アメリカでは、共和党のトランプ氏が第47代大統領になることに決まった。アメリカ国民の選択が、日本に好ましくない変動をもたらすであろうことを覚悟しなければならない。
アメリカの人は心の奥底で、初代大統領ジョージ・ワシントンに大統領の原像を見ているのではないか?少なくとも、トランプ氏本人はそのように見える。
軍人であり実業家(農園経営)であり、政治家でもあったその人を、トランプ氏は理想化し模範としているのではないか。
ジョージ・ワシントンは、インディアンや黒人奴隷を、同じ人間とは見ていなかった差別主義者であった。インディアンのある部族の絶滅命令を発したこともあるという。
慥かに移民に否定的な新大統領と似ている面はあるが、政治的能力という点でも人望でも、初代大統領とは比較にならない。自分が見えてない人間というものは実に度し難いものがある。
トランプ大統領は、45代大統領の任期中の政務を通じて、思索の乏しさ、思想の貧困、すなわち思考能力の欠如を余すところなくメディアに露呈した。大変な自己過信の権化であることも、世界中に知れ渡った。
リテラシーと想像力に欠け、現実社会の理解、認識において著しく偏りがあり、歴代大統領に較べ平衡感覚が劣っていた。知性・品性に問題があることは、支持者も認めていたことだろう。
元々権力(富)を持っていた者が、別の権力(政治)をもつと、権力の無かった者が初めて権力を掌中にした場合よりも始末が悪い。権力は必然的に腐るものだが、その腐った権力が新たな権力を担うのだから、権力の集中で社会が好くなるはずもない。
彼は自分の行動や言動への大衆の反応に敏感で、大衆の希求するものを直感的にキャッチし、自我の極大化を飽くことなく求め続ける。
理念不在の煽動家というものは、危険な政治家である。聴衆に享けることしか発想できないし言えない人物は、扇動家であって全体主義の指揮者である。
歴史的に絶対主義が滅び、共産主義が力を失って以来、民主主義の唯一の敵はポピュリズムである。
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