139)唐河の水

 北京市水務局の副局長がオリンピックを迎える北京の水対策を発表しました。注目すべきは河北省の4つのダムから年間3~4億トンの水を引くというもの。来年4月の開始ですから時間的にもギリギリの綱渡り。農業生産に影響がでるので、その補償をこれから検討するそう。
 この工事は「南水北調」の最終区間です。南水北調というのは長江水系の水を北京・天津などへ運ぶ計画ですが、その中ルートが完成するのは早くても3年後で、オリンピックにまにあいません。南から水がこないのに最終区間の工事を急いだのは、このためだったのです。石家荘や保定の水不足は北京より深刻ですが、南から水がくる話が、北京に水をとられる話に変わってしまいました。でも、「オリンピック成功のために」といわれれば反対はできません。
 4つのダムとは石家荘市の黄壁庄、崗南、保定市の王快、西大洋の各ダムです。太行山脈の麓にあり、流入河川は山西省からきており、私たちの緑化協力地付近が源流です。たとえば西大洋ダムがせき止めている唐河は渾源県・霊丘県をへて河北省にはいります。
 大同の幹部に、霊丘でいちばん緑化が進んでいるのはどこかと尋ねると、思い思いの答えが返ってきます。私の答えは「唐河の水」というもの。富栄養化が急速にすすんでいるようで、あおこが大発生しています。水を飲むときは上流を思い、なにかを流すときは下流を思いやることが大切です。
 【写真】太行山のすきまをぬって流れる唐河。来年春からは北京の水源になる。
 (2007年6月25日号)
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