1177話)鬼が来た!のこと

中国映画「鬼が来た!」(2000年、監督主演・姜文)の第1ロケ現場が蔚県暖泉鎮西古堡でした。映画でいえば、後半部分がここで撮影されたのです。
出演した香川照之にとっても、深い印象をのこしたようで、『中国魅録-「鬼が来た!」撮影日記』を残しています。これがものすごくおもしろい!演技もそうですが、表現力が豊かで、かれは筆が立ちます。
この映画に出演したのは1990年代の末ですが、私はそのしばらく前から、距離的に近い山西省大同市の農村をうろつき、同じように県政府招待所に泊まっていました。そのころのことがすぐに思いだされて、いちいち共感していたのです。でも、藤田修二さんもおもしろいと話していますので、私だけがそう感じるのではないようです。
たとえば、招待所の服務員の娘たちが、お客のもちものを勝手に触ったりする。ホテルの基準で考えるととんでもないことですけど、彼女たちにしてみれば、おもしろくてガマンのできないことです。私もビデオカメラを何度もいじられましたが、さいわい壊されることはなく、カメラにはちゃんと証拠が写っていました。
彼女たちは住み込みで働いており、賃金は月に200元くらいでした。大同の郵電局から大阪にA4版2枚の原稿をファクスで送ったら、同じくらいとられました。まあ食住の保障があり、お小遣いをもらっているといったところ。ほんとにかわいいのです。
私は貧しい農家の育ちのうえに、学生寮で何年かを過ごし、特別の能力を養いました。(1)汚いところが気にならない、(2)まずいものでもおいしく食べる、(3)ケンカのこつを覚えた。それがあったから、ふつうにはつらいはずのことを楽しむことができたと思うのです。
香川さん、いい育ちでしょうに、あの環境で、しかも姜文の強烈なしごきに耐えて、好演しているのはすばらしい! この本、絶対におすすめです。
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