1月の読書メーター
読んだ本の数:31
読んだページ数:11187
ナイス数:3559
あきない世傳 金と銀(十三) 大海篇 (ハルキ文庫 た 19-28)の感想
幸の頑張りと商いへの思いは一貫してぶれなかった。呉服商いへの復帰、吉原の衣装比べ、日本橋呉服町の新店開業と順風満帆かと思いきや五鈴屋を襲う大きな嵐。失うものは大きく振りだしに戻るのか、惣ぼんの企みは何かと最終巻の残り頁の少なさにハラハラドキドキ。6年半の間五鈴屋の繁盛を見守らせて頂き、読書の醍醐味を味わうことが出来た!巻末にモデルを明かされ納得、特別巻の刊行が待ち遠しい。年明けの1冊。
読了日:01月01日 著者:高田 郁
海が見える家 旅立ち (小学館文庫 は 3-4)の感想
父が遺した海の見える家で別荘管理の仕事で生計を立て、農業を学び始めた文哉。台風に続きコロナが蔓延、農業の師匠・幸吉の死に思いを馳せ気持ちの晴れない日々が。姉の登場に不穏な気配も。心配する和海の勧めで旅に出た文哉が見つけた新しい暮らしの行方。「もっと、田舎へ」文哉の旅立ちで物語は終わりだが、山での暮らしを新シリーズで読んでみたい。
読了日:01月01日 著者:はらだ みずき
バッド・コップ・スクワッドの感想
埼玉県警の5人の刑事のとんでもない1日。いったい何人が死んだのか?パーキングビルの人質立て籠りから面白さが一気に増す。菊島の交渉の巧みさ、犯人をどう出し抜くのか、一気読み。しかし駅伝観ながらのながら読書では集中力が切れる😅
読了日:01月02日 著者:木内 一裕
晩秋行の感想
中目黒で小さな居酒屋を営む円堂は、バブルの頃二見興産で地上げに関わる仕事をしていた。30年前にフェラーリカリフォルニアスパイダー(旧車)に乗り二見と共に姿を消した恋人・君香への思いを抱えたまま。ある日カリフォルニアスパイダーを運転する女性を見たという情報で動き始めた円堂の前に現れる胡乱な面々。君香を探す円堂と旧車を狙う闇の勢力。モテ男円堂の男のロマン、大沢さんらしい1冊、
読了日:01月03日 著者:大沢 在昌
地図と拳の感想
満州の架空の町李家鎮(仙桃城)を舞台にした群像劇。日露戦争前夜から第二次世界大戦までの半世紀、日本からの密偵とその通訳、ロシアから鉄道網拡大のために派遣された神父クラスニコフ、叔父に騙され不毛の土地に来た孫悟空。中国国内の八路軍と共産党そして匪賊、日本国内の反戦運動家、隙を狙うソ連。架空の町の誕生と終焉を描いた大河小説。第168回直木賞受賞作。
読了日:01月05日 著者:小川 哲
ダ・ヴィンチ 2023年1月号の感想
BOOK OF THE YEAR 2022小説ランキングは50冊中既読は24冊。読みたい本に登録済みが3冊。ちょっと興味を持った作品が数冊。
読了日:01月05日 著者:
見つけたいのは、光。の感想
妊娠したことで雇い止めになりワンオペ育児に疲弊した亜希、妊婦や育児中の同僚に振り回されダメ夫に怒りを覚える茗子。1人のシングルマザーのブログに亜希は憧れ茗子は怒りをぶつける。ブログ主「ひかり」が失踪したことで3人の女性の人生が交錯する。前半の重苦しさと3人の出会いからの急展開。子育てに苦労する人、子供がいないがゆえに苦い思いをする人にも共感や応援の気持ちで読んだ。茗子が夫に逆襲する場面にスッキリ!もっと子育てしやすい社会になれば良い。
読了日:01月07日 著者:飛鳥井 千砂
踏切の幽霊の感想
久しぶりの高野和明さん!小田急線・下北沢の踏切で撮影された1枚の心霊写真。その踏切では深夜の非常停止が相次いでいた。妻を亡くした喪失感から立ち直れない雑誌記者の松田は「心霊ネタ」の取材に乗り出し、たどり着いた真実。作り笑顔しか作れなかった髪の長い女の悲しい人生、記事に出来ない事実に秘められたこと。とても切ないが、読みやすい文章に引き込まれ一気に読了。
読了日:01月11日 著者:高野 和明
連弾 (中公文庫 さ 83-1)の感想
都内の小さな公園で見つかった他殺遺体。遺留品に人気音楽家・篁奏のコンサートチケットが。捜査にあたる音喜多弦(音楽とは無縁)と鳴海桜子(音楽隊志望で風変わり)のコンビ。殺された男をたどることと、篁の来歴を調べて明らかになったこと。ひたすら愛を求め、罪を重ねた男の狂気。面白かったです!お薦め。
読了日:01月12日 著者:佐藤 青南
樹林の罠の感想
やはり道警シリーズは面白い!ひき逃げかと思われた事故は拉致・暴行された後にはねられた事件。駅前交番で保護された9歳の女児。住宅街にある弁護士事務所荒らしを調べる佐伯。一見関係のない事案が道警大通り署のいつものメンバーたちの活躍でピタリとピースが填まるように解決へ。
読了日:01月12日 著者:佐々木 譲
罪の境界の感想
渋谷のスクランブル交差点で起こった無差別殺傷事件。犠牲になった飯山、飯山に命を救われた明香里、事件を起こした小野寺。虐待の連鎖、明香里の身に起きた事件後の後遺症。重苦しく辛いストーリーだが、飯山の最後の言葉を伝えるために真剣に向き合う明香里パートと、小野寺の来し方を追うライターの溝口のパートで交互に語られ、法廷で明香里が小野寺と対峙する場面は心に迫るものだった。読み応えある1冊、お薦め本!
読了日:01月13日 著者:薬丸 岳
金木犀とメテオラの感想
北海道に新設された中高一貫校築山学園。成績優秀な2人の少女、東京からトップの成績で入学した宮田佳乃と地元から入学した美少女・奥沢叶。互いに家庭に問題を抱え、友達には言えない秘密を持つ。ライバルへの嫉妬、自分の将来への不安、思春期の少女たちの成長が眩しい。
読了日:01月13日 著者:安壇 美緒
北緯43度のコールドケースの感想
江戸川乱歩賞受賞作。博士号を持つ沢村依理子は30歳を過ぎてから北海道警に入る。5年前に誘拐された女児・島崎陽菜が遺体で発見されるが犯人と思われた男は既に死亡している。5年間陽菜を隠して居たものは誰なのか?共犯は居たのか?異色の女性刑事が挑む一連の事件の真相は思ってもみないものだった。伏尾美紀さん初読み。
読了日:01月14日 著者:伏尾 美紀
裏切りのギフトの感想
30年前に中国政府によって作り出されたデザイナーベビー。IQ180以上のギフテッドの彼らはスパイとして各国に送り込まれた。しかし中国政府の方針転換で彼らは命を奪われ闇に葬られようとしたが、追っ手から逃れ「ギフト」と名乗ったメンバーが日本へ亡命を望んだ。米国との合同作戦でギフトを追うことになった警視庁SATの伊吹警部。ギフトを狙う中国政府、ギフトに紛れ込む謎の組織、人質になったもの。スリリングな展開で一気読み。面白く無いわけではないが何となくモヤモヤした読後感。
読了日:01月15日 著者:穂波 了
スティグマータの感想
ドーピングで失墜したメネンコの突然の復帰で選手たちに動揺が走る。何があろうとチームのために走るチカの格好良さ!とっくに読了していると勘違いしていて今のタイミングで手にしたがやはりこの疾走感は素晴らしい。
読了日:01月16日 著者:近藤 史恵
月の立つ林で (一般書)の感想
病院を辞めた元看護師、夢を諦められない芸人、娘が遠方に嫁ぎ寂しさを抱えるバイクショップの店主、早く親元から離れて自立したい女子高生、仕事は順調だが家族と上手くいかないアクセサリー作家。彼らに共通するのはタケトリ・オキナと言う男性のポットキャスト「ツキない話」。月に関する語りに心を寄せながら彼らの毎日が紡がれて行く。最後の仕掛けにジワッと涙、とても良かった!お薦め本!
読了日:01月17日 著者:青山美智子
妖の絆の感想
紅鈴と欣治の出会い編。妖シリーズのエピソードゼロ。人の生き血を吸う闇神の紅鈴と執拗に紅鈴を追う百地一族。紅鈴の正体を知り、自ら鬼になることを望んだ欣治。これからたった2人で闇のなかを生きる。2人のこの先の物語をもっと読みたい!吉平さん…!
読了日:01月18日 著者:誉田 哲也
棘の家の感想
小6の娘がイジメを苦に校舎から飛び降り自殺を計った。中学教師の父は被害者の父になり、イジメた子に復讐を誓う妻と共に学校と闘おうとする。ネットでイジメた女児の名前が曝され世間の非難を浴び、何者かにより殺害されてしまう。容疑者として中2の息子が取り調べを受け、一転して穂刈家が批判を浴びることに。被害者なのか加害者なのか?崩壊寸前のこの家族はこの先どうなるのか?重いテーマで読むのが辛かったが、真犯人は短絡的だ。
読了日:01月19日 著者:中山 七里
はぐれ鴉の感想
赤神諒さん、初読み。竹田藩城代の次男・次郎丸は一族郎党24人鏖殺から逃げ延び、惨殺の下手人である叔父・玉田巧左衛門を討つため江戸で剣の腕を磨き名を山川才次郎と変え14年後藩の剣術指南役として竹田に戻る。敵として狙う玉田巧左衛門は藩士や民から尊敬され、才次郎が思っていたのとは全く違う男だった。竹田藩に隠された大きな謎、「はぐれ鴉」と呼ばれる巧左衛門の魅力。読みやすく面白い時代もの。
読了日:01月21日 著者:赤神 諒
誤ちの絆 警視庁総合支援課 (講談社文庫)の感想
新生支援課が発足。加害者家族の支援も対象とすることで新しく異動した柿谷晶。この女性、とにかく突っ走る…。苦手なタイプだなあと思いながらも読みやすさで一気に読了。村野さんは第一線からは外れたけど、新しい支援課のメンバーの支えになっていて
良かった。
読了日:01月22日 著者:堂場 瞬一
黄金の刻 小説 服部金太郎の感想
SEIKO創業者・服部金太郎の一代記。15歳で洋品問屋「辻屋」の丁稚となり、主人・粂吉に商人としての資質を高く評価される。高価ゆえに持つ人の限られる『時計』に目をつけ、いずれは時計商にとの熱い想いを抱く。金太郎が世界に名を馳せるSEIKOの創業者になるまでの物語は、飽くなき努力と先を見る目、金太郎本人の人物に惚れた人々。吉川鶴彦との友情の物語でもあった。
読了日:01月23日 著者:楡 周平
紙屋ふじさき記念館 結のアルバム (角川文庫)の感想
百花の大学生活最終学年はコロナ禍で始まった。授業や就活、小冊子研究会の活動も先の見えない状況での苦しみが伝わってきて切なくなった。そんな中で工夫を凝らし、卒論に取り組み、サークルの仲間と本を作る姿に感動。藤崎の記念館も川越で再建!藤崎の社員になった百花の活躍を早く読みたい。
読了日:01月24日 著者:ほしお さなえ
あんの明日 お勝手のあん (ハルキ文庫 し 4-9)の感想
想う人とは添いとげることが出来ない。互いに心を引かれながら、別々の路を行くことを選んだおやす。若女将と相模屋の女郎・桔梗の秘密に心を痛めたり、そんな中で新しい料理を工夫し、紅屋の新たな名物に。苦手なももんじ料理に挑戦し、まかないで店の人たちに喜ばれたり。時代が大きく動く品川でおやすがどんな料理人になって行くのか、次巻が待ち遠しくてたまらない。
読了日:01月25日 著者:柴田 よしき
警察医のコードの感想
NY帰りの法医学者・幕旗治郎は偏屈で他人に心を開かない。神奈川県警と警察医契約を結び、横浜の地で真実を明らかにするため解剖に取り組む。県警ジェンダー班の村木警部は幕旗の元義妹、個性豊かな班のメンバー、幕旗の部下の小池、キャラの濃い人物が多めで面白く読んだ。警察医のコードは、全部明かしていないので、続編がありそう。
読了日:01月26日 著者:直島 翔
人格者 (中公文庫 さ 83-2)の感想
音喜多・鳴海のコンビに再び出会えた!殺人放火事件が発生、被害者は著名なヴァイオリニスト。誰からも尊敬され「人格者」と言われる男性は、なぜ殺害されたのか?謎の脅迫電話をかけてきた人物が同様の手口で殺害される事件も発生、しかし第二の事件は別の犯人だった。誰からも愛された彼の隠されていた本性は想像していた通りだったが、真犯人を早々に見抜いていた鳴海の眼力は流石!鳴海の過去や出自も明かされ、続編が楽しみに!
読了日:01月27日 著者:佐藤 青南
天龍院亜希子の日記の感想
タイトルの天龍院亜希子はこの物語のヒロインではない。27歳の人材派遣会社で働く田町譲がブラックな日常生活の中で心の支えにしていたのが薬物中毒で墜ちた元プロ野球選手のマサオカと小学生の時の同級生天龍院亜希子のブログ。遠距離恋愛中の彼女がいるのに同僚と寝てしまったり、27歳男子の生態には理解し難い部分はあれど今の時代が抱える問題をさりげなく描いていて面白く読んだ。
読了日:01月27日 著者:安壇 美緒
死神と天使の円舞曲の感想
久しぶりにレオとクロに会えた!今まさに自殺しようとする男を救ったクロ。なぜ彼が絶望から死を選ぼうとしたのか?ホスピスで命を終えようとする女性の未練を断ち切る手助けをしたレオ。大きな屋敷が放火され、幼い女の子が行方不明になり、協力して探索する2匹の前に立ちはだかる邪悪な敵の正体。絶体絶命のピンチを乗り越えた2匹の選んだ道に拍手。「おしゃしみ」と「しゅうくりいむ」をこれからも堪能して欲しい😉
読了日:01月28日 著者:知念 実希人
春いちばん(賀川豊彦の妻 ハルのはるかな旅路)の感想
全く存じ上げないご夫妻のことでした。キリスト教関係者ならば良く知られているのかな?貧しい家に生まれたハルは、印刷会社の女工として働いている23歳の時、路傍で伝道をする青年・賀川豊彦に出会い信仰の道へ。明治・大正から昭和の貧困に喘ぐ人々に救いの手を差しのべ支え続けた夫妻。玉岡さんのこの時代を描いた著作は読み応えがある。
読了日:01月29日 著者:玉岡 かおる
小説8050の感想
都内で歯科医院を営む大澤正樹。傍目には何の不自由もない人生を送っているように見えるが、大澤家には知られたくない秘密があった。名門進学校に通っていた長男の翔太が中2から7年間部屋に引きこもっている。長女が結婚を考え、「弟のせいで結婚出来ない」と言い出す。なぜ翔太は引きこもったのか?息子と向き合う決意をした父。息子の何を知っていたのか、妻の苦しみを理解していたのか。大きな代償を払った大澤家だが、ラストは前向きで明るい。良い弁護士に出会えたことで解決出来たのかな。林さん、流石の面白さ!
読了日:01月30日 著者:林 真理子
婚活食堂8 (PHP文芸文庫)の感想
めぐみ食堂は商売繁昌、訪れるお客さんが次々に幸せを。近所に二匹目のドジョウを狙う占い居酒屋がオープンし、タロット占い師は恵の若い頃の知人。今巻は父の再婚を後押しする大学生、コスプレイベント、痴漢冤罪と盛り沢山だが相変わらず美味しそうなものが満載。
読了日:01月31日 著者:山口恵以子
闘え! ミス・パーフェクトの感想
元エリート官僚、総理の隠し子の真波莉子、シリーズ第2弾。「わかりました。その問題、私が解決します」莉子の手にかかれば難題もスッキリと解決!限界自治体の村を再生、給食異物混入&流行らないキャバクラ立て直し、パワハラ監督に悩まされるバレーボールチーム、古巣の厚労省に降りかかる難題の解決。城島さんの体を張った警護と莉子が見せた可愛さ!次はどんな問題を解決してくれるか、楽しみ。
読了日:01月31日 著者:横関 大
読書メーター
読んだ本の数:31
読んだページ数:11187
ナイス数:3559
あきない世傳 金と銀(十三) 大海篇 (ハルキ文庫 た 19-28)の感想
幸の頑張りと商いへの思いは一貫してぶれなかった。呉服商いへの復帰、吉原の衣装比べ、日本橋呉服町の新店開業と順風満帆かと思いきや五鈴屋を襲う大きな嵐。失うものは大きく振りだしに戻るのか、惣ぼんの企みは何かと最終巻の残り頁の少なさにハラハラドキドキ。6年半の間五鈴屋の繁盛を見守らせて頂き、読書の醍醐味を味わうことが出来た!巻末にモデルを明かされ納得、特別巻の刊行が待ち遠しい。年明けの1冊。
読了日:01月01日 著者:高田 郁
海が見える家 旅立ち (小学館文庫 は 3-4)の感想
父が遺した海の見える家で別荘管理の仕事で生計を立て、農業を学び始めた文哉。台風に続きコロナが蔓延、農業の師匠・幸吉の死に思いを馳せ気持ちの晴れない日々が。姉の登場に不穏な気配も。心配する和海の勧めで旅に出た文哉が見つけた新しい暮らしの行方。「もっと、田舎へ」文哉の旅立ちで物語は終わりだが、山での暮らしを新シリーズで読んでみたい。
読了日:01月01日 著者:はらだ みずき
バッド・コップ・スクワッドの感想
埼玉県警の5人の刑事のとんでもない1日。いったい何人が死んだのか?パーキングビルの人質立て籠りから面白さが一気に増す。菊島の交渉の巧みさ、犯人をどう出し抜くのか、一気読み。しかし駅伝観ながらのながら読書では集中力が切れる😅
読了日:01月02日 著者:木内 一裕
晩秋行の感想
中目黒で小さな居酒屋を営む円堂は、バブルの頃二見興産で地上げに関わる仕事をしていた。30年前にフェラーリカリフォルニアスパイダー(旧車)に乗り二見と共に姿を消した恋人・君香への思いを抱えたまま。ある日カリフォルニアスパイダーを運転する女性を見たという情報で動き始めた円堂の前に現れる胡乱な面々。君香を探す円堂と旧車を狙う闇の勢力。モテ男円堂の男のロマン、大沢さんらしい1冊、
読了日:01月03日 著者:大沢 在昌
地図と拳の感想
満州の架空の町李家鎮(仙桃城)を舞台にした群像劇。日露戦争前夜から第二次世界大戦までの半世紀、日本からの密偵とその通訳、ロシアから鉄道網拡大のために派遣された神父クラスニコフ、叔父に騙され不毛の土地に来た孫悟空。中国国内の八路軍と共産党そして匪賊、日本国内の反戦運動家、隙を狙うソ連。架空の町の誕生と終焉を描いた大河小説。第168回直木賞受賞作。
読了日:01月05日 著者:小川 哲
ダ・ヴィンチ 2023年1月号の感想
BOOK OF THE YEAR 2022小説ランキングは50冊中既読は24冊。読みたい本に登録済みが3冊。ちょっと興味を持った作品が数冊。
読了日:01月05日 著者:
見つけたいのは、光。の感想
妊娠したことで雇い止めになりワンオペ育児に疲弊した亜希、妊婦や育児中の同僚に振り回されダメ夫に怒りを覚える茗子。1人のシングルマザーのブログに亜希は憧れ茗子は怒りをぶつける。ブログ主「ひかり」が失踪したことで3人の女性の人生が交錯する。前半の重苦しさと3人の出会いからの急展開。子育てに苦労する人、子供がいないがゆえに苦い思いをする人にも共感や応援の気持ちで読んだ。茗子が夫に逆襲する場面にスッキリ!もっと子育てしやすい社会になれば良い。
読了日:01月07日 著者:飛鳥井 千砂
踏切の幽霊の感想
久しぶりの高野和明さん!小田急線・下北沢の踏切で撮影された1枚の心霊写真。その踏切では深夜の非常停止が相次いでいた。妻を亡くした喪失感から立ち直れない雑誌記者の松田は「心霊ネタ」の取材に乗り出し、たどり着いた真実。作り笑顔しか作れなかった髪の長い女の悲しい人生、記事に出来ない事実に秘められたこと。とても切ないが、読みやすい文章に引き込まれ一気に読了。
読了日:01月11日 著者:高野 和明
連弾 (中公文庫 さ 83-1)の感想
都内の小さな公園で見つかった他殺遺体。遺留品に人気音楽家・篁奏のコンサートチケットが。捜査にあたる音喜多弦(音楽とは無縁)と鳴海桜子(音楽隊志望で風変わり)のコンビ。殺された男をたどることと、篁の来歴を調べて明らかになったこと。ひたすら愛を求め、罪を重ねた男の狂気。面白かったです!お薦め。
読了日:01月12日 著者:佐藤 青南
樹林の罠の感想
やはり道警シリーズは面白い!ひき逃げかと思われた事故は拉致・暴行された後にはねられた事件。駅前交番で保護された9歳の女児。住宅街にある弁護士事務所荒らしを調べる佐伯。一見関係のない事案が道警大通り署のいつものメンバーたちの活躍でピタリとピースが填まるように解決へ。
読了日:01月12日 著者:佐々木 譲
罪の境界の感想
渋谷のスクランブル交差点で起こった無差別殺傷事件。犠牲になった飯山、飯山に命を救われた明香里、事件を起こした小野寺。虐待の連鎖、明香里の身に起きた事件後の後遺症。重苦しく辛いストーリーだが、飯山の最後の言葉を伝えるために真剣に向き合う明香里パートと、小野寺の来し方を追うライターの溝口のパートで交互に語られ、法廷で明香里が小野寺と対峙する場面は心に迫るものだった。読み応えある1冊、お薦め本!
読了日:01月13日 著者:薬丸 岳
金木犀とメテオラの感想
北海道に新設された中高一貫校築山学園。成績優秀な2人の少女、東京からトップの成績で入学した宮田佳乃と地元から入学した美少女・奥沢叶。互いに家庭に問題を抱え、友達には言えない秘密を持つ。ライバルへの嫉妬、自分の将来への不安、思春期の少女たちの成長が眩しい。
読了日:01月13日 著者:安壇 美緒
北緯43度のコールドケースの感想
江戸川乱歩賞受賞作。博士号を持つ沢村依理子は30歳を過ぎてから北海道警に入る。5年前に誘拐された女児・島崎陽菜が遺体で発見されるが犯人と思われた男は既に死亡している。5年間陽菜を隠して居たものは誰なのか?共犯は居たのか?異色の女性刑事が挑む一連の事件の真相は思ってもみないものだった。伏尾美紀さん初読み。
読了日:01月14日 著者:伏尾 美紀
裏切りのギフトの感想
30年前に中国政府によって作り出されたデザイナーベビー。IQ180以上のギフテッドの彼らはスパイとして各国に送り込まれた。しかし中国政府の方針転換で彼らは命を奪われ闇に葬られようとしたが、追っ手から逃れ「ギフト」と名乗ったメンバーが日本へ亡命を望んだ。米国との合同作戦でギフトを追うことになった警視庁SATの伊吹警部。ギフトを狙う中国政府、ギフトに紛れ込む謎の組織、人質になったもの。スリリングな展開で一気読み。面白く無いわけではないが何となくモヤモヤした読後感。
読了日:01月15日 著者:穂波 了
スティグマータの感想
ドーピングで失墜したメネンコの突然の復帰で選手たちに動揺が走る。何があろうとチームのために走るチカの格好良さ!とっくに読了していると勘違いしていて今のタイミングで手にしたがやはりこの疾走感は素晴らしい。
読了日:01月16日 著者:近藤 史恵
月の立つ林で (一般書)の感想
病院を辞めた元看護師、夢を諦められない芸人、娘が遠方に嫁ぎ寂しさを抱えるバイクショップの店主、早く親元から離れて自立したい女子高生、仕事は順調だが家族と上手くいかないアクセサリー作家。彼らに共通するのはタケトリ・オキナと言う男性のポットキャスト「ツキない話」。月に関する語りに心を寄せながら彼らの毎日が紡がれて行く。最後の仕掛けにジワッと涙、とても良かった!お薦め本!
読了日:01月17日 著者:青山美智子
妖の絆の感想
紅鈴と欣治の出会い編。妖シリーズのエピソードゼロ。人の生き血を吸う闇神の紅鈴と執拗に紅鈴を追う百地一族。紅鈴の正体を知り、自ら鬼になることを望んだ欣治。これからたった2人で闇のなかを生きる。2人のこの先の物語をもっと読みたい!吉平さん…!
読了日:01月18日 著者:誉田 哲也
棘の家の感想
小6の娘がイジメを苦に校舎から飛び降り自殺を計った。中学教師の父は被害者の父になり、イジメた子に復讐を誓う妻と共に学校と闘おうとする。ネットでイジメた女児の名前が曝され世間の非難を浴び、何者かにより殺害されてしまう。容疑者として中2の息子が取り調べを受け、一転して穂刈家が批判を浴びることに。被害者なのか加害者なのか?崩壊寸前のこの家族はこの先どうなるのか?重いテーマで読むのが辛かったが、真犯人は短絡的だ。
読了日:01月19日 著者:中山 七里
はぐれ鴉の感想
赤神諒さん、初読み。竹田藩城代の次男・次郎丸は一族郎党24人鏖殺から逃げ延び、惨殺の下手人である叔父・玉田巧左衛門を討つため江戸で剣の腕を磨き名を山川才次郎と変え14年後藩の剣術指南役として竹田に戻る。敵として狙う玉田巧左衛門は藩士や民から尊敬され、才次郎が思っていたのとは全く違う男だった。竹田藩に隠された大きな謎、「はぐれ鴉」と呼ばれる巧左衛門の魅力。読みやすく面白い時代もの。
読了日:01月21日 著者:赤神 諒
誤ちの絆 警視庁総合支援課 (講談社文庫)の感想
新生支援課が発足。加害者家族の支援も対象とすることで新しく異動した柿谷晶。この女性、とにかく突っ走る…。苦手なタイプだなあと思いながらも読みやすさで一気に読了。村野さんは第一線からは外れたけど、新しい支援課のメンバーの支えになっていて
良かった。
読了日:01月22日 著者:堂場 瞬一
黄金の刻 小説 服部金太郎の感想
SEIKO創業者・服部金太郎の一代記。15歳で洋品問屋「辻屋」の丁稚となり、主人・粂吉に商人としての資質を高く評価される。高価ゆえに持つ人の限られる『時計』に目をつけ、いずれは時計商にとの熱い想いを抱く。金太郎が世界に名を馳せるSEIKOの創業者になるまでの物語は、飽くなき努力と先を見る目、金太郎本人の人物に惚れた人々。吉川鶴彦との友情の物語でもあった。
読了日:01月23日 著者:楡 周平
紙屋ふじさき記念館 結のアルバム (角川文庫)の感想
百花の大学生活最終学年はコロナ禍で始まった。授業や就活、小冊子研究会の活動も先の見えない状況での苦しみが伝わってきて切なくなった。そんな中で工夫を凝らし、卒論に取り組み、サークルの仲間と本を作る姿に感動。藤崎の記念館も川越で再建!藤崎の社員になった百花の活躍を早く読みたい。
読了日:01月24日 著者:ほしお さなえ
あんの明日 お勝手のあん (ハルキ文庫 し 4-9)の感想
想う人とは添いとげることが出来ない。互いに心を引かれながら、別々の路を行くことを選んだおやす。若女将と相模屋の女郎・桔梗の秘密に心を痛めたり、そんな中で新しい料理を工夫し、紅屋の新たな名物に。苦手なももんじ料理に挑戦し、まかないで店の人たちに喜ばれたり。時代が大きく動く品川でおやすがどんな料理人になって行くのか、次巻が待ち遠しくてたまらない。
読了日:01月25日 著者:柴田 よしき
警察医のコードの感想
NY帰りの法医学者・幕旗治郎は偏屈で他人に心を開かない。神奈川県警と警察医契約を結び、横浜の地で真実を明らかにするため解剖に取り組む。県警ジェンダー班の村木警部は幕旗の元義妹、個性豊かな班のメンバー、幕旗の部下の小池、キャラの濃い人物が多めで面白く読んだ。警察医のコードは、全部明かしていないので、続編がありそう。
読了日:01月26日 著者:直島 翔
人格者 (中公文庫 さ 83-2)の感想
音喜多・鳴海のコンビに再び出会えた!殺人放火事件が発生、被害者は著名なヴァイオリニスト。誰からも尊敬され「人格者」と言われる男性は、なぜ殺害されたのか?謎の脅迫電話をかけてきた人物が同様の手口で殺害される事件も発生、しかし第二の事件は別の犯人だった。誰からも愛された彼の隠されていた本性は想像していた通りだったが、真犯人を早々に見抜いていた鳴海の眼力は流石!鳴海の過去や出自も明かされ、続編が楽しみに!
読了日:01月27日 著者:佐藤 青南
天龍院亜希子の日記の感想
タイトルの天龍院亜希子はこの物語のヒロインではない。27歳の人材派遣会社で働く田町譲がブラックな日常生活の中で心の支えにしていたのが薬物中毒で墜ちた元プロ野球選手のマサオカと小学生の時の同級生天龍院亜希子のブログ。遠距離恋愛中の彼女がいるのに同僚と寝てしまったり、27歳男子の生態には理解し難い部分はあれど今の時代が抱える問題をさりげなく描いていて面白く読んだ。
読了日:01月27日 著者:安壇 美緒
死神と天使の円舞曲の感想
久しぶりにレオとクロに会えた!今まさに自殺しようとする男を救ったクロ。なぜ彼が絶望から死を選ぼうとしたのか?ホスピスで命を終えようとする女性の未練を断ち切る手助けをしたレオ。大きな屋敷が放火され、幼い女の子が行方不明になり、協力して探索する2匹の前に立ちはだかる邪悪な敵の正体。絶体絶命のピンチを乗り越えた2匹の選んだ道に拍手。「おしゃしみ」と「しゅうくりいむ」をこれからも堪能して欲しい😉
読了日:01月28日 著者:知念 実希人
春いちばん(賀川豊彦の妻 ハルのはるかな旅路)の感想
全く存じ上げないご夫妻のことでした。キリスト教関係者ならば良く知られているのかな?貧しい家に生まれたハルは、印刷会社の女工として働いている23歳の時、路傍で伝道をする青年・賀川豊彦に出会い信仰の道へ。明治・大正から昭和の貧困に喘ぐ人々に救いの手を差しのべ支え続けた夫妻。玉岡さんのこの時代を描いた著作は読み応えがある。
読了日:01月29日 著者:玉岡 かおる
小説8050の感想
都内で歯科医院を営む大澤正樹。傍目には何の不自由もない人生を送っているように見えるが、大澤家には知られたくない秘密があった。名門進学校に通っていた長男の翔太が中2から7年間部屋に引きこもっている。長女が結婚を考え、「弟のせいで結婚出来ない」と言い出す。なぜ翔太は引きこもったのか?息子と向き合う決意をした父。息子の何を知っていたのか、妻の苦しみを理解していたのか。大きな代償を払った大澤家だが、ラストは前向きで明るい。良い弁護士に出会えたことで解決出来たのかな。林さん、流石の面白さ!
読了日:01月30日 著者:林 真理子
婚活食堂8 (PHP文芸文庫)の感想
めぐみ食堂は商売繁昌、訪れるお客さんが次々に幸せを。近所に二匹目のドジョウを狙う占い居酒屋がオープンし、タロット占い師は恵の若い頃の知人。今巻は父の再婚を後押しする大学生、コスプレイベント、痴漢冤罪と盛り沢山だが相変わらず美味しそうなものが満載。
読了日:01月31日 著者:山口恵以子
闘え! ミス・パーフェクトの感想
元エリート官僚、総理の隠し子の真波莉子、シリーズ第2弾。「わかりました。その問題、私が解決します」莉子の手にかかれば難題もスッキリと解決!限界自治体の村を再生、給食異物混入&流行らないキャバクラ立て直し、パワハラ監督に悩まされるバレーボールチーム、古巣の厚労省に降りかかる難題の解決。城島さんの体を張った警護と莉子が見せた可愛さ!次はどんな問題を解決してくれるか、楽しみ。
読了日:01月31日 著者:横関 大
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