1245話)小老樹(1)

最初にこの林に気づいたのは1992年の秋で、応県か懐仁県かでのことでした。当時は雁北地区に属していたんですけど、1993年に雁北地区の多くの県が大同市と合併して広域の大同市になったさいに、この2つの県と右玉県は西隣りの朔州市に属することになりました。

おもに桑干河の近くに、このような林がありました。大きなものでもせいぜい3~4m、なかには株立ちして灌木状になっているものもあります。最初にこれをみたとき私はこれを自然の林だと思っていました。ところがそうではなくて、1950年代~60年代に人工的に植えたポプラだというのです。

桑干河は山西省の北西部の山地に発し、大同市の中央部を西から東に流れ、河北省にはいって壺流河、洋河と合流し、永定河と名を変えます。そして河北省と北京市の境界でこの河をせき止めているのが官庁ダムです。官庁ダムは密雲ダムと並んで、2つしかない北京の水ガメですから、大同は首都・北京の水源です。

これらのポプラは首都の水を守るために大面積に植えられたわけです。

現場にすり鉢状の浅い穴を掘って、小葉楊の枝を弓なりに曲げて置き、上から土をかける簡単なやり方だったようです。ポプラはそれで活着しますので、苗を育てる時間と手間を惜しんだわけですね。

最初はとてもよく成長したそうです。父親のあとについて、その作業に加わった馬さん(初期にずいぶんお世話になったバスの運転士さん)は、とてもうれしく、誇らしかったそう。ところが、その後、そのポプラは成長を止めただけでなく、縮んでしまったと馬さんは話しました。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 号外)日本華... 1246話)小老... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。