新・臨床検査の光と影

人の命を測る臨床検査に光を!

インシデントレポートの目的外使用(2)

2012-09-05 13:45:32 | 臨床検査技師の業務

          ヒヤリハットが前年比67,000件増

            日本医療機能評価機構発表

 日本医療機能評価機構の調査によると、456医療機関からのヒヤリハットの昨年度の報告数が62万7千件に達し、前年比+67,000件増加したことがわかりました。

 インシデントレポートの趣旨が徹底してきた証しとみるべきでしょう。しかし本件のS病院管理者は、検体検査室のインシデントレポートが多いことを殊更に取り上げて問題視し、今まで設置していたリスクマネージャー会議のほかに、精度管理委員会なるものを新たに設置し、執拗に改善策を検体検査室に要求、その回答が不満足・不十分・改善の跡が見えない、しまいには、院長自ら「モチベーションがない」と叱責するような事態にまでなりました。

 このS病院、訴訟事件にも発展した医療事故の際にも、精度管理委員会なるものを特別に設置することはしませんでした。

 しかも、数年間のインシデントレポートの大部分はレベル1乃至は2に相当するもので、レベル3は僅かに3件、うち1件は明らかに検体の取り違いではありますが、1件は採血針を注射器に装着する際に、誤って術者自身の指先に刺したもので、治療を要するものでもなければ、患者に悪影響を及ぼすものでもなく、明らかにレベル2以下に該当するものでした。

 

 病院長の口走った「モチベーション」という、このカタカナ言語は、使いようによっては、どのようにもとれるものです。

 しかし、管理者が部下に向かって「モチベーション」がない!と口にすると、意味が一変します。

 ある営業コンサルタントはこう言って戒めています。

 「営業の新常識『超・行動』できる人ほど『モチベーション』を口にしない、発想を変えれば淡々と結果を出せる」と。

 思うように部下が動かないと思った時の愚痴です。

 自分の指導力のなさ・管理者能力の非力さを曝け出しているいることに気が付かないだけです。

 実は、衣の下に、明らかな鎧が隠されていたのです。

 その鎧こそ、インシデントレポートを目的外に悪用するための鎧だったのです。

 

 


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