276話)応県の木塔

 応県の木塔は大同の西南70kmのところにあり、正式には仏宮寺釈迦塔といいます。1056年の創建で、ときは遼代、大同はそのとき副都でした。高さが67mもあり、木造建築物としては世界最大級です。カラマツの大径木がつかわれ、すべて木組みで建てられ、鉄釘などはつかわれておりません。
 
 法隆寺の宮大工だった西岡常一さんがこの塔について語っています。法隆寺でつかわれている技術はすべてこの塔にもある。だから法隆寺の技術は中国から伝わってきたことがわかる。しかし応県の木塔はずんぐりむっくりだけど、法隆寺の塔はずっと優美だ。それは軒が長くせりだしているからだ。応県の塔は乾燥地にあるから軒が短くてもいいけど、日本は雨が多いので、軒が長くないと雨があたって腐ってしまう。私のうろ覚えでは、そういうことでした。技術移転にそういう問題がついて回るのは、いまでもいっしょですね。

 以前は内部構造で3階まで昇ることができたんですよ。しばらく前から2階までになりました。この3月にいくと、中央のお達しで、1階部分にははいれるけど、うえには上がれなくなっていました。まあ、途中で傾いたりしていますから、それが順当なところでしょう。ザンネンではありますが。
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