こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
在宅緩和ケアのお話や、日々のあれこれを書き留めます。
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34回めぐみ在宅緩和ケア研究会

2010-02-16 22:46:13 | めぐみ在宅緩和ケア関連
今日は、経済的な困窮のなかで、在宅での環境を整え、穏やかに看取りまで経過された方を事例にいつものグループワークを行いました。

担当のケアマネさん、泉区で活動中のパワフルケアマネさんです。
困難事例を山ほど抱えて、包丁がいつ飛んでくるかもわからない場所でも、平気で乗り込んでしまう肝の据わった女性です。

今回は、介護保険料未払い、医療保険未払いをどう乗り越えたかが、とても勉強になったので、書き留めます。

介護保険料は、40歳を過ぎれば払わなければなりませんが、40歳から64歳までは2号被保険者として加入している医療保険と一緒に支払われることになっています。
必然的に、医療保険りょうのなかから、だまっていても算定して支払われます。

65歳以上は、年金受給者は年金から支払われますが、それ以外の方は納付書や口座振替により支払われます。

ですが、生活が厳しく日々の食事もやっとの方の中には、介護保険料を払えない、または払わないかたもけっこういるのが実情です。

こういう方が、急に病気になり介護が必要になると、介護保険が使えない事になります。
介護保険で1割負担で使えるサービスが10割負担となるのです。
たとえば、訪問看護1時間830単位では、約830円が8300円になるわけですから、とても利用はできません。

そこであわてて役所に相談した場合、医療保険に加入していれば、医療保険から支払われているとして、1割負担の通常の介護保険を利用できます。
しかし65歳以上の場合は、原則支払いが別なので「支払われていない」として、支払いを開始して受理されるまで3割負担となるのです。(2年以上未払いの場合)
1割と3割とでは大違いです。たたでさえ苦しい生活が、もっと苦しくなります。

さらに、医療保険も滞納しているとしたら、医療保険も使えなくなります。
とても医療を受けられる状況ではありません。

ここで、もし生命保険に入っていたとしたら、満期に受け取る金額の7割を前払いしてもらうことが出来ます。
もう一つの選択は、生命保険が支払われたときに全額返済する約束で、生活保護を受ける事です。
生命保険に加入していなければ、生活保護を第一選択にします。

ここで、予後1年未満であれば、たとえ車を持っていても、多少の収入があっても生活保護を受けられる可能性が大きくなります。

ですから、妻と子供がパートでギリギリの収入があるものの、介護のためには仕事はできなくなると、ジレンマに陥って苦しんでいる方には朗報になりえるのです。
特に医療費が無い場合は、対象になるようです。
こういうパターンは、とてもよく聞きますよね。

で、早急に保護申請をすれば、申請日にさかのぼって保護を受ける事が出来ます。
この時は、申請に必要な書類をとにかく大急ぎで作成し、生活保護のケースワーカーにも窓口にも話を通しておいて、申請させるとかなりの時間の短縮になるそうです。
ただ、申請書類はかなり面倒なものが多くて、エネルギーはいるようです。
パートなどをしていれば、その給与明細や、家族全員の貯金通帳を全部記帳する。
縁戚関係を全部知らせる。(全く付き合いが無いと言うと、あまり根掘り葉掘りされないそうです)、その他もろもろの書類を効率的にそろえるのも、大変ですよね。
でも、それを全部そろえて、一発で通してもらえるようにするのです。

とにかく、この手順がスムーズにいけば、必要な介護、看護、医療を受ける事が出来、家族の最低限の生活も保障されるので、プランも余裕で立てられるわけです。

結局、どんなパターンでもいろいろな社会資源を有効に活用し、効率的に利用していける情報や知識をたくさん持っていなければ、困難事例は持てないということですね。

私なんかは2足のわらじで、とてもそこまで関われないのが実情です。
そこは、有能なケアマネさんにお願いして、私たちは訪問看護にいそしみたいなと思っています。
ちなみに、患者さんが亡くなったあとは、保護の対象ではなくなりますので、必要があれば再申請になるそうです。が、これはなかなか難しいかもしれません。
元気な方は働いてもらいましょう。