1021話)大同の市場(2)

四季を問わず野菜はきわめて豊富です。郊外にたくさんのビニール温室ができましたし、輸送ルートもしっかりしてきたので、こういうことになりました。

以前はそうじゃなかったんですね。私たちが協力事業をはじめたのは1992年でしたが、そのころは基本的に、地元で、しかも露地でとれる野菜しかなかったのです。いちばんしんどいのは4月から5月にかけてでした。ちょうど春のワーキングツアーが訪れる緑化のシーズン。

3月までは前年に収穫した、たとえば白菜などが古新聞に包んで貯蔵してあり、それを食べることができます。4月になるとそれが底をつき、新しい野菜はまだできてきません。ですから、野菜といえばモヤシばかり。農家では土を詰めた鉢にタマネギを植え、伸びてきた葉を食べるといったこともしていました。

そういう状態を「青黄不接」というそうです。その年の収穫はまだなのに、前年の食糧が底をつく。転じて物資や人材が一時的に不足することをそういうのだそうです。

ツアーの人たちは期間が短いんですけど、私は50日くらい滞在しましたので、ビタミン不足が心配でした。で、錠剤をもっていったり、ヒマワリやカボチャの種をできるだけ食べるようにしたり。

新しいもので最初にでてくる青菜がホウレンソウ。しかも宿根のものでした。以前は種子を売っていたんですけど、いまはなくなったかもしれません。
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