ほぼ半月にわたって、緑の地球ネットワークが開催した現場研修をリポートしてきました。毎年数回の「自然と親しむ会」を開催してきましたが、すべて日帰りで、1泊2日の研修ははじめてでした。時間が長かっただけでなく、小川眞さん、伊藤武さんらのお骨折りによって、まさにテンコモリの、充実した研修になったと思います。
東京、四国などから駆け付けてくださった方もあり、また久々に学生がグループで参加してくれまし . . . 本文を読む
天橋立のマツの木に、ヤドリギがついていました。落葉広葉樹についているヤドリギはこれまでもよくみたことがあります。日本だけでなく、大同の霊丘県で、ナラやポプラなどにたくさんついているのをみました。南天門自然植物園の李向東は、わざわざあの種を園内の木につけて発芽させ、「これで樹種が一つふえた!」といって、よろこんでいました。
それから自宅の近くの山で、ヒノキバヤドリギをみつけました。ヒノキバは漢 . . . 本文を読む
天橋立には食べられるキノコもありましたが、いちばん目についたキノコはこれでした。テングタケで、毒キノコの代表格。その毒成分のイボテン酸は、グルタミン酸にも似た構造で、うま味成分でもあるそう。いつか東大の研究者が大同にきたとき、「ベニテングタケも3分の1以内ならだいじょうぶです。いいダシがでますよ」と話していました。信州で知ったそうです。ベニテングタケにも、イボテン酸が含まれていますが、テングタケ . . . 本文を読む
この春に治療を終えた古木の周囲を観察していた先生たちが「あっ、もうでてる!」といいました。治療につかったキノコの種類がわかっていますから、それを探していたんでしょうね。ショウロ(松露)です。海岸の砂地のクロマツによくでるのだそうです。私たちが琴引浜で記念植樹をしたあの小苗に接種してあったのも、このショウロでした。
あの苗をみても、菌糸の張り方がすごかったですからね。そのほかのキノコだと、で . . . 本文を読む
天橋立のマツには樹齢350年以上の古木があります。それぞれに風格と威厳があり、私なんかひとりでやってきたら、そのまえにひざまづきたくなるものもありますよ。
ただ、それだけの年輪を重ねると、弱ってくるものもでてきます。伊藤武さんはじめ京都樹木医会の人たちがその治療にあたっています。やり方は箱石での説明といっしょです。まずは株もとにたまった腐葉土などを取り除きます。そして、根が張ってきているとこ . . . 本文を読む
ここしばらくは10月24日~25日に丹後半島と天橋立で実施した実地研修にまつわることを報告しています。2日目は場所を天橋立に移しました。天橋立は、ちょっと離れた高所からみると、海のなかを緑の松林が一直線に伸びていて、なるほど日本三景のひとつ、という景観なんですけど、なかにはいってしまうと、ふつうの松林です。こういうことって、けっこう多いですね。
それにしても、どうやってできたのか、ふしぎです . . . 本文を読む
朝早くからくるまを運転し、日中、いろいろと体験させてもらいましたから、夜はスピリッツのお世話になって、と私は思うんですけど、ちゃんとお勉強会がセットされていました。勉強熱心なんですね。
伊藤武さんと、小川眞さんから、木炭と菌根菌の働きについて、マツの古木の治療の経験などをまじえて、たっぷりときかせていただきました。写真をみながらでしたので、わかりやすかった。
そうとうに弱った木でも、周囲 . . . 本文を読む
このブログでも以前に書いたのですが、9月初めに大同で炭を焼きました。日本から持ち込んだ無煙炭化器をつかったのです。じつはそのまえに、私は個人的に直径50㎝の小さな無煙炭化器を購入していたのです。小川眞さんの話をきいて。
ところが、小川眞さんのすすめで、私より先に買っている人が、たくさんいました。その人たちがいうんですね。「ものすごい勢いで燃えますからね。家の近くでやったら、たくさん炭ができま . . . 本文を読む
植えたのは、ポリポットで育苗されたクロマツの2年生の苗です。パッと目には、なんの変哲もありません。ところがポットから取り出して、びっくりしました。菌根菌の菌糸がグルッとまわっていて、まっ白といっていい状態です。
小川眞先生の指導で、大同でも菌根菌接種の実験をし、その実用化に取り組んできました。菌根菌が共生している苗は育ちがいいし、現場に植えたあとも活着がいいのです。でも、現地で私たちが育ててい . . . 本文を読む
琴引浜の隣接地の海岸で、マツの防風林を養生中です。伊藤武さんのはからいで、私たちも記念植樹をさせてもらいました。強風で砂が飛ばないように、数種類の柵がつくられています。
すぐとなりに、大きくなったマツもありますから、天然更新の小苗も育っています。それを踏まないように注意しながら、ひとり1~2本を植えました。私はよくばって、もっと植えました。砂はフカフカしており、移植ゴテでかんたんに掘れます。 . . . 本文を読む
第392回で紹介した写真の松林は、丹後半島琴引浜の防風林です。ここは鳴き砂で有名で、国指定の天然記念物・名勝にも指定されています(2007年)。ネットで検索してみると、若狭湾国定公園に含まれ、全国白砂青松百選・日本の渚百選・残したい日本の音百選・日本の夕日百選に選ばれ、また、丹後天橋立大江山国定公園にもなっているとのこと。
箱石の松林で活動したあと、私たちの現地研修はここに場所を移しました。 . . . 本文を読む
大同で私たちはマツをたくさん植えていますが、その伸長量は前年の秋からその年の6月くらいまでの雨の量によって決まります。期待するほど伸びてはくれないんですね。その目で、日本のマツをみると、驚くほど伸びています。自宅の近所でもことし1年に1m以上も伸びている若木が少なくありません。雨が多いからだな、うらやましいなあ、と思っていました。
ところが、小川眞先生によると、これが異常なのだそう。徒長だと . . . 本文を読む
箱石海岸の松林では、地表を片づけるだけでなく、トレンチを掘って、木炭の粉を埋めてありました。だいたいの場所を思い出して、小川眞先生がそれを掘り出してみせてくれます。すると、そこにマツの新しい細根。
驚いたのは、そこにキノコの菌糸がびっしりと張っていることです。たんに木炭を埋めただけでなく、それにキノコの胞子液がかけてあったそう。そのキノコはなんでもいいかというと、そうではありません。マツと共 . . . 本文を読む
黄土丘陵の痩せ地をものともせず育つのはマツです。痩せ地に育つくらいだから、どこでも育つかというとそうではなく、土が肥えてくるのはマツにとっては困った環境。高度経済成長以前の日本の農村では、松葉は貴重な燃料でした。油分が多く、マッチ一本で火がつきますから、焚きつけにもってこいだったのです。松林にいっては、松葉かきをしていました。私も両親につれられて行ったことがあります。松林の林床はいつも痩せ地のま . . . 本文を読む
丹後きのこクラブのみなさんがマツの枯れ木を割って、なかをみせてくれました。長さ2cmほどのなにかの幼虫がいます。マツノマダラカミキリ、俗にいうマツクイムシの幼虫です。枯れたマツの材を食べて育っています。
このカミキリムシには重要なパートナーがいます。長さ1㎜にも満たないマツノザイセンチュウ。これがマツのなかで大繁殖して、マツを枯らすわけですね。カミキリムシの幼虫はやがてサナギになり、成虫にな . . . 本文を読む