前日の春の陽気から一転して小雨が降る肌寒い中、森アーツセンターギャラリーで開催中の「ラファエル前派展」に行ってきました。
今回の目的はなんといってもミレイの「オフィーリア」。初めて画集で接してからずっと本物を見てみたかったので楽しみにしていました。
入場すると、なんとすぐ目の前にもう「オフィーリア」が展示されているのに驚きました。だいたいこういう目玉作品は展示の中ほどにあることが多いような気がするのですが、いきなり本命登場。
思っていたよりは小さなサイズでしたが、女性の恍惚とした表情、目や指先など迫真の描写は素晴らしいものでした。周りに描かれた草木も細緻をきわめていて、よくまあここまで枝や葉のひとつひとつを描いたものだと感心しました。また左の枝にはカワセミが一羽いましたがこれは何かを象徴しているのでしょうか?いろいろ考えながらしばらくこの絵の前で立ち止まっていました。う~ん満足。
さてミレイについてはこの「オフィーリア」しか知らなかったのですが、他にもなかなかいい作品があって気に入りました。例えば「釈放令、1746年」という作品には飼い主に甘えて立ち上がる犬が後ろから描かれているのですが、仕草や毛並みの描き方が犬好きにはたまりません 笑。
◆ミレイ「釈放令、1746年」 この犬の尻尾!
「両親の家のキリスト」という作品もひとりひとりの表情がなんとも言えません(特に右側で困ったように見ている男の子の顔)。床に落ちたカンナ屑も木工好きにはツボですね。
う~ん、もっとミレイの作品を見てみたくなりました。2008年に「ミレイ展」があったようなのですがまたどこかでやってくれないでしょうか。
さて、次に気に入ったのはブレットの「ローゼンラウイ氷河」。本物と見まがうような岩は、「ラファエル前派」とは関係ないのですがなぜかダリの「パンかご」を思い出しました。
◆ブレット「ローゼンラウイ氷河」
◆突然ですがダリの「パンかご」
ダイスの「ペグウェル・ベイ、ケント州 - 1858年10月5日の思い出」という風景画もすごかった。もう写真撮った方が早いんじゃないかと。。。そんなこといったら元も子もありませんが。
◆ダイス「ペグウェル・ベイ、ケント州 - 1858年10月5日の思い出」
展示の後半はロセッティの作品が中心でしたが、残念ながら自分にはあまり心を惹かれるものはありませんでした。絵そのものに魅力がないというか「画力」の問題なんでしょうか?
最後にもうひとつ。展示の最初にあったこの作品。
◆ヒューズ「4月の恋」
青、紫、緑という色の使い方や衣服の質感、そして少女の表情が印象に残った1枚です。
「ラファエル前派展」、思わぬ収穫がありました。