こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
在宅緩和ケアのお話や、日々のあれこれを書き留めます。
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変わっていく社会の中で・・

2010-02-15 23:02:45 | 訪問看護、緩和ケア
後期高齢者制度が見直しとなり、長寿医療制度と呼び名もかわり、医療保険点数も大幅に見直されたよう・・・。

在宅医療の世界もどんどん変わっていくように思えます。
介護保険が始まる前とは、まったく社会の動きも私たちの動きも変わってしまいました。
以前は、慢性疾患や脳梗塞後遺症、加齢による衰弱の方、身体障害をお持ちの方などが中心でした。
ですから、一人の患者さんとゆっくり長くかかわっていたように思えます。

今は、認知があったり、自立できなくなると、病状が安定していれば施設に行かれる方が多いようです。
逆に、施設では対応できない方や、医療ニードの高い方、ご家族の在宅への思いの強い方が中心になってきています。

昔では考えられない人工呼吸器やIVHポート、PTCDや胃瘻、腎瘻、ストマも膀胱瘻もいろんなドレーンも、病院と大きな違いもなく在宅で行っています。

ですから、訪問看護師もそこについていかないと、おいてきぼりになってしまいます。

新しい治療も、あたらしい機器も、一緒に勉強しながらついていくしかないんです。

そして、疼痛コントロールをしながら、在宅での看とりを支援する在宅緩和ケア。

病院と違うのは、訪問看護は原則一人で訪問します。
うちでは、病状の把握と信頼関係を作り、なにかあっても窓口がぶれないように、受け持ち制をとっています。
取ってはいますが、24時間緊急体制もとっているため、担当外の患者さんの事は知りません。では困っていしまいます。
そのために、毎朝のショートカンファでは、今問題がある患者さんや、病状変化のある患者さんを報告し、意見交換をしています。
毎日行うことで、みんなが、顔を知らなくてもなんとなくイメージができます。

緊急対応用には、携帯電話と緊急加算をいただいている患者さん全員のデータファイルもあり、適時更新されたファイルは、スタッフならいつでも確認できるようになっています。

うちの場合、患者さんのほぼ90パーセントが加入されており、年々増加しどんどん重症化する患者さんを把握するのはかなり大変なことです。

そして、緊急電話の回数も格段に増え、並行して訪問の回数も格段に増えています。
今は、常勤だけで回している緊急電話ももう限界にきています。
月の半部は、事実上拘束されます。
遠出もできなし、晩酌もできません。
食事を作っている途中でも、布団に入った途端でも、電話は容赦なくなります。
そうかと思えば、1週間でたってもウンともスンとも言わない日もあります。
見えない鎖に繋がれて、緊急当番をやっています。

そんな過酷な状況でも、介護保険ではほとんど評価されていません。
わずかな上乗せは、夜間対応をするための人件費には到底満たないものです。
さらに、交通費もそこに含まれているのです。

それじゃ、医療保険は充実しているかといえば、必要に迫られ訪問回数が多くなれば多くなるほど(月に13回を超えると)がくんと給付が下がってしまうのです。
ほぼ半分の国からの支給額では、頑張って訪問してくれるスタッフの人件費には当然追いつかない・・・

じゃあどうするのか。
その負担を患者さんにおしつけるのか・・?

私たちは、患者さんを人質に取られて、在宅療養を行っているようなものです。

『いやなら行かなくていいんだよ。その代わり患者さんが不安になっても苦しんでても知らないよ』

緊急訪問が増えるほど、医療保険の訪問回数が増えるほど、頑張れば頑張るほど、事業所は赤字になっていくんです。

愚痴になりました。すみません。