八百屋のコーちゃんに召集令状
戦線は、いよいよ拡大し、従弟に召集令状、そして5軒隣の八百屋のコーちゃん(20歳)にも、町役場の吏員が、召集令状を届けにきました。所謂”赤紙”と云われた「徴兵令」で町内中の人々が、彼の家の前で「万歳」を繰り返し叫ぶ中、二人の幼い妹は泣き叫び、母親は何が起こったのか、おろおろすばかりで、それは悲壮なものでした。
渋川駅に動員された学童等大勢が整列して、数名の出征兵士とともに、日の丸の旗を振るなか送り出されていきました。
少し離れたところで、凛とした赤十字看護婦の正装をした若い女性が、1人佇んでいる姿にみとれていましたが、見送る人は1人もいませんでした。
”従軍看護婦だ“と思いました。おそらく野戦病院に赴くのだろうと、この姿は今も目に焼きつき、想いだしては胸を熱くし、生涯忘れることはありません。
あとで、赤十字看護婦に「戦時召集」というのがあることを知りました。しかし、 どの辞典にも「従軍記者」はあっても「従軍看護婦」は記載されていませんでした。
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