
4年前、甲斐駒岳へ登る途中ふっと振り返った時に
目に飛び込んできた丹精な山
目に焼きついてなかなか忘れがたし
北岳
日本一高い山には憧れは感じなかったのだけど
この北岳、日本で2番目に高い山(3193m)には
形といい力強さといい
ほれぼれとする憧れを感じていた。
昨年2度ほど企てたが、個人的な理由で計画に参加できず
とうとう、やっとやっとそのチャンスがめぐってきた。
やりたいことはやっておかなきゃ!
2泊3日の計画をたて
ブルームーンの日に山に入る。
どうか山の神さま、お天気もたせてね!と心の中で祈りながら。
【1日目】
標高1520mから2300mあたりの小屋まで約3時間、
結構な急登(キュ~ト=cute?)な樹林帯をいく。

標高1520mから2300mあたりの小屋まで約3時間、
結構な急登(キュ~ト=cute?)な樹林帯をいく。

2本の違った種類の木が寄り添いながら大きくなっている



カメバヒキオコシ(カニコウモリ?どっちだっけ?)

ふっと美味しい空気、柔らかな光りをもらう

サラシナショウマ

陽が落ちる前の雲海


明日 てっぺんに立つ山はあれ!

1日目の小屋は市営ではあるが、まだ新しく、ふかふかのお布団!
少々雲は出てきたが、満月を仰ぎ見れた。
小屋の周りは花畑
これはヤナギラン

グンナイフウロ

センジュガンピ

これはヤナギラン

グンナイフウロ

センジュガンピ

【2日目】
曇り。登るにはちょうどよい。暑すぎず・・・
小屋から「草スベリ」と呼ばれている草原状の急斜面をやっぱり3時間
尾根へ出るまで登る登る。でも回りは朝日に輝く露をつけた花々で
ビロードのように光沢のあるキタダケトリカブトやハクサンフウロ、シモツケソウが
出迎えてくれるので、気持ちがまぎれる。
ウメバチソウ

リンドウのつぼみ

尾根に出ると視界はいっぺんに広がったが少し雲がかかっている。


これからまず目指す肩ノ小屋はあの真ん中に見える小屋

そう、甲府からの朝もやが8時を過ぎると上がってきて
山を隠してしまう・・・と以前も聞いた。分岐についたのはちょうど8時
甲斐駒だけは雲の中、なんとか仙丈が岳のカールが深く見えている。

2800m近くにある肩ノ小屋に9時。

ここから約300m登れば頂上、ほら!

あそこ。左上!
頂上がよく見える。ここでもう昼食タイム
さてと、ゆっくりと腰を上げ3193mの山頂を目指して

最後の登りにとりかかる。


登山道はしっかりしているのでなんの不安も無い。
足元をみれば秋色に衣替えしたイワベンケイ


ヨツバシオガマも秋色に。実をつけている

もうひと登り・・・頂上が見えてきた!

あと5分!広い頂上で人々がそれぞれくつろいでいる

コーヒーをたてて
雲を空を山をながめながらイットキを過ごす。
いろいろなことがあったなあ~
自分が今年東京で仕事をしているなんて・・・
何かの歯車がカチッと合って回り始めた・・・
この路、どこへ続くのか

さあ、気合をいれてあの眼下に見える山荘まで下ろう!

今晩泊まる小屋も市営。

こちらはさっき寄った肩ノ小屋と歩いてきた道


今晩泊まる小屋も市営。

こちらはさっき寄った肩ノ小屋と歩いてきた道


流石に2900mのところにある小屋
部屋の中、広間にはストーブが。
寝床の部屋はとても寒い。着れるものは着て寝る。
消灯8時、朝食は4時~
少し高山病の症状が出ていて頭が痛い。
お茶とお湯を飲んで飲んで散歩して少しでも空気を吸って・・・
対処療法はこれしかない。仕方が無い
トウヤクリンドウ

ハクサンイチゲの秋

【3日目】 すごい風の音、少し雨も混じっているかも・・・
とにかく暴風~~
間の岳(あいのだけ)往復3時間も考えられたが、
この暴風、尾根歩きは少々ごめんなので
一気に下る。
とにかく暴風~~
間の岳(あいのだけ)往復3時間も考えられたが、
この暴風、尾根歩きは少々ごめんなので
一気に下る。

「八本歯のコル」というところまでトラバースコース
この辺りはお花畑
飛ばされそうに風は強く、あまりゆっくる周りを
眺める余裕はなかったけれど、ところどころに
気持ちをやわらげてくれる可憐な高山植物たち


霧だか雨だかわからない水滴がまとわりつくが
何本もの丸太のはしごを滑らずに下り、
ほっとするのもつかの間、急坂が待っていた。

北岳バットレスという有名な岩肌も見上げる余裕も無く
下を向いてひたすら足を前へ出して下る。
今日は一気に標高1500M分を下るのだから。
3時間半後に沢へでる。雪渓が残っている。


ここまでくると風がなんだかやわらかくなっているのだが、
雪渓を渡る風はちょっとヒヤッとする。
沢沿いの道は水の流れる音、ゴジュウカラの歌声などで
賑やか。それにグンナイフウロや白い花、黄色い花とこれまた賑やか。
疲れた足を癒す事はないが、なんとか無事に下山。
3日目の朝、高山病のなごりか身体も重くまたなんでこんなつらい事
始めたんだろう?とふっと頭をよぎる事もあったが
1歩を出さないと前へは進めない。
自分のペースで一歩を出してみる。
少しだけ進む、また出してみる。この繰り返し。
よき山、よき花、よき北岳
下山して3日目、不思議と筋肉痛がないのは
山の神がまた新たにエネルギーを注いでくれたからであろう
