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ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」
第453回(2022年3月21日(月)配信)・・・・・毎月第1第3月曜日配信予定
ものづくり・工場改善 会社編⑫ 但馬ちりめん 丸源太田
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はじめに
今回の但馬のものづくり企業の訪問は、豊岡市但東町の丸源太田の太田源一様を訪問しました。
おじい様が丹後地方で丹後ちりめん(縮緬)の製造技術を取得され、但馬でちりめん製造を始められました。
源一様は7年前に但馬に帰ってこられて、家業である但馬ちりめんの製造を継承されています。
ちりめんとは何?という方もおられと思いますので、説明をしますと、絹で織られた織物で緯糸(よこいと)に回転(捩じり)をかけたものを使うことで織物の表面にシボ(凸凹)が出たものです。
品のある光沢と独特の風合いと手触り感があります。まさに芸術品です!
(これは家内が持っているちりめんの写真です。
左は白生地で、右は白生地上に染色が施されています。
どちらにもシボ(凸凹)がきれいに出ています。)
このシボ(凸凹)は下記のように、
まず、右回転の緯糸(よこいと)を2本、それから、左回転の緯糸(よこいと)を2本
順番に入れていくことで出来ています。
製織の工程
今回の訪問では、4000本の経糸(たていと)と回転をかけた緯糸(よこいと)で織る
「製織」の工程を見学させていただきました。
①経糸(たていと)が入荷
中央のビームというドラム缶のようなもの👆 に、経糸(たていと)が巻かれた状態で入荷します。
②経糸(たていと)を引き出す
ビーム(陰に隠れていますが)から適切なテンションをかけて経糸(たていと)4000本を引き出します。
③糸羽(いとば)
縦方向の糸羽👇 で、
4000本の経糸👆 をわずかに上げたりそのままだったりコントロールします。
④経糸(たていと)を上げるコントロール
糸羽(いとば)の上にはこんな大きな機械👇 があり
経糸を上げるかどうかのコントロールはパターン紙👆 でされます。
パターン紙には下の写真のように穴が開いていて👇 上げるコントロールがされます。
⑤緯糸(よこいと)を通す(別の織機になります)
上がっている経糸(たていと)群と上がっていない経糸(たていと)群の間に
シャトルを使い緯糸(よこいと)を通します。
シャトルは動きがとても素早くてなかなか見えません。
真っ白い部分👆 が織りあがった部分
今、手に持っておられるのがシャトルです。2か所を右に行ったり左に行ったりして
往復するので、シャトルバスの語源にもなっています。
⑥出来上がったちりめん
綺麗にシボ(凸凹)が出来ています。
おわりに
シボ(凸凹)できたからこれで終わりというわけではありません。
この後、精錬というお湯に付ける作業をして、縮ませ、
よりシボがはっきり出るようにされて出来上がりです。
訪問し、見学させていただいて、つくづく思うことは、
縮緬の製造工程は実に複雑で工程数が多く、たいへんな仕事です。
技術的にも難しく繊細な工程がいくつもあるようです。
しかし、過去の色々なノウハウが詰まったその結果、
今の芸術的な但馬ちりめんが出来上がっていることを実感できました。
井上直久
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ご紹介
高級絹織物 ちりめん 製造販売 丸源太田 さんの連絡先等
住所 :兵庫県豊岡市但東町中山764-1
電話 :0796-56-0038
FAX :上記に同じ
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2024年5月6日神戸新聞電子版の但馬地域のページに、
<たじまの音めぐり>(3)で丸源太田様が織機の音で登場されています。
懐かしいなという思いで見させて・聞かせていただきました。
よろしければごらんください。
<たじまの音めぐり>(3)但馬ちりめん織機 重厚な機械、リズムは軽快|但馬|神戸新聞NEXT (kobe-np.co.jp)
ご参考
(どの工程も専門的で説明が難しいです)
製織までの経糸(たていと)の製造工程
①原料(生糸) ②ソーキング(下漬け) ③乾燥 ④糸繰り ⑤ワクたて ⑥整経、巻き取り ⑦経継ぎ ⑧機掛け
製織までの緯糸(よこいと)の製造工程
①原料(生糸) ②糸繰り ③合糸7本、合糸3本 ④緯煮(むきたき) ⑤下管巻き ⑥8丁撚糸(この工程で緯糸にスピンをかける) ⑦3本の下撚り済み揚げ返し ⑧カベ撚り用合糸 ⑨イタリー撚糸(カベ撚り) ⑩カベ撚り揚げ返し ⑪上撚り ⑫上管巻き(うえくだまき)
製織以降の工程
①検反 ②精錬 ③幅出し ④検査 ⑤白生地出荷 ⑥染め
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