5月の読書メーター
読んだ本の数:31
読んだページ数:9640
ナイス数:3397
最後の祈りの感想
重い…。何の落ち度もない若い女性2人(そのうちのひとりは妊娠中)を殺害し罪の意識のかけらもない犯人と対峙する教誨師。その牧師・保坂宗佑は殺害された妊婦の実父だった。犯人を地獄に突き落とすため教誨を行う牧師、死刑執行を目にし精神を病む刑務官。反省なき死刑囚は変わることが出来るのか?薬丸さんの投げかけるテーマは重く辛いものだが読むことを止められない。
読了日:05月05日 著者:薬丸 岳
そしてあなたも騙されるの感想
シングルマザーの貴代は夫のDVから逃れ7歳の娘と暮らす。滞納した家賃の督促状が届き、強制退去のピンチにSNSで客を集める個人間融資のソフト闇金にすがる。見知らぬ貸主の甘言にズルズルと増える借金、落ちてゆく貴代。借金の怖さも然ることながら、シングルマザーの苦しい立場に切ない気持ちになる。簡単にお金を借りられる闇金は恐ろしい…。
読了日:05月06日 著者:志駕 晃
川崎警察 下流域の感想
70年代の川崎が舞台の警察小説。急激な工業化が進み工場排水で漁業が出来なくなった海。多摩川の河口近くの海で元漁師の遺体が見つかる。捜査にあたる車谷デカ長たち。遺体のポケットにあった自宅のものではない鍵から広がる深い闇。車谷の濃いキャラと新人刑事の沖修平の活躍、令和の時代では考えられないような時代感。懐かしいというか、昭和も遠くなったのだと思いながらの読了。
読了日:05月08日 著者:香納諒一
ある行旅死亡人の物語の感想
尼崎の古いアパートの一室で一人の老女が亡くなった。官報に掲載された数行の情報から共同通信の記者がその人の来歴を辿る。金庫に遺された3400万円、右手の指の全欠損、通帳と沖宗という珍しい姓の印鑑などから調べを進め、沖宗姓から細い糸をたどりようやく身元が判明する。アパートの名義人である田中氏は見つけることがかなわなかったのは残念。遺骨をお墓に納めてあげることが出来て良かったのかな。人に歴史ありを実感させられた1冊。
読了日:05月08日 著者:武田 惇志,伊藤 亜衣
それでも旅に出るカフェの感想
葛井円が営むカフェ・ルーズはコロナ禍のさなかキッチンカーで営業したり焼き菓子のネット販売でピンチをしのいで、少しずつ客足が戻って来た。懸命に努力しながらカフェを営む円とお客としてカフェ・ルーズに通いながら円を見守る瑛子。思わぬピンチに見舞われたが、良い方向に解決して良かった。出てくる食べ物飲み物が魅力的で、カフェ・ルーズに行ってみたくなる。
読了日:05月09日 著者:近藤 史恵
華ざかりの三重奏の感想
60歳を目前に地元で開かれた同窓会で中学時代に親しかった芳美と再会したキャリアウーマンの可南子。芳美の提案で定年後芳美の家で一緒に暮らすことに。2人をつなぐものは昔夢中になって読んだ少女漫画。近所の不登校の中学生・詠人や元花屋の香織も加わり、やがて同人誌作りへ。ただ仲良しが漫然と同居するのではなく、目標があってとても楽しそう!面白く読了。
読了日:05月10日 著者:坂井 希久子
ボーダーズ (集英社文庫)の感想
新シリーズスタート!警視庁SCU(特殊事件対策班)の5人はそれぞれ特殊能力あり。銀行立て籠り事件で客が殺害され犯人を逮捕、しかし殺害された男は40年前に機動隊員殺しで指名手配され公安に追われている男だった。事件は複雑であちこちに広がりをみせるが、SCUの活躍で決着する。今作はメンバーの顔見せ、次作が楽しみ。
読了日:05月11日 著者:堂場 瞬一
時かけラジオ ~鎌倉なみおとFMの奇跡~ (メディアワークス文庫)の感想
ローカルラジオ局「鎌倉なみおとFM」23時から時々不思議な番組が流れる。1985年を生きるDJトッシーが語り、悩める4人のリスナーとつながる。親友と幼馴染の婚約を素直に祝えない女性「3回転半ジャンプさん」、継父に距離を置いてしまう小学生「ラジコンカー君」、バブル期を経験した定年男性「泉太郎さん」。そしてトッシー自身の物語の奇跡。面白かった!
読了日:05月12日 著者:成田 名璃子
セクシャル・ルールズの感想
社労士事務所を経営する麻衣子と専業主夫の耀太。二人で納得して生活スタイルを決めたはずなのに、世間の目や互いの仕事と家事への不満、子育ての大変さでどんどんすれ違う毎日。とある事件をきっかけに二人の仲は決裂するが、麻衣子も耀太もそれぞれに高い壁にぶち当たる。この一家はどうなるのかと頁を捲る手を止められず一気読み!ジェンダーギャップとこれからの家族のあり方を問いかける良作。お薦め!
読了日:05月12日 著者:坂井 希久子
バナナケーキの幸福 アカナナ洋菓子店のほろ苦レシピ (PHP文芸文庫)の感想
何不自由なく暮らしていた茜と七の母娘は、病院を経営する父から突然離婚を言い渡される。傷つき落ち込む茜は手作りケーキの販売を始め、大きく運命の舵を切る。順調に行き過ぎる感はあるけれど、とにかくケーキが美味しそうで茜と七を応援する気持ちで楽しい読書に。
読了日:05月12日 著者:山口 恵以子
藍色ちくちく-魔女の菱刺し工房 (単行本)の感想
青森の南部菱刺しを軸に4つの物語。趣味もなく進路に迷う女子高生の綾、地元の公民館で働く結菜の結婚、母の認知症に悩む南部せんべい屋の香織。そして心に大きな傷を負い引きこもっている亮平。より子おばあちゃんがつなぐ南部菱刺しの絆。無心に刺しているときっと気持ちが落ち着いて良い時間を過ごせるのでしょうね。良い本を読みました。お薦め!
読了日:05月13日 著者:髙森 美由紀
コスメの王様の感想
神戸の花街で出会った少年と少女。没落した家族のために進学を諦め丁稚奉公した李一と、水害で流された田畑や牛の借金の代わりに牛より安く花街に売られたハナ。やがて人気芸妓花千代と永山心美堂社長となる利一。心でつながる2人を隔てる花街の掟や家族の柵。ようやく自由を手に入れたハナの決断と太平洋戦争を経た時代の転換。実在の人物がモデルとのこと、この作品も映像化して欲しい。面白かった!
読了日:05月14日 著者:高殿 円
4月1日のマイホームの感想
東京S区の分譲住宅に越してきた住人たち。憧れの新居で待ち受けていた悲劇…。うーん、真梨さんにしては読みやすくて人間関係も分かりやすかったけど、面白さはほどほど。
読了日:05月16日 著者:真梨 幸子
水底のスピカ (単行本)の感想
札幌の高校に夏休み明けに東京からやって来たひとりの転校生。容姿端麗で成績はトップ、学校中から注目を浴びる汐谷美令。クラスで孤立していた和奈は学園祭を機に美令と友人に。そこにクラスカースト上位の更紗も加わる。何か秘密を抱える美令と更紗、何も無いことに焦りを感じる和奈。2人の男子を加えた密度の濃い1年。青春!和奈の成長が眩く、2人の男子清太と萌芽が良い。
読了日:05月16日 著者:乾 ルカ
殺戮の狂詩曲の感想
高級老人ホームの入居者9人が介護士・忍野に惨殺された。世間から糾弾される最低の被疑者の弁護を担当することになったのは御子柴弁護士。「生産性のない年寄りは消えた方が社会に貢献出来る」とうそぶく忍野。誰がどう考えても死刑以外の判決はありえない裁判にあたり御子柴はどう立ち向かうのか?忍野の立ち位置が明らかになる過程は面白く、ラストになぜ御子柴がこの裁判を引き受けたかが明かされストンと腑に落ちた。犯行シーンは実際のあの事件を思い起こされ辛く重かった。
読了日:05月18日 著者:中山 七里
君と漕ぐ5 (新潮文庫nex)の感想
ながとろ高校カヌー部の熱い挑戦の物語。日本代表に選ばれた恵梨香、恵梨香とペアを組む希衣、高校からカヌーを始めて成長著しい舞奈、みんなをまとめる部長の千帆、新入部員の富歌。個性豊かな彼女らの成長をずっと見ていたかったけど、エピローグでまた涙!爽やかな部活物語の完結編、大満足で読了!
読了日:05月19日 著者:武田 綾乃
木挽町のあだ討ちの感想
芝居小屋の立つ木挽町で美少年・菊之助は父を殺めた下男を斬り仇討ちを成し遂げた。その2年後一人の若侍が仇討ちの顛末を聞きに木挽町を訪れる。次々に芝居者たちが語るあだ打ちの真相、なんとも胸がすく読み心地の良い一書!
読了日:05月20日 著者:永井 紗耶子
不思議カフェ NEKOMIMIの感想
つつましく生きてきたアラ還の律子は、幼い頃に飼っていた黒猫メロディにそっくりな子猫を拾ってきたその日に命の終わりを迎えるが、ランプの魔神の魔法で別の命を与えられる。不思議な魔法の世界、おばさんには少し甘すぎたかな?
読了日:05月21日 著者:村山 早紀
セントエルモの光 久閑野高校天文部の、春と夏の感想
中学校の3年間を東京で過ごし、高校で故郷の久閑野に戻って来たえるもは何をしてもつまらなく、田舎の久閑野に嫌気がしてSNSに依存する毎日。そんな時に出会った風変わりな先輩・嵐士と廃部寸前の天文部。まっすぐな部活もの、小学校高学年以上大人のみなさんにもお薦めです。
読了日:05月21日 著者:天川 栄人
プリズムの感想
韓国の4人の男女の恋物語。揺れ動く心が丁寧に描かれている。韓流ドラマ好きには良いかも?この本を読んで改めて感じたこと、私は恋愛小説が苦手😅
読了日:05月22日 著者:ソン・ウォンピョン
死の陰謀-オッドアイ (単行本)の感想
今作の舞台はスリランカ。自衛隊時代の親友・田村が爆弾テロ事件に巻き込まれ行方不明に。朝倉は自身の結婚式当日、式を中止し現地に。相変わらずのハードボイルド、サクサク読了。
読了日:05月23日 著者:渡辺 裕之
血の代償-オッドアイ (単行本)の感想
オッドアイシリーズ第8弾。深夜の横須賀どぶ板通りで米兵が滅多刺しにされて殺害された。米軍絡みの事案で朝倉たちに捜査協力の依頼が。今作でも朝倉氏は体を張った大活躍。
読了日:05月24日 著者:渡辺 裕之
白蕾記の感想
大阪の蘭学塾・適塾を営む医師の緒方洪庵。幕末の動乱の中、疱瘡を撲滅させるため「牛痘種痘」を広めるために奮闘する洪庵と弟子たち。妻・八重、橋本左内、松本俊平、福沢諭吉らの視点で語られる洪庵。予防医学という概念の無い時代、人の命を救おうとする先駆者たちの労苦と、夫・洪庵を支えた八重との愛の物語でもある。読みやすく、時代物が苦手な方にもお薦めです。
読了日:05月25日 著者:佐藤 雫
お菓子の船の感想
幼い頃祖父の作ったどら焼きを食べた和子は不思議な風景を感じた。祖父の味を再現したいと和菓子職人を志した和子は、男社会の職人の世界に飛び込んで行く。祖父の過去を調べると太平洋戦争に出征していた事実、海軍の給糧艦「間宮」での出来事。知らなかった祖父の一面を見つけ、和菓子職人として成長してゆく和子の姿は清々しくとても良かった。
読了日:05月25日 著者:上野 歩
東京近江寮食堂の感想
アラ還の妙子は定年を機に滋賀県から上京。目的は10年前に失踪した夫の行方を探すため。財布を無くした事をきっかけに辿り着いた「近江寮」、そこで料理を作ることになり個性豊かな人たちと出会い、妙子の頑なな心も解れてゆく。滋賀の郷土料理が美味しそうで、ほっこりした読み心地。続編に出会えたら読んでみたい。
読了日:05月26日 著者:渡辺 淳子
不可能な過去 警視庁追跡捜査係 (ハルキ文庫 と 5-13)の感想
10年前の殺人事件で無罪を勝ち得た当時の被告人から当時の担当刑事に「あの事件の犯人は、本当は私でした」という手紙が届いた。相談を受けた沖田は被告の足跡を追うが病で亡くなっていた。真犯人は必ずいるはずと捜査を続ける沖田。西川は神奈川県警に新設される追跡捜査班のアドバイザーとして神奈川である未解決事件が気にかかる。全く関わりの無さそうな2つの不審事件がぶつかり合い謎が解ける!一気に読了、面白かった。このコンビ、相性は悪く無いよね?
読了日:05月27日 著者:堂場 瞬一
勿忘草をさがしての感想
部活をやめて鬱屈した日々を送る高校生の航大と、大好きな祖父が遺した庭で花の手入れをする大学生の拓海。ふとしたきっかけで出会った2人が植物が絡むささやかな日常の謎や事件に向き合って行く。植物の丁寧な描写と2人の成長がとても読み心地が良かった。真紀涼介さん、初読み。
読了日:05月28日 著者:真紀 涼介
オール・ノットの感想
苦学生の真央と試食販売員の四葉の出会い。四葉はかって栄華を誇った山戸家の生き残り。努力しても報われない真央の人生と山戸家の浮き沈み。四葉の親友ミャーコ、お菓子の缶の少女モデル、祖母・みつばや母の一葉。バブル期からコロナ禍を経た日本の近未来までを描いたシスターフッドの物語。オール・ノット=All knot
読了日:05月29日 著者:柚木 麻子
少年籠城の感想
温泉街の河原で発見された子どもの惨殺遺体。容疑者は15歳の少年・当真。当真は職質をかけた警察官の拳銃を奪い手下の少年慶太郎と共に子ども食堂に立てこもる。人質となった店主・司と4人の子供たち。子供の貧困、ネグレクト、性的虐待、大人の欲望に翻弄されるのは幼い子どもたち。やぎら食堂店主・司は子どもたちを助けることが出来るのか?一気読み必至の面白さ、お薦め本!
読了日:05月30日 著者:櫛木 理宇
滅茶苦茶の感想
圧倒的な滅茶苦茶ぶり、まさにタイトルそのまんま!東京在住で仕事は順調で充実したシングルライフを送る37歳の女性、高偏差値の男子校に通う北関東の高校生、老朽化したラブホの経営に苦しむ静岡の中年男性。コロナ禍でそれぞれが真っ逆さまに転落し、にっちもさっちも行かない状況に陥る。最後は3人が交錯して思わぬ展開に。面白い、一気読み!染井さん、期待通りの作品です。
読了日:05月30日 著者:染井 為人
はらぺこ<美味>時代小説傑作選 (PHP文芸文庫)の感想
女性作家5人のアンソロジー。五十嵐佳子さんは初読み。朝井まかてさんの福袋は既読。五十嵐さんの「桜ほろほろ」良かった!宮部さんの「糸吉の恋」は回向院の茂七親分のシリーズ、やはり安定の面白さ。
読了日:05月31日 著者:宮部 みゆき,朝井 まかて,近藤 史恵,中島 久枝,五十嵐 佳子
読書メーター
読んだ本の数:31
読んだページ数:9640
ナイス数:3397
最後の祈りの感想
重い…。何の落ち度もない若い女性2人(そのうちのひとりは妊娠中)を殺害し罪の意識のかけらもない犯人と対峙する教誨師。その牧師・保坂宗佑は殺害された妊婦の実父だった。犯人を地獄に突き落とすため教誨を行う牧師、死刑執行を目にし精神を病む刑務官。反省なき死刑囚は変わることが出来るのか?薬丸さんの投げかけるテーマは重く辛いものだが読むことを止められない。
読了日:05月05日 著者:薬丸 岳
そしてあなたも騙されるの感想
シングルマザーの貴代は夫のDVから逃れ7歳の娘と暮らす。滞納した家賃の督促状が届き、強制退去のピンチにSNSで客を集める個人間融資のソフト闇金にすがる。見知らぬ貸主の甘言にズルズルと増える借金、落ちてゆく貴代。借金の怖さも然ることながら、シングルマザーの苦しい立場に切ない気持ちになる。簡単にお金を借りられる闇金は恐ろしい…。
読了日:05月06日 著者:志駕 晃
川崎警察 下流域の感想
70年代の川崎が舞台の警察小説。急激な工業化が進み工場排水で漁業が出来なくなった海。多摩川の河口近くの海で元漁師の遺体が見つかる。捜査にあたる車谷デカ長たち。遺体のポケットにあった自宅のものではない鍵から広がる深い闇。車谷の濃いキャラと新人刑事の沖修平の活躍、令和の時代では考えられないような時代感。懐かしいというか、昭和も遠くなったのだと思いながらの読了。
読了日:05月08日 著者:香納諒一
ある行旅死亡人の物語の感想
尼崎の古いアパートの一室で一人の老女が亡くなった。官報に掲載された数行の情報から共同通信の記者がその人の来歴を辿る。金庫に遺された3400万円、右手の指の全欠損、通帳と沖宗という珍しい姓の印鑑などから調べを進め、沖宗姓から細い糸をたどりようやく身元が判明する。アパートの名義人である田中氏は見つけることがかなわなかったのは残念。遺骨をお墓に納めてあげることが出来て良かったのかな。人に歴史ありを実感させられた1冊。
読了日:05月08日 著者:武田 惇志,伊藤 亜衣
それでも旅に出るカフェの感想
葛井円が営むカフェ・ルーズはコロナ禍のさなかキッチンカーで営業したり焼き菓子のネット販売でピンチをしのいで、少しずつ客足が戻って来た。懸命に努力しながらカフェを営む円とお客としてカフェ・ルーズに通いながら円を見守る瑛子。思わぬピンチに見舞われたが、良い方向に解決して良かった。出てくる食べ物飲み物が魅力的で、カフェ・ルーズに行ってみたくなる。
読了日:05月09日 著者:近藤 史恵
華ざかりの三重奏の感想
60歳を目前に地元で開かれた同窓会で中学時代に親しかった芳美と再会したキャリアウーマンの可南子。芳美の提案で定年後芳美の家で一緒に暮らすことに。2人をつなぐものは昔夢中になって読んだ少女漫画。近所の不登校の中学生・詠人や元花屋の香織も加わり、やがて同人誌作りへ。ただ仲良しが漫然と同居するのではなく、目標があってとても楽しそう!面白く読了。
読了日:05月10日 著者:坂井 希久子
ボーダーズ (集英社文庫)の感想
新シリーズスタート!警視庁SCU(特殊事件対策班)の5人はそれぞれ特殊能力あり。銀行立て籠り事件で客が殺害され犯人を逮捕、しかし殺害された男は40年前に機動隊員殺しで指名手配され公安に追われている男だった。事件は複雑であちこちに広がりをみせるが、SCUの活躍で決着する。今作はメンバーの顔見せ、次作が楽しみ。
読了日:05月11日 著者:堂場 瞬一
時かけラジオ ~鎌倉なみおとFMの奇跡~ (メディアワークス文庫)の感想
ローカルラジオ局「鎌倉なみおとFM」23時から時々不思議な番組が流れる。1985年を生きるDJトッシーが語り、悩める4人のリスナーとつながる。親友と幼馴染の婚約を素直に祝えない女性「3回転半ジャンプさん」、継父に距離を置いてしまう小学生「ラジコンカー君」、バブル期を経験した定年男性「泉太郎さん」。そしてトッシー自身の物語の奇跡。面白かった!
読了日:05月12日 著者:成田 名璃子
セクシャル・ルールズの感想
社労士事務所を経営する麻衣子と専業主夫の耀太。二人で納得して生活スタイルを決めたはずなのに、世間の目や互いの仕事と家事への不満、子育ての大変さでどんどんすれ違う毎日。とある事件をきっかけに二人の仲は決裂するが、麻衣子も耀太もそれぞれに高い壁にぶち当たる。この一家はどうなるのかと頁を捲る手を止められず一気読み!ジェンダーギャップとこれからの家族のあり方を問いかける良作。お薦め!
読了日:05月12日 著者:坂井 希久子
バナナケーキの幸福 アカナナ洋菓子店のほろ苦レシピ (PHP文芸文庫)の感想
何不自由なく暮らしていた茜と七の母娘は、病院を経営する父から突然離婚を言い渡される。傷つき落ち込む茜は手作りケーキの販売を始め、大きく運命の舵を切る。順調に行き過ぎる感はあるけれど、とにかくケーキが美味しそうで茜と七を応援する気持ちで楽しい読書に。
読了日:05月12日 著者:山口 恵以子
藍色ちくちく-魔女の菱刺し工房 (単行本)の感想
青森の南部菱刺しを軸に4つの物語。趣味もなく進路に迷う女子高生の綾、地元の公民館で働く結菜の結婚、母の認知症に悩む南部せんべい屋の香織。そして心に大きな傷を負い引きこもっている亮平。より子おばあちゃんがつなぐ南部菱刺しの絆。無心に刺しているときっと気持ちが落ち着いて良い時間を過ごせるのでしょうね。良い本を読みました。お薦め!
読了日:05月13日 著者:髙森 美由紀
コスメの王様の感想
神戸の花街で出会った少年と少女。没落した家族のために進学を諦め丁稚奉公した李一と、水害で流された田畑や牛の借金の代わりに牛より安く花街に売られたハナ。やがて人気芸妓花千代と永山心美堂社長となる利一。心でつながる2人を隔てる花街の掟や家族の柵。ようやく自由を手に入れたハナの決断と太平洋戦争を経た時代の転換。実在の人物がモデルとのこと、この作品も映像化して欲しい。面白かった!
読了日:05月14日 著者:高殿 円
4月1日のマイホームの感想
東京S区の分譲住宅に越してきた住人たち。憧れの新居で待ち受けていた悲劇…。うーん、真梨さんにしては読みやすくて人間関係も分かりやすかったけど、面白さはほどほど。
読了日:05月16日 著者:真梨 幸子
水底のスピカ (単行本)の感想
札幌の高校に夏休み明けに東京からやって来たひとりの転校生。容姿端麗で成績はトップ、学校中から注目を浴びる汐谷美令。クラスで孤立していた和奈は学園祭を機に美令と友人に。そこにクラスカースト上位の更紗も加わる。何か秘密を抱える美令と更紗、何も無いことに焦りを感じる和奈。2人の男子を加えた密度の濃い1年。青春!和奈の成長が眩く、2人の男子清太と萌芽が良い。
読了日:05月16日 著者:乾 ルカ
殺戮の狂詩曲の感想
高級老人ホームの入居者9人が介護士・忍野に惨殺された。世間から糾弾される最低の被疑者の弁護を担当することになったのは御子柴弁護士。「生産性のない年寄りは消えた方が社会に貢献出来る」とうそぶく忍野。誰がどう考えても死刑以外の判決はありえない裁判にあたり御子柴はどう立ち向かうのか?忍野の立ち位置が明らかになる過程は面白く、ラストになぜ御子柴がこの裁判を引き受けたかが明かされストンと腑に落ちた。犯行シーンは実際のあの事件を思い起こされ辛く重かった。
読了日:05月18日 著者:中山 七里
君と漕ぐ5 (新潮文庫nex)の感想
ながとろ高校カヌー部の熱い挑戦の物語。日本代表に選ばれた恵梨香、恵梨香とペアを組む希衣、高校からカヌーを始めて成長著しい舞奈、みんなをまとめる部長の千帆、新入部員の富歌。個性豊かな彼女らの成長をずっと見ていたかったけど、エピローグでまた涙!爽やかな部活物語の完結編、大満足で読了!
読了日:05月19日 著者:武田 綾乃
木挽町のあだ討ちの感想
芝居小屋の立つ木挽町で美少年・菊之助は父を殺めた下男を斬り仇討ちを成し遂げた。その2年後一人の若侍が仇討ちの顛末を聞きに木挽町を訪れる。次々に芝居者たちが語るあだ打ちの真相、なんとも胸がすく読み心地の良い一書!
読了日:05月20日 著者:永井 紗耶子
不思議カフェ NEKOMIMIの感想
つつましく生きてきたアラ還の律子は、幼い頃に飼っていた黒猫メロディにそっくりな子猫を拾ってきたその日に命の終わりを迎えるが、ランプの魔神の魔法で別の命を与えられる。不思議な魔法の世界、おばさんには少し甘すぎたかな?
読了日:05月21日 著者:村山 早紀
セントエルモの光 久閑野高校天文部の、春と夏の感想
中学校の3年間を東京で過ごし、高校で故郷の久閑野に戻って来たえるもは何をしてもつまらなく、田舎の久閑野に嫌気がしてSNSに依存する毎日。そんな時に出会った風変わりな先輩・嵐士と廃部寸前の天文部。まっすぐな部活もの、小学校高学年以上大人のみなさんにもお薦めです。
読了日:05月21日 著者:天川 栄人
プリズムの感想
韓国の4人の男女の恋物語。揺れ動く心が丁寧に描かれている。韓流ドラマ好きには良いかも?この本を読んで改めて感じたこと、私は恋愛小説が苦手😅
読了日:05月22日 著者:ソン・ウォンピョン
死の陰謀-オッドアイ (単行本)の感想
今作の舞台はスリランカ。自衛隊時代の親友・田村が爆弾テロ事件に巻き込まれ行方不明に。朝倉は自身の結婚式当日、式を中止し現地に。相変わらずのハードボイルド、サクサク読了。
読了日:05月23日 著者:渡辺 裕之
血の代償-オッドアイ (単行本)の感想
オッドアイシリーズ第8弾。深夜の横須賀どぶ板通りで米兵が滅多刺しにされて殺害された。米軍絡みの事案で朝倉たちに捜査協力の依頼が。今作でも朝倉氏は体を張った大活躍。
読了日:05月24日 著者:渡辺 裕之
白蕾記の感想
大阪の蘭学塾・適塾を営む医師の緒方洪庵。幕末の動乱の中、疱瘡を撲滅させるため「牛痘種痘」を広めるために奮闘する洪庵と弟子たち。妻・八重、橋本左内、松本俊平、福沢諭吉らの視点で語られる洪庵。予防医学という概念の無い時代、人の命を救おうとする先駆者たちの労苦と、夫・洪庵を支えた八重との愛の物語でもある。読みやすく、時代物が苦手な方にもお薦めです。
読了日:05月25日 著者:佐藤 雫
お菓子の船の感想
幼い頃祖父の作ったどら焼きを食べた和子は不思議な風景を感じた。祖父の味を再現したいと和菓子職人を志した和子は、男社会の職人の世界に飛び込んで行く。祖父の過去を調べると太平洋戦争に出征していた事実、海軍の給糧艦「間宮」での出来事。知らなかった祖父の一面を見つけ、和菓子職人として成長してゆく和子の姿は清々しくとても良かった。
読了日:05月25日 著者:上野 歩
東京近江寮食堂の感想
アラ還の妙子は定年を機に滋賀県から上京。目的は10年前に失踪した夫の行方を探すため。財布を無くした事をきっかけに辿り着いた「近江寮」、そこで料理を作ることになり個性豊かな人たちと出会い、妙子の頑なな心も解れてゆく。滋賀の郷土料理が美味しそうで、ほっこりした読み心地。続編に出会えたら読んでみたい。
読了日:05月26日 著者:渡辺 淳子
不可能な過去 警視庁追跡捜査係 (ハルキ文庫 と 5-13)の感想
10年前の殺人事件で無罪を勝ち得た当時の被告人から当時の担当刑事に「あの事件の犯人は、本当は私でした」という手紙が届いた。相談を受けた沖田は被告の足跡を追うが病で亡くなっていた。真犯人は必ずいるはずと捜査を続ける沖田。西川は神奈川県警に新設される追跡捜査班のアドバイザーとして神奈川である未解決事件が気にかかる。全く関わりの無さそうな2つの不審事件がぶつかり合い謎が解ける!一気に読了、面白かった。このコンビ、相性は悪く無いよね?
読了日:05月27日 著者:堂場 瞬一
勿忘草をさがしての感想
部活をやめて鬱屈した日々を送る高校生の航大と、大好きな祖父が遺した庭で花の手入れをする大学生の拓海。ふとしたきっかけで出会った2人が植物が絡むささやかな日常の謎や事件に向き合って行く。植物の丁寧な描写と2人の成長がとても読み心地が良かった。真紀涼介さん、初読み。
読了日:05月28日 著者:真紀 涼介
オール・ノットの感想
苦学生の真央と試食販売員の四葉の出会い。四葉はかって栄華を誇った山戸家の生き残り。努力しても報われない真央の人生と山戸家の浮き沈み。四葉の親友ミャーコ、お菓子の缶の少女モデル、祖母・みつばや母の一葉。バブル期からコロナ禍を経た日本の近未来までを描いたシスターフッドの物語。オール・ノット=All knot
読了日:05月29日 著者:柚木 麻子
少年籠城の感想
温泉街の河原で発見された子どもの惨殺遺体。容疑者は15歳の少年・当真。当真は職質をかけた警察官の拳銃を奪い手下の少年慶太郎と共に子ども食堂に立てこもる。人質となった店主・司と4人の子供たち。子供の貧困、ネグレクト、性的虐待、大人の欲望に翻弄されるのは幼い子どもたち。やぎら食堂店主・司は子どもたちを助けることが出来るのか?一気読み必至の面白さ、お薦め本!
読了日:05月30日 著者:櫛木 理宇
滅茶苦茶の感想
圧倒的な滅茶苦茶ぶり、まさにタイトルそのまんま!東京在住で仕事は順調で充実したシングルライフを送る37歳の女性、高偏差値の男子校に通う北関東の高校生、老朽化したラブホの経営に苦しむ静岡の中年男性。コロナ禍でそれぞれが真っ逆さまに転落し、にっちもさっちも行かない状況に陥る。最後は3人が交錯して思わぬ展開に。面白い、一気読み!染井さん、期待通りの作品です。
読了日:05月30日 著者:染井 為人
はらぺこ<美味>時代小説傑作選 (PHP文芸文庫)の感想
女性作家5人のアンソロジー。五十嵐佳子さんは初読み。朝井まかてさんの福袋は既読。五十嵐さんの「桜ほろほろ」良かった!宮部さんの「糸吉の恋」は回向院の茂七親分のシリーズ、やはり安定の面白さ。
読了日:05月31日 著者:宮部 みゆき,朝井 まかて,近藤 史恵,中島 久枝,五十嵐 佳子
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