609話)ナラの根元のキノコ

 ナラが伸びはじめているのを、私はまんぜんとみているだけなんですけど、小川眞さんはさすがにプロ。その根元にキノコが生えているのをみつけられたのです。それも、キノコが生えているのは、急に伸びはじめたナラの根元だけといっていいくらい。  ここに植えたナラの苗には、菌根菌は着いていませんでした。マツではうまくいったのですが、ナラのほうは、いろいろ試してはいるんですけど、うまく着いてくれません。  こ . . . 本文を読む
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608話)伸びはじめたカササギの森のナラ

 なかなか伸びなかったカササギの森のナラですが、去年あたりから伸びはじめるものがでてきました。30~40cmも伸びるものがあったのです。そして、ことしはよく伸びたものは60cmも伸びていました。  南天門自然植物園の日陰斜面に、20m四方の調査区をつくって、樹木の生育を調査しています。ここには胸高直径が4.5cm以上の樹木が79本あり、その大部分はナラなんですけど、2008年の1年間の主幹の伸長 . . . 本文を読む
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607話)野間の大ケヤキ

 きのう11月20日は、緑の地球ネットワークの自然と親しむ会があり、川西市の国崎せせらぎ広場で炭焼きをしました。そのことについてはまたの機会に書くとして、そこから遠くないところに野間の大ケヤキがあります。参加者全員でそちらに回ってみることにしました。  以前はなんどもなきているのですが、最近はちょっと足が遠のいていたよう。樹木そのものに大きな変化はないのですが、周囲の整備がすすんでいました。そば . . . 本文を読む
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606話)伸び悩んだカササギの森のナラ

 実験林場・カササギの森にナラを植えたのは、建設をはじめて2年目の2002年春のことです。大同事務所の技術顧問だった侯喜さんが「植えてもいいか?」ときいたので、私は「まだ苗が小さすぎるから、来年にしたらどうだ」と答えました。ナラの苗は、南天門自然植物園で、2000年から育てはじめていました。すると侯喜さんは、「大同ではまだだれもナラを植えた人はいないから、やってみたいのだ」といいました。そういうこ . . . 本文を読む
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605話)マツの苗の菌根菌

前回は、種から育てた1年生のマツ苗でしたが、これは2年生のアブラマツの苗を、ポリ袋に土を詰め、そのなかでさらに2年育てたものです。ポリ袋を破ってみると、根に白いカビのようなものが着いています。これが菌根菌、つまりキノコの菌糸なのですね。 マツと共生する菌根菌はキノコのなかまです。これらのキノコは葉緑素をもたないので、自分で栄養を生産することはできません。マツの根の細胞と細胞のすきまに . . . 本文を読む
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604話)菌根菌とマツの苗

マツの苗の育苗に菌根菌をつかっています。以前、大同県国営苗圃の一角で委託栽培してもらったときは、とてもうまくいきました。 2005年から白登苗圃を建設し、マツの育苗はここでおこなうことになったんですけど、そのとき手抜かりがありました。場所が変わり、人が変わるなかで、技術の継承にうまくいかないところがあったのです。 この春、小川眞先生にもう一度、きっちりと指導してもらいました . . . 本文を読む
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603話)ナラの大苗

 ことし8月のことです。大同の市内から大同県にむかう途中、広葉樹の大苗を積んだトラックが停まっていました。えっ、なんだろう? あわててクルマを停めて、みにいきました。  私のみたところ、モンゴリナラ(蒙櫟)です。苗を運んできた運転手にきくと、「橡樹だ」といいます。それにたいして私は、ムキになって、「いや、これは蒙櫟だ!」と言い張りました。北京に帰ってから調べると、橡樹というのは、ナラ類の俗 . . . 本文を読む
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602話)遇駕山村

 前号でとりあげた遇駕山のマツ林のふもとにあるのが、遇駕山村です。義和団事件のさい、北京から西安に逃れる西太后の乗った駕籠がここを通ったのが、名称の由来だそう。くわしい事情は忘れてしまいました。  緑の山のふもとにあるんですけど、水にはめぐまれません。なんどか井戸掘りに挑戦したんですけど、失敗つづき。2000年に私たちが実施したアンケート調査によると、1人1日の水使用量はわずか15.6リ . . . 本文を読む
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601話)キンモクセイの二度咲き

 私の自宅の近くにも、事務所への通勤途上にも、キンモクセイの木があります。とてもいい香りがして、楽しませてもらったのは1か月ほどまえだったでしょうか。そしたら、先週になって、事務所の近くのキンモクセイがまたつぼみをふくらませ、いま満開です。すごくいい香りがしています。  前中久行顧問に電話で問い合わせると、「キンモクセイは二度咲くのです」という答え。インターネットで検索してみると、たしかに二度 . . . 本文を読む
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600話)遇駕山のマツ

 大同県聚楽郷と協力して造林した采涼山プロジェクトから、南に目をやると、もっと大きなグリーンベルトがみえます。遇駕山プロジェクトで、面積は1000ha近くあり、植栽されたのは1985年ですから、もう25年をへています。残念なことに亡くなった大同事務所の技術顧問、侯喜さんも大同市林業局の技術スタッフとして参加しました。  植えられているのは大部分がアブラマツ(油松)で、ごく少数のモンゴリマツ(樟子 . . . 本文を読む
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599話)浸食谷

 三嶺村を黄土高原の典型的な風景、というふうに紹介したのは、はげ山、段々畑、浸食谷、土づくりの窰洞、といったものがそろっていたからです。そのうえに、写真の右のほうには狼煙台があり、これはおそらく明代につくられたもの。  アンズを成功させた渾源県呉城村は、もうちょっと東によりますが、同じような地形にあります。アンズ畑のすぐそばにも深い浸食谷がありますが、村の背後の浸食谷もそうとうに深い。 . . . 本文を読む
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598話)三嶺村

 大同から渾源にむかう途中の峠にあるのが三嶺村です。遠方からの観光客は、この村のそばでかならずバスを停め、ちょっとうえまで戻って、写真を撮っていました。黄土高原の典型的な風景で、かっこうのフォトスポットです。   友人の王有全が北楡林の郷長をしていたので、「あそこに駐車場をつくって、みやげもの屋を開いたらいい。国外からの観光客にとって、あそこの風景は懸空寺以上の価値があるよ」と私は話したんです . . . 本文を読む
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597話)鼓楼

 「地下の文物をみたければ西安へ行け、地上の文物をみたければ大同へ行け」というのだそう。しばらくまえにも書いたように、大同には古い時代の木造建築物がたくさん残されています。  これは大同市内のほぼ中央部にある鼓楼です。時代はちょっとくだって、明代の創建、清代になんどか修復されたのだそう。最近も大修理が施されています。背景が広いので、そんなに大きくはみえませんが、これでも高さは20mあります . . . 本文を読む
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596話)応県の木塔

 現在の山西省はほとんどはげ山で、大きな木はほとんどありません。ところが、宋(960~1127)、金(1115~1234)より前の木造建築物は山西省に106か所残っており、それは同時代の全中国の木造建築物の70%以上にあたるそう。森の文化の栄えたところなんですね。大同周辺にはとくに多いのです。  その代表的なものが応県の木塔で、正式には仏宮寺釈迦塔といい、高さが67mで、世界最大級。遼代、105 . . . 本文を読む
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595話)平型関

 平型関というと、中国で有名なのは日中戦争中の戦闘。林彪指揮下の部隊に、日本軍がはじめて大敗しました。1937年9月のことです。霊丘県に記念館があり、それについてはなんどか書きました。    今回は万里の長城の内城にある関所のこと。これが本来の意味での平型関です。近くの道路をなんどか通過しているのに、現場に立つのは今回がはじめて。びっくりするくらい、小さいんですね。内城の関所は、雁門関、紫荊関など . . . 本文を読む
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