イワシの塩焼き ～節分に食べ損ねた人に鰯をお薦めする～

節分の魔除けとして、ヒイラギの小枝に焼いた鰯の頭を刺したものを、玄関の軒先に掲げておくというのがある。鬼はイワシを焼く臭気と煙を嫌って近寄らないし、もし来たとしてもヒイラギの葉にある棘が、鬼の目を刺すので玄関からはいって来れずという都合の良い解釈の言い伝えに習い、これまでは家々からイワシを焼く香りがもれていた。





このような言い伝えには先人の知恵も詰まっており、この時期に身体が必要としている成分が鰯に含まれているケースが多い。成長期の子供たちには骨の発育を促し、中高年に必要な骨粗鬆症を防ぐカルシウムと吸収を助けるビタミンＤの双方が含まれている。今年は節分に鰯をスルーしたが、ワシが普通に食べたくなってきたのは野生の勘とでも言っておこう。



活きの良い鰯に振り塩をして暫く放置、余分な水分と汚れをキッチンペーパーで奇麗に拭い去り、新たに塩をしてこんがり焼いて戴く。そんなことで季節に摂るべき栄養素が得られ、いま食べたくなったのなら食べるしかないだろう。四方を海に囲まれた日本で豊富に獲れる鰯は、日本人が必要な栄養素の一部を形成してきたに違いない。いま改めてこの時季の「イワシの塩焼き」は、食べておくことをお薦めする。

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