はじめてのマンドリン

ある日突然、マンドリンの音色に恋をした
初めて手にした時から、ささかやかな感動を綴っています

本「利休にたずねよ」

2009-09-29 21:13:06 | 本・映画・ドラマ
山本兼一さんの「利休にたずねよ」を読みました。

ん~、とてもとても感動的だった。
読み終えたばかりの今の気持ちを、うまく表現できない。

千利休という人、私は、歴史の授業で習った程度にしか知らなかった。
この物語が、どれくらい真実を書いているのかはわからないけれど、
哀しい人生だとも思えるし、いい人生だとも思えるし・・・
ただ、無念だっただろうなと、その気持ちを想像すると、
哀しい気がする。
それで、少し涙した。

切腹しなければなからなかったことを、ではない。
まだ少年とも思える頃に、恋をし、その恋心を茶の湯の原動力(?)とし、
一生を終えたことに対し、である。

繊細であり、ずば抜けた美的感覚と、鑑識眼を持ち、
鋭さと、参謀としての才能もあり・・・という利休だけれど、
もうこの世にはいない人への秘めた恋心が根底にあり、
生に執着していないようにも思える生き方は、私にはかなり魅力的な男性に
思えてしまった。
とっても艶っぽさも感じられたし。

物語は、とても風情のある文章で綴られていて、
まるで、目の前に利休がいるかのような映像が浮かぶような小説だったので、
当時に思いを馳せ、
利休が作った茶室で、現存する唯一のと言われている、待庵(国宝)を見に、
この秋、できれば、訪れてみたいと強く思っている。
往復葉書での申し込みが必要で、指定された日時に行かなければ見ることは
できないらしいし、高校生以下お断りという、敷居の高さであるが、
なんとしても、訪れたくなってしまうような、読後感である。

物語の構成は、利休切腹の朝に始まり、前日、数日前、〇年前と遡っていき、
切腹の当日で終わる。
読み終えたあと、また最初に戻って、少し読み返した。
何度でも、読み返したくなる本・・・だと思った。

何がこんなにも、私の心を惹きつけるのかはわからないけれど、
今の瞬間、私は、利休に恋しているのかもしれない。
コメント
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