こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
在宅緩和ケアのお話や、日々のあれこれを書き留めます。
看護師さんも募集中!!

看護師ブログのランキングです。ポチッってしてもらえると励みになります。(^^)/

にほんブログ村 病気ブログ 看護・ナースへ
にほんブログ村

大荒れの緊急当番

2010-02-12 23:30:49 | 訪問看護、緩和ケア
今週は緊急1番の当番です。
月曜日から特に電話もなく落ち着いていました。
これはいいかんじ~と思いつつ昨日11日は朝から電話が・・
うちの緊急電話の着信メロディ「アメイジングレース」に飛び起きると、不安そうなKさんの奥さんの声が・・・
朝夫を起こそうとしたら、ベットから足を下げた状態で倒れこんでいたとか。
表情はボ―っとしてうつろ、声かけにも反応が鈍く、低血糖かと思いブドウ糖を含ませてみたが、やはりおかしい。とのこと。

すぐに緊急訪問しました。
反応は鈍いなりに、手を払いのけたり足を動かしたりはします。
妻が何度も声をかけると注視したりしますが、意識レベルとしては1ケタ2ケタというところ。
瞳孔反射もあり左右差もありません。
バイタルも安定しているのに、やっぱり発語がでませんし、目をつぶると無呼吸も・・

もともと、動脈硬化が進んで末梢の循環障害が悪化している方です。
どうしても家にいたいと言う御本人の想いにそって、在宅を続けていたので、どこかで梗塞が起こってもおかしくない・・・
御高齢でもあり、このままずっと家で過ごし、ここから旅立ちたいと言うことを常ずねお話しされていました。

小澤先生に連絡すると、すぐに来てくれるとのこと、ケアマネさんも向かってくれるそうです。

今後の事、入院か在宅か、妻は迷いました。
夫に何度か「あなた、入院しますか?」と聞いた時です。
「家に、いたいよう。」「家に、いたいよう。」「家に、いたいよう。」
はっきりと、3回言いました。
3回目の時は、泣き顔でした。
妻は、「家で、お願いします。私が、送ります。」ときっぱり言いました。

先生やケアマネさんが訪れ、診察の結果はやはり脳梗塞の可能性が高いということでした。
そして、ご高齢であること、今までも病気をたくさんして、入院を拒んで家にいたこと。
延命を希望しない事などの確認をして、このまま家で苦痛のないように見ていくことになりました。

2時間ほどの訪問の後、担当看護師に連絡し、夕方再度訪問してもらうことにしました。
その後、時間を追って意識レベルは低下し、今日はレベル300となり、発熱も出始めました。
結局、あの「家に、いたいよう。」が、彼のはっきりとした最後の意思表示になってしまいました。

そのあとは、疼痛の増強の電話などありましたが夜までは落ち着いていました。
そして夜中の2時前、再び「アメイジングレース」。
「おじいさんがべっトからおちた!女の人じゃあ無理なので、男の人を読んでください!」
って、訪問看護の緊急電話なんだけど・・・
でも、私ではたしかに持ち上げられそうにないし、怪我もしてなさそう。
申し訳ないと思いつつ、119番にお願いしました。
「火事や救急が優先されますが、それでも良ければ出動しますよ。」と言って下さり、無事ベットに戻していただきました。

そしてやっとうとうととした午前4時、再び「アメイジングレース」。
数日前から、病状の進んでいた患者さんの娘さんからでした。
「母が、亡くなりました。今、先生の確認も終えましたので、処置をお願いします。」という、とても落ち着いた電話でした。
朦朧とした私のほうが、ちょっとあわてましたが、「その時は呼んでね。」と言っていくれていた担当者に連絡すると、「7時までには行きます。」とのこと。
ありがたくお願いしてまた眠りに落ちました。

そして今日も、昼はあわただしく過ごし、午後3時半からの皮膚科の往診が大変で、なんだかんだで夜の7時過ぎにステーションに帰ったとたんの電話。

やはりご高齢で、在宅での自然な終末を御希望の患者さんの御家族からでした。

「母が苦しんでいる。早く来て下さい!」
かねてより、狭心症発作をよく起こしていたので、直行しました。
かなり苦しんでおり、息子さんが抱える腕の中で弱っていました。
やはり、左前胸部を押さえています。
ミオコールスプレー何度か使っても効果ありません。
咽頭喘鳴が聞こえます。下にしている右の肺に嫌な音が聞こえます。
そして、こみ上げる吐物を何度も飲みこもうとしています。
横にして、吐かないとだめ。飲むと誤飲して肺に落ちてる!
すると、突然噴水用の嘔吐。何度も吐かせていると、おなかのほうからキ―ンという金属音が・・うそ・・これってイレウス?

とにかく、なんだかんだとしているうちに、落ち着いてきました。
時々うとうととします。
1時間過ぎて、小澤先生が来てくれたころには、吐き気は治まり頬に血の気も戻ってきました。
診察で、やはり心臓ではなさそう、金属音もあり一時的に通過障害がおこり、嘔吐したことで楽になったのだろうとの事。誤飲性の肺炎は心配されますが、ひとまず様子を見る事に。
明日の処方箋を切ってもらって、やっと帰る事が出来ました。

10時近く、ステーションに帰るとデスクの上に置手紙が何枚もありました。
今日の報告のなかに、「○○さん、何かあったら呼んでください。行きます。」
「△さん、明日はSが、明後日はMが見に行きます。」
などなど、スタッフが休日中の訪問を名乗り出てくれていました。
疲れて帰ったものの、その置手紙を見てなんだかすごくうれしくて、元気が出ました。

今、うちのステーションも過渡期です。
いろんな問題もあって、一つずつ解決していかなければならないのですが、このスタッフとなら、頑張っていけそうな気がします。

今夜は、ゆっくり眠らせてもらえるといいのだけれど・・・
もう、瞼がくっついてきました。お休みなさい。