2月の読書メーター
読んだ本の数:24
読んだページ数:8402
ナイス数:3519
ふたり、この夜と息をして (一般書)の感想
読み友さん絶賛の本作、とても良かった!顔にアザがあるため壮絶なイジメに遭い、化粧で隠している夕作まこと。人と関わらないように静かに学校生活を送る彼はクラスメイトの槙野がタバコを吸うのを目撃する。不良でない彼女は何故タバコを吸うのか?互いに秘密を抱える二人が距離を縮めて行く。おばあちゃんや保健室の野原先生、遠藤くんたち、良い理解者が周りに居てくれて夕作の未来は明るい。北原一さん、初読み。
読了日:02月01日 著者:北原 一
ボタニカの感想
日本植物学の父・牧野富太郎。高知の造り酒屋の息子として生まれた彼は小学校中退ながら独学で植物研究に没頭し、家業を潰し莫大な借財を抱えながらもめげずに突き進む。東大中心のアカデミズムとの軋轢、家庭的には奥さんにも苦労のかけ通しと言う人物。明治から大正、昭和の植物学史を学べた。
読了日:02月02日 著者:朝井まかて
剛心の感想
建築家・妻木頼黄。明治維新から急速に西洋化する東京の町並み。江戸の美しい景色を取り戻そうと努力した人物伝。辰野金吾は有名だけど、妻木氏については初めて知ることが出来た。日本橋のあの彫刻も当時は賛否両論があったとのこと。彼の育てた人々が国会議事堂を作り上げたと思うと感慨深い。
読了日:02月04日 著者:木内 昇
やまのめの六人の感想
原 浩さん、初読み。五人組の男たちがひと仕事を終えてとある峠に差し掛かった時に台風の影響で土砂崩れが起り車が横転。一人の男が命を落とす。付近の民家に助けを求めて避難するが、怪しい老婆と不審な兄弟に拘束される。そもそも仲間は五人のはず、何者かが紛れ込んでいる。それぞれの思惑と欲望、峠近くの金崎家の秘密、中々に面白く読めたけど、恐ろしいのは男より女…。
読了日:02月05日 著者:原 浩
傷痕のメッセージの感想
亡き父の遺言は、死後直ちに遺体を解剖すること。医師で一人娘の千早は怪訝に思いながらも同僚の病理医・紫織の執刀で父を解剖すると、胃壁に奇妙なメッセージが。父がかつて追い続けた28年前の幼女連続殺人事件と誘拐され行方不明になった幼女。千早の拗らせキャラと紫織の解剖に対する姿勢、事件の真相は半分は予想通りで真犯人は意外な人物!今まで読んだ知念さんの作品中で一番面白かった。
読了日:02月06日 著者:知念 実希人
メディコ・ペンナ 万年筆よろず相談の感想
神戸の街角の小さな洋館で営まれる万年筆修理の「メディコ・ペンナ」。年齢不詳、白髪の店主はぶっきらぼうだが万年筆修理の腕は抜群。お客の人生を変えると言うキャッチフレーズに惹かれて店を訪れた就活中の女子大生・砂羽はアルバイトをすることに。店主の万年筆への愛と知識、悩みを抱えるお客との向き合い方、砂羽の成長物語でもあり、お仕事小説としても楽しめた。
読了日:02月06日 著者:蓮見 恭子
山狩の感想
房総半島の伊予ヶ岳の山頂付近で発見された若い女性の死体。事故か自殺かと思われたが彼女はストーカー被害に遭っていた。加害者は名家の御曹司、そしてその親は警察関係者と深い繋がりも…。亡くなった孫娘の無念を晴らそうとする元警察官の祖父、邪魔だてする上層部の裏をかこうとする警察官たち。警察とヤクザと金持ちが事件をもみ消したり、真犯人を匿ったり犯人をでっち上げる…、事実ならとんでもないけど、そこは小説、面白く読了。笹本稜平さんの遺作、謹んでご冥福を祈ります。
読了日:02月08日 著者:笹本 稜平
匣の人の感想
松嶋智左さん、初読み。この作品の匣とは交番を指す。刑事課から交番勤務に異動となった巡査部長の貴衣子は、新人巡査の里志とペアを組むが、里志の掴み所のない言動に戸惑いを隠せない。引ったくり事件や認知症老人の保護、小さな事件が頻発する中でパトロール中に外国人技能実習生の遺体を発見する。里志の取った行動に違和感を感じる貴衣子、先が気になり一気読み!交番を地域の救いの匣に、警察官の矜持を描いた良作。
読了日:02月09日 著者:松嶋 智左
連鎖犯の感想
シングルマザーの子供たちが何者かに誘拐され、身代金500万円を要求された。2日後に二人は無事に開放されたが、犯人は逃げて事件は未解決に。その直後から起きた母親へのバッシング、母親の自殺…。7年の時を経てバッシングの中心となったコメンテーターの女が殺害され、ほぼ時を同じくして養護施設を退所し行方がわからなくなった元被害者の姉弟。まさに連鎖する犯罪と卑劣な犯人、ご当地新潟を舞台にした1冊、面白かった!
読了日:02月10日 著者:生馬 直樹
ミス・サンシャインの感想
大学院生の一心は教授の紹介で昭和の大女優・和楽京子(鈴さん)の資料整理の手伝いをすることに。鈴さんを往年の名女優に重ねて、戦後の映画史を紐解きながらの読書に。一心の切ない恋や亡き妹への思い、鈴さんの親友とのエピソード。長崎出身の吉田さんがどうしても綴りたかった1冊だと感じた。お薦め本!
読了日:02月11日 著者:吉田 修一
すべての神様の十月(二) (PHP文芸文庫)の感想
この作品を読むと死神も貧乏神も怖くない(笑)「戌の日」に、可愛いおばあちゃん家政婦さんにほっこり。「お稲荷さんをよろしく」、二人の女子高生は予想通りだけど楽しい!「引きこもりにおじさん」も好き。「七回目の神様」は前作からの繋がりが。「天狗さまのもとに」、白いあの子が健気で可愛い過ぎ!続編有りそうですね。
読了日:02月12日 著者:小路 幸也
六つの村を越えて髭をなびかせる者の感想
江戸中期、幕府の蝦夷地見聞隊に随行した最上徳内。何度も挫折をし、それでも北の大地を目指した男の生涯。面白さで一気読み!アイヌの人々への尊敬と愛情、松前藩への怒り。幕府のやり方には読んでいるこちらもやりきれず…。徳内自身の魅力は、周りの人々を味方に付け、ふでと言う良き伴侶を得たことでも証明される。これは大河ドラマになっても良さそうな作品、タイトルも素晴らしい。お薦め本!
読了日:02月13日 著者:西條 奈加
奔流の海の感想
1968年7月7日、静岡県を襲った台風で起きた悲劇。一人の赤ん坊の行方が分からなくなり20年の時を経て町に現れた大学生・坂井裕二。父親に「当たり屋」をやらされ、母親からは距離を置かれた裕二は、坂井隆と言う人物によって地獄から救い出される。旅館「清風荘」の娘・千遥の章と裕二の過去が交互に綴られ、序章の悲劇とどう繋がるか引き込まれ一気に読了。織姫星に秘められた真実、良かったです!
読了日:02月14日 著者:伊岡 瞬
人形姫の感想
老舗人形店の八代目の森岡恭平37歳。若くして会社を継ぐ事になったが伝統技能を受け継ぐ後継者は不足し、売り上げ低迷に悩む日々。人柄の良い恭平を応援するような気持ちで読みました。この時期に雛人形職人の物語を読めて良かったです。
読了日:02月15日 著者:山本 幸久
月の光の届く距離の感想
予期せぬ妊娠で恋人に去られ、親から逃げ出し歌舞伎町をさまよう美優に救いの手を差し伸べたのはNPOを運営する千沙。千沙の紹介で奥多摩のゲストハウス・グリーンゲイブルスへと。そこは明良と華南子兄妹が様々な事情のある里子を育てる家。親になるには未熟な美優が周りの人々に感化され大きな決断を…。明良と華南子の苦しい過去、千沙の壮絶な過去に涙。家族のカタチはひとつではない。
読了日:02月16日 著者:宇佐美 まこと
母の待つ里の感想
歳老いた母が一人待つ岩手県の田舎へ故郷を捨てて都会で暮らす男が40年ぶりに帰省する…、それは大手カード会社が提供するプレミアムサービスだった。大会社の社長・松永徹、定年を機に熟年離婚した室田精一、実母を亡くしたばかりのDr.古賀夏生。それぞれの視線の物語だが、母のちよさんが何とも魅力的で素敵。最後のお別れは切なくて涙も。しかし、現実にはこんなサービス自体無理だろうなあ。大人のおとぎ話。
読了日:02月17日 著者:浅田 次郎
サンセット・サンライズの感想
大手電気機器メーカー・シンバルに勤務する西尾晋作は、業務がコロナ禍でテレワーク化されることをキッカケに好きな釣りを楽しみながら仕事が出来ると三陸の町に移り住む。築9年3LDK家具付き家賃8万円と破格の好条件の家、魚や野菜の美味しい町には増える一方の空き家に悩む町役場職員の百香が。面白くてハッピーエンド、こういう本を読むと気分が上がりますね。
読了日:02月18日 著者:楡 周平
南アルプス山岳救助隊K-9 異形の山 (徳間文庫)の感想
厳冬の北岳に現れた謎の白い毛で覆われた生物。同じ頃目撃された大きな火球。要救助者の捜索に赴くK-9メンバー、謎の生物を撃つ為に入山したハンター、You Tubeで閲覧数を増やすために無謀な入山をした大学生。面白くて一気読み。自然の雄大さ、人間の愚かさ、このシリーズにはいつも考えさせられる。
読了日:02月19日 著者:樋口明雄
おまえなんかに会いたくない (単行本)の感想
高校卒業から10年、校庭に埋められたタイムカプセルの開封を兼ねた同窓会に向けてSNSも立ち上がり開催日までのカウントダウンが始まった。そこに「岸本李矢さんを覚えていますか」と言う書き込みが。イジメにより卒業を待たずに転校した少女、彼女が仕掛けたタイムカプセルの中身。スクールカースト、いじめた側といじめられた側の意識の差。ヒリヒリする気持ちで読了。カーストエラーと呼ばれる三井が居てくれて良かった。
読了日:02月22日 著者:乾 ルカ
相剋(そうこく) 警察小説傑作選 (PHP文芸文庫)の感想
警察小説の名手5人の作品。藤原審爾さん、懐かしく拝読。大沢在昌さんは新宿鮫のエピソード0、小路幸也さんは駐在所シリーズから、大倉崇裕さんと今野敏さんは未読のシリーズ。どれも面白くてお得な1冊。
読了日:02月23日 著者:大沢 在昌,藤原 審爾,小路 幸也,大倉 崇裕,今野 敏
朝と夕の犯罪の感想
ある目的の為に狂言誘拐を実行したアサヒとユウヒの兄弟。犯罪は成功したが思わぬ悲劇を迎える。それから8年の後に起きた幼い兄妹の置き去り事件。衰弱した兄の傍らに餓死した妹、その母親はかつての誘拐事件の被害者だった…。2つの事件のつながりと裏に隠された事実、虐待の連鎖や名家の虚飾。駅前交番の狩野さんは、冴えない外見とは裏腹に何でもお見通しか。夕夜くんが幸せになれそうなラストに安堵した。
読了日:02月24日 著者:降田 天
風よ あらしよの感想
熱く激しく短い生涯を駆け抜けた伊藤野枝。彼女の生命力、強い上昇志向には少し魅力を感じながら読み進めたが、意に添わない結婚からの出奔、教師・辻との同棲辺りから嫌悪感が増して来た。大杉栄との恋愛から神近市子との四角関係はドロドロの昼メロのような…。時代背景もあるだろうが、現代に野枝がいたらどういう生き方を選んだのだろうか?最期のシーンは胸が痛くなった。史実を元に書かれたフィクションとのことだが。。
読了日:02月26日 著者:村山 由佳
おわかれはモーツァルトの感想
ああ、面白かった!盲目のピアニスト・榊場隆平はフリーライターの寺下に「盲目は芝居ではないか」と絡まれ、演奏会を妨害された。事件は榊場の練習室で起き、寺下が深夜明かりの消えた部屋で殺害され、榊場が容疑者扱いされる。そして待っていたあの男が現れ、榊場の窮地を救い鮮やかに事件を解決。格好良過ぎる、そして次はガーシュイン。楽しみに待ちます♪
読了日:02月27日 著者:中山 七里
いえの感想
「ひと」「まち」に続く江戸川区平井の荒川河川敷近くの物語。3つ年下の妹若緖が親友大河の運転する車の助手席で大怪我をし、左足に障害が残った。兄・三上傑の目線で進む物語は三上家に起きた変化と家族のズレを描く。シリーズおなじみのメンバーが登場したり、「ホケツ!」が出て来たり小野寺作品のファンならニヤニヤしたり、前作の登場人物のその後を知ることが出来ると言う楽しみも。傑がネガティブなので少しイラッとしつつもラストの落しどころはステキだった。
読了日:02月28日 著者:小野寺史宜
読書メーター
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