新・臨床検査の光と影

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インシデントレポートの目的外転用(10)

2012-12-04 10:22:44 | 臨床検査技師の業務

          検体検査技師の雇用打ち切り

 インシデントレポートを減らす対策として「声だし・指さし確認・検査履歴との照合」などに続いて、TRL(総合試薬・機器賃貸借方式)を採用することで、ヒヤリハットを大幅に低減できると提案しましたが、事務長兼務の検査科長は、検査技師を一人一人呼んで、「検体検査のブランチ化が最高」としながら、雇用の打ち切りまで通告してきました。

 検査科長として、ともに対策を考える姿勢は皆無で、そこには「初めにブランチありき」と「労組幹部の排斥」の意図が露骨に現れてきました。

  TRL提案にトンチンカンな拒否理由

 検査科からのTRLの提案に対する、病院当局の反対理由は次のようなものでした。

 ◆「初期投資に1億円もかかる」 ◆「新しい機器に慣れないために危険が増える」 ◆「基本的な精度管理に不安が残る」 ◆「24時間体制ができない」 ◆「電子カルテの導入に病院全体のIT化とつながらない」 ◆「検査科が先行すると不合理が起こる」 ◆「オーダリングは医師が対応できない」 ◆TRLは構築に2年はかかる」 ◆「ブランチラボ会社のインシデントレポートは1件しかない」 などなど。

 およそ「TRL」とは無関係・正反対の拒否理由の16項目はすべて的外れでトンチンカンの噴飯ものでした。

 リスクマネジメント委員会や精度管理委員会で、対応策を調査・研究・提言のまとめなどの形跡は、一切認められませんでした。

 いまどき、TRLに1億円も初期投資して、2年もかかって稼働した例など、日本中探しても、全くありません。

 自ら進んで、インシデントレポートの件数が多いことを自白する下請け企業がどこにありますか?、そんな会社と下請け契約する病院がどこにありますか?

 厚労省は「IT化の推進は医療の構造改革にまで押し広げるもの」と強く指導していますが、その目的は安全・安心の医療の確立です。できるところから進めて一刻も早くIT化を確立するよう求めています。

 申立人側の証人として陳述し、数点の証拠書類を提出しました。まもなく審判が下されるようです。