもの」、
2点目が「近江商人の三方よしの世界の実践」
です。
まず、「ドラッガーの顧客の創造そのもの」ですが、スキー人口が減少して斜陽化したスキー関連産業を嘆いてみても仕方がない。むしろ、どんな需要が掘り起こせたり、新たに創造できるか考えて、そのターゲット市場に向かった企画・宣伝をされています。その点で、基本に大変充実です。
また、「近江商人の三方よしの世界の実践」ですが、自社と顧客(スキー客)とスキー場のある地元の3者が上手くいくようにされています。スキー場が無くなれば、地元は打撃を受け、ますます寂れますから。企業は利益を追求するものですが、むしろより企業経営の基本となる部分をしっかり認識されて経営をされています。
これらの基本に忠実な経営術をどこで身につけられたのだろうと想像していた時、経歴の中に思い当たるものがありました。(私の想像ですが。)
「経営学部出身」
◆モノローグ(私の独り言)◆(想像して書いている部分があります)
スキー関連産業は斜陽産業ですかと問われれば、「YES」と答えるしかないだろう。
私も、同じ兵庫県の神鍋高原で、約55年間スキー関連産業を見てきたから。
確かにスキーブームは過去のものになっている。
株式会社マックアースの本社のある兵庫県養父市丹戸(鉢伏高原スキー場)は中山間地域ですかと問われれば、「YES」と答えるしかないだろう。
私の生まれた神鍋高原も、同じ中山間地域だから。
むしろ、中山間地域というより、「ド田舎」(大変な田舎)と言う方が正しいだろう。
しかし、ド田舎のスキー関連産業から出発して、株式会社マックアースは約160億円もの売り上げを挙げている。
ド田舎と言われるような土地で生まれた会社が、約160億の売り上げとなるまでには、多くの壁があったと想像される。
たとえば、
冬の1シーズン営業から、夏を含む多シーズン営業へ、
家族とアルバイトで運営する家業から、社員を雇う必要のある企業へ、
経営者の目が届くワンロケーション企業から、目が届きにくいマルチロケーション企業へ
一ノ本さんは色々な壁を破ってこられたからこそ、今のマックアースがあり、世界をめざすマックアースがあるのだと思う。
顧客の創造 × 三方よし = マックアース
これからの更なるマックアースさんの発展を祈念したい。
井上三右衛門
PS
長年赤字だった長崎のハウステンボスを見事に再生されたHISの沢田会長の言葉に次のような趣旨の発言があります。
売り上げを2割アップし、経費を2割下げれば、再生できない案件は無い。
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