こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
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29回「緩和ケア研究会」 妻の腕の中で・・

2009-09-15 22:57:10 | めぐみ在宅緩和ケア関連
                

     彼岸花 白
今日は第3火曜日。緩和ケア研究会の日です。
今日は、50代で亡くなられた男性とのかかわりを事例に、いつものようにグループワークをしました。
この方の「苦しみは」「支えは」「どういう私達であれば、支えられるのか」
ということを、それぞれが深く掘り下げていく中で、ファシリテーターがグループごとに発表していきます。

人対人のかかわりの中で、どうしたら相手の理解者になることができるか。
どう伝えればいいのか。
その練習でもあります。

いろんな事を感じることは、誰でも出来ます。
でも、感じるだけでは不十分です。

「良かったことは、最後まで家にいられたことです。」

では、何がどのように良かったから、家にいられたのか?
いかにそれを「言語化」できるかが、必要になってきます。
これは意外に難しいことです。

今日は、この事例の男性の奥さまも出席していました。

「こんなにたくさんの人たちが、一人の患者と接するために、これほど掘り下げ、考え、どうしたら支えになれるのかを考えてくださっていることに、感動しています。
自分たちが、余命を知らされ、深い苦しみと悲しみの中にいるとき、『私は最後までそばにいますよ。』と、先生が言ってくれて、本当にありがたかった。
とても、気持ちが楽になりました。
主人は、私に『何も残せなくてごめん。』と言いましたが、私は本当にたくさんの幸せや、たくさんの出会いをもらいました。
本当に今日は出席出来て良かったです。」と話されました。

この患者さんは、最後の時、もうこれを使ったら二度と目を覚まさないであろう座薬を、「入れてくれ」といったそうです。
最初は妻に。
でもすぐに、「いや、Sさん入れてください」と看護師に頼んだそうです。
Sさんが、座薬を入れようとして、横向きにするため、妻に抱えてもらい、入れ終えて上を向いた時には、呼吸がなかったそうです。

Sさんは、最愛の妻の腕の中で亡くなったのです。

たぶん、すでに自分の最後を悟っていた夫は、強い鎮静作用のあるその座薬を入れることが、今の自分の呼吸を止めることを知ってたんでしょうね。
妻が入れることで、妻に後悔させたくなかったのでしょうね。

看とりの看護師にそれをゆだねたんです。

グループでその話が出たとき、一人の男性が「そうか。そうなんだよな。私も自分の親に最後の座薬を入れたが・・・そうか。そうか。」
と呟いていました。
きっと、いろんな事が脳裏をよぎったんでしょう。

来月からは、会話を取り入れた研究会を予定しているそうです。
どんな会話になるのかな??