昨日は家のツツジの生垣を剪定した。
毎年、見事に咲きそろってくれるが、今年は秋の台風で蕾が落とされてしまったのか、パラパラ程度にしか咲かなかった。
下の白いツツジだけはどういうわけか、いつも通りたくさんの花をつけてくれたが、その真っ白な花に混ざって色のついた花が3つほどあった。他のピンクのツツジと交配されたからだろうが、せっかくなので写真に撮ったのが下の写真です。
話は少し変わりますが、先日、昔買った『植物は不思議がいっぱい』(春田俊郎著)という本を、久しぶりに取り出して読み始めましたが、その中にこんな面白いことが書かれています。
以下引用
○花が虫を惹きつける基本は、花の姿と蜜との2つであるが実際はそれほど簡単なものではない。(中略)
例えば、オオムラサキツツジなどの大型のツツジの花の花粉の媒介者は、クロアゲハ、カラスアゲハなど比較的大型のアゲハチョウである。アゲハチョウの仲間がツツジにとまって吸引するとき、その管状の口が花の底にある蜜線まで届かねばならないし、吸蜜しているときに、その足や羽の裏にたくさんの花粉を付着させなければ意味がない。
そこで何10例にわたって測定してみた結果は、アゲハチョウ類がとまった姿勢のとき、ツツジの花の深さと、アゲハの口の長さは常に一致しているし、ちょうど蝶の胴体の位置にたくさんのオシベが伸びていて、蝶の好みに関係なく、蜜を吸えば必ず、胴にオシベの先端がふれる様になっている。
○日本にいる何種類かのアゲハチョウは、1年に2世代を繰り返す。つまり3月末から5月頃に発生するアゲハチョウは春型で、ツツジの蜜を主食としている。この春型のチョウが産卵し、幼虫、蛹を経て7月から8月にかけて夏型のチョウが飛び出す。ほとんど例外なく、同じ種類では、夏型の蝶の方が春型の蝶より大きいし、管状の口も長い。これは春型のツツジに対し夏型の蝶の主食は、オニユリ、ヤマユリの蜜であって、ツツジより花の構造が大きく、かつ、蜜線の位置がツツジより深いから、それに対応していると考えられている。
○マダガスカルに筒の長さが25㎝という非常に深い筒型の花があった。この花の蜜を吸い、花粉を運ぶには、どうしても口の長さが25㎝以上の昆虫がいなければならない。観察の結果、口の長さが25㎝のスズメガがいたのである。そしてその後、更に筒の長さが30㎝近いという非常に深い筒型の花が見つかった。しかし、それに対応できる長い口の蛾は発見できなかった。けれども自然の摂理から考えて科学者は、30㎝の口をもつスズメガが存在すると予告した。そして数十年後になってやっと、口の長さが30㎝というスズメガが発見された。そのスズメガはプレディクタ、つまり予言されたという意味の名称がつけられた。(引用終わり)
引用が長くなりましたが、花と蝶、一方は植物であり、一方は動物(昆虫)で、植物界と動物界というように界を異にする花と蝶が、まるで話し合いでもしたかのようにうまくできていることに、あらためて感心し、紹介させてもらった次第です。
さて、下の写真は、ガクアジサイで「写真を撮れ」とうるさくせがむので、「まだ早い」と思いつつ、仕方なく撮ったもの。
この場合は、花が人間に話しかけたというわけである。(笑)
共感、そして何よりうれしい言葉、ありがとうございます。